2019年3月27日水曜日

■【資本主義をハックする 20】 なぜ、学歴や学力がある人が経営してもうまくいかないのか



 もうすぐ70歳近くになろうかといううちのおかんがよく呟いていることばに、たとえば政治であったり、あるいは国際問題であったり、またあるいは何かの経営活動などに対して、


「どうして賢い人たちがいっぱいいるのに、うまくいかないのかねえ」


というものがあります。


 政治経済のニュースを見ながら、それぞれ「賢い人たち=えらい学者さんや、えらい指導的立場野人たち」がいちおう一生懸命やっているのにも関わらず、どうしてこの世はうまくいかないことが多いのか、という素朴な疑問ですが、たしかに言いえて妙なセリフだと言えるでしょう。



 別に取り立てて、「お上とは、自然に偉いもので、かつ賢いものだ」なんていうつもりは毛頭ないけれど、東大やら京大やらを出た企業人や、官僚、あるいはそれには劣るかもしれないけれど、とりあえず、わが国の大学教育を受けた人たちがたくさん政治家になっていて、それでもこの状態なわけですから、



「学力とはなんだ?!」



という疑問を抱いても、それもまたおかしいことではありません。



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 某家具屋さんの経営がうまくいかないと、ここ数年来ずっと話題になっていますが、「父と娘の確執とか」「娘が社長を下りればいい」とか、井戸端会議レベルの評論はたくさん出てきますが、いざこの娘さんの経歴を見てみると、なかなかどうして賢い人であることがわかります。


 彼女は、「一橋大学経済学部を出て、筑波大学の法科大学院も出ている」才女です。


 実業の世界へ飛び込むまでは、研究者になろうと思っていたくらいの人ですから、お勉強はとてもできるのだと思います。



 ここで、またまた事前につっこみを入れておきますが、「しょせんお勉強はできても、経営はできなかったんじゃない?」なんて、井戸端会議レベルの感想を言うのは、すこし脇へ置いておきましょう。



 一橋大学を出ていないものが、やっかみでそうした発言をするのは、”ビールのアテ”レベルでは別にかまいませんが、もしまともにそれを議論すると


「一橋大学へ入れる学力も、一橋大学の教育も、筑波大学院の教育も、実業にはなんの役にも立たない」


のが真実であれば、わが国の教育制度そのものが崩壊するし、また、一から教育を見直さなくてはならないという大変な事態であることを認めることになるわけです。これは非常にまずいことといわざるを得ません。




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 こうしたことから、この世界において、とくにこの資本主義社会の経済で、成功したり、順調に経営を進めてゆくには、


「いわゆる学力と、経営力の間に、なにがしかの違いがあるのではないか?」


ということに気づく必要があるということだと思います。もちろん、それは学力と政治力の間、と言い換えてもよいかもしれません。


 そして、もしここをうまく読み解くことができるのであれば、この資本主義を渡ってゆく「資本主義ハック」にうまく活用できるのではないか?と推測を立てることもできるわけです。




 さて、結論から言えば、「学力と経営力の間に隠れているもの」というのは、それほど難しい話ではありません。


 よく一般的に



「頭で考えるのと、実際にやってみるのとでは違うわなあ」



なんていいますが、高学歴の人が実務に携わってうまくいかないのは、まさにこれで、



「学問上起こっていることと、現実に起こっていることの間には、大きな乖離がある」



ということが一つの結論の核だと思います。



 このことは、学問をまじめにやっている人から見れば、至極当然の話で、学問というのは



◆ 再現性があること


◆ 一般化できること


でなければ学問になりえません。


 つまり、簡単に言えば、あまたの事象の中から、法則性を見出すことが、そもそもの学問だ、というわけですから、現実社会がカオスな様相を呈しているのであれば、そもそも学問でそれらの事態は補足できないというわけです。




 ですから、学歴があり、学力があるということは



「確実性のあることについて、その内容を理解し、対応できる力がある」



ということになるのですね。



 それに対して、現実社会というのは



「不確実性の中で、その対応を考えなくてはならない」



ということなので、 だからこそ「学力があっても、その結果にコミットできない」ということが起こりうるわけです。




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 すなわち、家具屋の娘さんが、確実性の高い学問の世界で優秀でありながら、不確実なこの現実社会の中で、もがいてしまうということは、充分起こりうるわけです。


 そして、娘さんは、おそらく「こうしたらいいのではないか?」という法則的施策をつぎつぎに考え出しては実行するのだけれど、いくら「確実だと推定できる作戦」をたくさん繰り出しても、実際には


「この世の不確実性のもとに、惨敗する」


ということが起きているわけですね。


 これは家具屋さんに限らず、政治でも経済でも、経営でも、いたるところで起きています。



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 そうすると、いわゆる「不確実性」とは、「サイコロバクチ」のように、私たちには見えますから、



「学歴なんか無関係で、わしは一発当てたんじゃ!」



というやんちゃな兄ちゃんやおっさんが、企業家として成功してしまう場面にも遭遇することになります。


 これもまた、この世界ではよく見られる場面です。



 となると、これで上手くいった人たちに言わせると、今度は、



「経営なんて学校のお勉強は無関係なんじゃ!」


ということになりますが、実はそれもまた正確には「正しいとはいえない」のです。





 不確実性というのは、表面的に見ると、「偶然・偶発・ランダムな事象」のように見えます。


 もし本当に偶発的なことの集りなのであれば、この世はバクチと同じなので、一生懸命努力をしたり、学校で勉強したり、何かを我慢したりせず、とにかく好き勝手やってみて


「当たるのを待つ」


ことが正しい戦略になります。


 しかし、当人が好き勝手やっていて、たとえばお笑いの賞レースで偶発的に優勝することが少ないように、実際には


「一見偶発的、偶然的に見える事象でも、それなりに裏ではある程度なんらかの整理された事情が隠れている」


と考えるほうが妥当です。お笑いの芸が偶然100%ではなく、それぞれバラバラに見えるものの、なんらかの下積み努力が底を支えているのと同じです。



 同様に、料理屋をはじめるのもバクチ、就職するのもバクチ、仕事というものはバクチ、であれば、この世界はきっとすぐに破綻することでしょう。ということは



「一見バクチに見えるけれど、実はそうではない」


のがこの世界だということです。




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 より正確に話すのであれば、学問や学力は「確実性」の世界だというならば、この世界で起きているのは

「不確実性」

というよりは

「複雑性」

といったほうが正しいでしょう。けしてバクチで動いているのではなく、



「その法則性を見出せるほど単純ではないか、あるいはいくつもの法則性が複雑に絡み合っていて、結果としてランダムのように見える状況」


なのが、正確だと言うわけです。



 この複雑性を読み解き、ある程度まとまった回答を出すのは、実は賢い人たちでもかなり難しい作業です。ですから、賢い人たちでも、この世界を取り回すのはうまくいきません。



 たとえば天気ひとつを取ってみても、大気はかなり複雑な動きをして、スーパーコンピュータをぶん回しても、「これぞ!」という正解にはたどりつきません。


 なんとなく、大まかには当たるけれど、それでも正確性は70%程度なのかな?といった状態なわけです。


 政治や経営とは、これに近い分野で、人々の移り気や市場の需要、あるいは供給の数値、海外でのブームや傾向、ニュースや関心事によって、


「民意や売れるものの傾向は複雑系として移行する」


と言ってよいでしょう。 これを読み解いて、対応するには、賢い人たちが数百人集ってぶっ倒れるまで考え抜かねばならないわけですね。



 まあ、実際にはそれができないから、誰もうまくいかないわけです。


(実際には、仮に超頭脳な人たちが集っても、声がでかいやつとか偉そうなやつに言いくるめられたりするので、あまり当てにはなりません)




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 そうすると、僕たち私たちのようなあまり賢くない庶民が、いくら「こうだろうああだろう」と考えても、そもそもダメなわけですが、かといって、自分の仕事や日々のくらしを


「今日もサイコロ振ってきめちゃお!あ、×が出たから今日は営業行ってもムダー!」


というふうにバクチにゆだねるわけにも行かないので、 せめてできることがないか考えるわけです。



となると、もう一度、原点に立ち戻って、


◆ 確実性の世界で高みを目指すことが学力である。


→ しかし、わたしは一橋大や筑波を出ていないので、アホである。



と、まずは「確実性の分野で、戦おうとはしない」ことを心がけることができます。



そして、



◆ この世は、不確実ではあるが、ランダムではない。



→ したがって、バクチのような生き方はやめよう


という心がけもできます。




 そして、いよいよまとめに入っていきますが、


◆ この世は、複雑系なのだから、答えはわからないし、アバウトに作用する。



→ ひとつの考え方に固執せず、何をやるにも、「ええ加減、(よいころあい)」ぐらいでいい




◆ しかし、偶発事象ではないので、なんらかの方向性ぐらいはある。



→ アンテナを張って、それがよさそうだとなんとなく思ったらやってみる(でも固執しない)




という考え方が大事で、できるならこのサイクルをころころスピード感を持ってやることが大事だとわかるのです。



そうすると「頭で考えるのと実際にやるのは違うけれど、すぐ修正してゆく」ことも可能になってきます。




 この生き方、外部からみると


「すごくふわふわしていて、変わり身も早い」


とか


「けっこうその都度場当たり的で、いいかげん」


に見えるというマイナスもありますが、でも、それでいいのかもしれません。



 少なくとも、バクチ打ちよりマシで、かつ「凝り固まった秀才」よりも結果を出すことは間違いないでしょう。





2019年3月20日水曜日

富士通 FUTRO(ヒューロー) MP702 の中古は買いだぜ! (MA552との違いは?)



 







 中古の出物で「当たり!」なガジェットが出てくることがたまにあるのですが、今回ゲットしたのは、




富士通 FUTRO(ヒューロー) MP702

http://www.fmworld.net/biz/thinclient/1206/mp702/


というちょっと変わった、にくいあんちくしょうです。


 とりあえず、PuppyLinuxが動いています。ライブUSBを刺しただけ。



 ヤフオクでたまに1980円くらいで出品されているので、お宝好きな方は、どうぞ。


 このマシン。ほとんどネットにも詳しいことが出てきませんが、それもそのはず、普通のパソコンではなく「シンクライアント」として企業向けに供給されているので、


「どこかの企業の社内PCの更新」


の時なんかに、ぞろぞろと複数台放出されることが多いようです。











【1 シンクライアントってなあに?】

 パソコンが10台並んでいるとすると、その10台がそれぞれ頭(CPU)を使っていろいろ計算したり考えているのが、普通のパソコンの世界観です。

 それに対して、シンクライアントは、10台モニタとキーボードが並んでいるのだけれど、肝心の計算やら考え事は、中央や別の部屋にある「すごいコンピュータ(サーバ)」が一手に引き受けて、みんなの手元の機械は実はなーんにも考えていない、というしくみです。


 むかーしむかしにも「オフコンとターミナル端末」という形でこれと同じことをやっていたのですが、現在ではセキュリティやメンテナンスの面からメリットがあるので、この中央集権型のシステムが見直されているというわけ。





【2 シンクライアントのメリットは?】


 大きい会社や組織で、パソコンの管理を任された経験があるならわかると思いますが、何かソフトをインストールしたり、すべてのマシンに同じソフトを入れなおさないといけないような場面があれば、100台あれば100回同じことをしなくてはなりません。

 でも、シンクライアントであれば、100台あるのは単なる端末なので、中央のサーバだけ手直しすればOK!

 ざっくり言えばそういう感じのメリットがたくさんあります。





【3 MP702ってどんなマシン?】


 富士通さんが販売していたシンクライアント向け、「端末」用途で設定されたパソコンです。

 基本は法人向けなので、そこらへんでは売っていません。

 シンクライアントは、「何も考えないアホなマシン」なのですが、実際にアホなマシンを一から作るとよけいにコストがかかるので、富士通さんの場合は



 ふつうのパソコンと共通した機械で、シンクライアント向けモデルを作っている



と言えるでしょう。なので、結果的に普通のパソコンとハードウエアはとても似ています。





 【4 中古のMP702はどこがいいの?】


 なんと言ってもクセがあるモデルなので、元からWindows10が入っていたりはしません。

 ましてやライセンスを示すシールも貼っていないので、windows系のOSを使いたい人は、導入には苦労すると思います。

(別にWindowsを買ってこないとダメだから)


 ですが、Linuxを使う人にとっては、MP702はものすごくコスパがいい!ということを知っておきましょう。


  では、どこがいいのか?


 ◆ だいたい、ノートPCの動作可ジャンク品の相場は、CPUがCeleron 900・575・500あたりのシングルコア2GHZ前後で、 メモリ1Gハードディスク無しで3000円(+送料)くらい。

 ◆ それに、ちゃんとWindows7以上の正規のライセンスがついて、正常稼働品で5000円~7000円くらいになる。

 ◆  Core2Duoの当たり品で、3000円ぐらいから買えるが、普通は2コアのマシンだと5000円くらい。正常稼働品で10000円くらいが相場。


 ◆ MP702は、もともとWindowsのライセンスがないので、いわゆるOSが載った品は最初の購入者が後からOSを入れているものが大半。OS不要派には元から都合がよい。


 ◆ スペックがなんと!

Celeron 877(1.40GHz)2コア +メモリ2G

 どのみちジャンク品だと、ほかのノートでも大半HDDは欠損しているので、HDDが最初から入っていないMP702でも全然問題がない。


 ◆ 12.1型ワイドのB5ファイルサイズなので、超コンパクト!いわゆる安いPCだと15.6インチもしくは15.4インチのA4ファイルサイズの出物が大半のなか、貴重なB5サイズ!
 WXGA(1280×800ドット)


◆ 無線LANもUSB3.0もついている!セレロン900クラスのノートPCだと、まだ無線LANとUSB3.0が標準でない時代のものが多いので、お得!


◆ 裏ブタあけたら2分でごはん!・・・ちがった、HDDを内臓可能!

 


 ほれ!2.5インチHDDのマウンタと、フレキシブルケーブルの接続端子が!



 


【5 MP702の残念なところは?】

  ない!といいたいところですが、光学ドライブ(DVD/CD)を内臓していないので、ドライブがほしい人には不向きです。

 でもまあB5ファイルサイズですからね。そういう人は、光学ドライブは必要な時にUSB外付けなのではないでしょうか?

 
 あと、CPUは交換不可、直付けですので、あしからず。





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 というわけで、よい子はマネしちゃいけない


デュアルコアノートが1980円なら、おもちゃとしては最高だよ!

(HDDはヤフオク中古で500円ぐらいからあるので買ってね!)


というお話でした。


 シンクライアントPCなので、BIOS周りがややこしそう?と思うかもしれませんが、ライブUSBにしておいたLinuxがそのまま動きます。

 むしろ、何も考えずともライブUSBがさらっと動いたので、拍子抜けしたぐらい。


 





<おまけ> 


 FURTOの中古だとMA552もたまに放出されています。


 こちらは15.6インチのフルサイズノートなので、大きくていいなあ!と思いがちですが、いくつか気をつけるポイントが。




 ◆ まず、初期バッテリーが発火の恐れがあり、リコール対象。

 ◆ CPUがCeleron B730(1.80GHz)というシングルコア! 


 ◆ フルサイズノートだけれども、どっちみち光学ドライブは元から不搭載!




 ◆ でも、こちらは液晶がフルサイズHD!(1920×1080)

2019年3月19日火曜日

【たのしい裁判入門】 スピンオフ 「さしおさっ!」



こんばんは、なんとなく「けいおんっ!」とか「とめはねっ!」とか、そういう美少女アニメのノリで書いてみましたが、少しはかわいく見えるでしょうか?あなたのおたくの恋人(←おたくの意味が違う!)不動産オタクの吉家孝太郎です。

というわけで、しばらく遠ざかっていましたが、さしおさ・・・差し押さえですよ。奥さん。

今月は弊社の「不良顧客キャンペーン月間」なので、売掛が残っている&もうおまえなんきゃ客じゃねえ、な方々に対して法的措置をガンガン推進してゆく強化月間なのです。


しばらく更新もせずになにをやっていたかというと、仕事ですよ。仕事(^^

今回は通帳を差し押さえちゃいます!

登記簿謄本をとってきたり、申立て文書を作成したり、当事者目録や請求債権目録を作ったり、地裁の事務方に電話をかけて

「はあはあ・・・はあはあ・・・、おねえさん、第三債務者が2名の場合の郵券の額はいくら?」

ということを尋ねたり(←はあはあ、は不要 笑)


まあ、ちょっとコミカルに書いていますが、実際は至って黙々と準備をします。

この裁判系の書類と言うのは、とかく細かく・ややこしいので時間と手間がかかるのは致し方ないところ。

たとえば

「あんたっ、これこれこんだけのお金、払ってほしいんだからねっ!だからこんだけ、差し押さえちゃうんだからね!」

という内容を書くのが「請求債権目録」という文書なのですが、

ここには

「元々の未払いのお金の金額」
「そこから一部支払ってもらった額」
「未払い期間の遅延損害金の額」
「これまでの裁判とかにかかった費用の額」

を書きます。


それに加えて

「今回の差し押さえ手続きの手数料」
「それの通知に使う切手代」
「法務局へ行って来てとってきた登記簿謄本の代金もおまえ払えよな」
「この書類を作ったのにだって手間がかかるんだぜ、だから手間賃くれよな」
「あ、そうだ前の裁判の結果がちゃんと相手に届いているか確認して!な証明書代」

などを書き加えていきます。

で、請求する総額を決定して、今度はそれを各銀行さんに対して振り分けて請求をかけるわけです。

全部の金額が100万円だとしたら、A銀行からは50万、B銀行からは残りの50万、みたいな感じです。

あ、それから「今回の事件の人間関係一覧」とも言うべき「当事者目録」というのもつくらなくてはなりません。

「払ってもらってないうちの会社」
「払ってくれないあの人の名前」
「あの人が持ってる銀行名と頭取の名前」
「あ、本店じゃなくて、どこそこ支店ね、そこの住所と名前」

みたいな住所と名前のリストです。

今回は銀行2箇所にガサ入れするので、その分リストが増えますね。


あ、そして大事な、銀行さんへの「陳述催告の申立て」というのもあります。

まったくもって、法律関係のことばは難解なのですが、簡単に言えば

「陳述」=言って 「催告」=させて 「申立て」=お願いしますよってに

ということ。

「あのな、裁判所はんが尻叩いて、銀行はんに「あいつ、口座に○○円持ってまっせ」って言わさせたってくれ。お願いしますわ」

です。

これをしないと裁判所が「○○銀行、そのほうにあるだれそれの預金を、しかと差し押さえる」と命令をかけても

「は~?うちにその人の口座があるかどうか、なんであんたに言わなあきまへんねん」

みたいになるわけです。

だから裁判所は「そんなこと言わんと、ほれ、こうやってうちにも「銀行はんによろしゅう言うたっておくれやっしゃ」って頼まれとりますのや」

という文書を見せるわけです。


さあ、ここから銀行はんがどう出るか!!!

「しゃーおまへんな。ほなまず金額は言うたげますわ。50万、50万円口座におます」

と一応の回答をしてくれますが、次に

「銀行はん、そしたらそのお金、この債権者はんに払ろたってくれますか?」

と尋ねたら回答が分かれるのです!!!


ア)うまくいく場合

「よろしおま。ほな、その兄さんに来てもろてください」

イ)うまくいかない場合

「なにを言うて播磨屋橋!この預金は、ビタ一文払うわけにはいきませんのやっ!なんで?ってあんた。うちが貸したある借金がありますのや。うちに貸付がある以上、なんぼ預金があったところで、払うことはできまへん」


いやあ、裁判ってほんとうにドラマですね。では、また次回をおたのしみに!




<オリジナルは2012年の記事です。「たのしい裁判入門」はここから永遠の中断に入って今に至ります。>

2019年3月18日月曜日

【たのしい裁判入門】 スピンオフ  督促OLの回収4コマブログ



みなさまおばんです。吉家孝太郎です。

北海道では、夜の会合なんかの挨拶で「おばんです」と言います。たとえ集っているのがみんなおじんでも、おばんなんです。

もっと丁寧に言うと


「みなさまおばんでございます」

になります。ええ、わたくしもそろそろいいかんじのおじんでございます。



さて、今日は、すごく興味深いブログを見つけたのでご紹介。



督促OLの回収4コマブログ
http://ameblo.jp/tokusokuol/



某信販会社で債権回収のお電話をなさっている方のブログです。


ああ、ボクも「共感っ!」するところが多々あったので、ぜひみなさんにも読んでいただきたいっ。


督促OLさんの謙虚で謙虚で謙虚な語り口調に涙です。


うちの場合は債権回収ではなく、売掛金の回収ですが、似たようなものです(苦笑)


違うところといえば。


督促OLさんは、電話や書状での督促がメインなのに対して、ボクは民事裁判での督促がメインだったということでしょうか(爆)


裁判所に行くとね、督促OLさんたちの領域を超えてしまった債務者たちのリストをもった顧問弁護士さんが原告席に座って、裁判官にリストを読み上げてるわけですよ。

「はい、〇〇さん来てません。なので〇〇ということで。〇〇さんもですね。はい。はい。」

と裁判官も

「はい。では〇〇ということで。はい。はい」


・・・・なにこの流れ作業的な!!!

というわけで、続々と判決が確定してゆきます。「主文 被告は原告に〇〇円支払え」みたいな感じで(^^;

で、傍聴席で、ボクはそれを聞きながら自分の番を待っているという(苦笑)


たまーに、それでも、カード会社の弁護士さんVS茶髪でジャージのやつれた女子、という構図を見たことがあります。

まあ、たいてい被告は出廷しないので、原告である債権者の主張がそのまま判決になります。しかし、被告が現れると、話し合いということになります。

「で、おたくは月いくらくらいなら払えるの?」(裁判官)
「・・・一万くらいです」(茶髪女子)
「こちらはこう言っておられるけど、どう?」(裁判官)
「まあ、それで分割で行きます」(カード会社側弁護士)
「うん。では、そういう方向で」

みたいな感じですね。かなりゆるいです。


あ、それからカード会社じゃなくて携帯会社の弁護士もいましたね。


で、ボクの番。ボクが原告席に座り、お金を払ってくれない顧客が被告席に座ります。そして、裁判官が言う。

「まあ、こうして裁判にでてきてくれてるんだから。話し合いで解決しましょうよ。ご覧になったとおり、裁判にすら出てこない人が多いのが事実なんですよ。ね、〇〇社さん」

は、はあ・・・・。

みたいな(笑)

・・・しばらく更新してない裁判ネタも、そのうちそのうち弁解しながら日が暮れる。みつお。




<ヤフーブログ終了に伴う転載。 オリジナル日付は2012.3.14>

2019年3月17日日曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」③



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さて、しばらくぶりのこのシリーズ。前回までは、いろいろ売り掛け代金がたまっている不良顧客から、どうやってまずは集金の催促をするか、というお話でした。

ところが、実際に訪問したり、連絡したりしてちょびっとでも代金を支払ってくれる顧客なんてすくないもので、ほとんどの場合は、暖簾に腕押し、ぬかに釘、豆腐には生姜が合うよね、です。

そこで、いよいよ社長と相談の結果、とある不良顧客に対して、「支払督促」制度を使ってアタアアアアック!してみようということになりました。


<支払督促制度って?>

ヨシイエ流、とってもわかりやすい書き方でご説明しますね!

支払い督促制度は、裁判所が〇〇さんに「あんた△△さんがお金払ってほしいて言ってるから、払ってあげなよ!」と肩をおしてくれる制度です。

もちろん、〇〇さんの意見も大事なので、「〇〇さんだって、文句があったりするんだよね?もしそんな文句があるなら裁判してあげるから、嫌ならいやだってはっきり言っていいんだよ!そんなときは裁判しようね!ほら!裁判しよう!」という風にも、公平に相手にも肩を押してくれます(^^

なので、支払い督促は、「相手方に文句がない場合」はそのまま進行しますが、「相手方に文句がある場合」は、「というわけで、お互い言い分があるっぽいので、ファイッ!!カーン!」と裁判に移行します(笑)

裁判に移ってしまえば通常の訴訟なので、また別の機会に説明するとして、そのまま進行した場合について、ご説明!

裁判所からの連絡が来て、相手が2週間なにもしなかったり、文句がなかったりすると、次は「仮執行宣言」をつける手続きをすることができます。

この仮執行宣言というのは、簡単にいえば「とりあえず、払ってもらってない代金を、仮に押えてしまっちゃおっか!」ということで、いわゆる差し押さえみたいなことができる制度です。

本裁判ではないので、きちんと裁判官が判決を決めて「これは許さん!差し押さえの上、とりあげじゃ!!」って決めたわけではないので、”仮”なんて言葉がついてますが、ぶっちゃけふつうに差し押さえて取り上げできるので、超便利な制度です。

法律的には、なんと、仮執行宣言付支払督促は「確定した判決とおなじ効力を持つ」のだそうで、・・・ぜんぜん仮じゃないじゃん!!!


(もちろん、簡易裁判所扱いの支払い督促なので、金額が大きくないというのがミソです。やはり数百万とか大きい金額になると、なにをするにも正規の手続きが必要です)


さて、2週間たつと、裁判所から「相手方なんも言ってきよりまへんで、どないしはりますか?」という連絡がきます。

そこで、さっそく、こちら側としてはもう一度「仮執行宣言付支払督促」の申し込みをします(^^

2段階になっているので、ちょっとめんどくさい感じなのですが、それでも正規の裁判よりはるかに簡単なので、相手が何も言ってこないのは「ホンマにあほちゃうか!しめしめ。うひひひ!」な感じです(笑)

そして、もう一度「仮執行宣言付支払督促」申し込みをしてから2週間すると・・・・


なんということでしょう!!!


差し押さえしていい権利が確定するのです!!!まあ!さすが匠!!


しかしまあ、支払督促が来てから4週間も「なんだよ!オレにだって言い分あるんだよ!」という反論のチャンスがあるのに、何もしない「しらんもんね。ほっとけほっとけ」な人はアホというしかないですね。

なにもせずに「差し押さえされてもいい権利」をあげちゃうわけですから!!!


こっちから見れば、「差し押さえしていい権利」が来てしまえば、あとは給料を差し押さえしようが、通帳を差し押さえしようが、やりたい放題です。不動産や車とかは、差し押さえ手続きがめんどくさいのでお勧めしませんが、「そいつがつぎに請け負う仕事」とか「いま契約して進行している工事」とか、そういうのも差し押さえできますので、これはおいしい!!!!


こんな面白い制度ですから、ぜひ良い子のみなさんはマネをしてください!!


☆ちなみに、注意点がいくつか

〇通常の裁判は、自分の住んでいる地方の裁判所に相手を呼びつけることができます。
なので、ボクの会社が大阪で、相手が東京の場合、「おらおら大阪の裁判所までこんかい!おらおら!」と呼びつけることができます。

しかし、支払督促は、相手側の管轄裁判所になるので、今の例だと「東京の裁判所に申し込み」をすることになるのです。そのまま、黙って進行すればいいのですが、もし反論があって「通常裁判」になると「え?オレ東京まで行かないとダメなの?」ってことになります。

なので、遠方の場合は、支払督促はちょっとデメリットが大きいかな。地元の商売なら、バンバン使いましょう!

〇手数料は通常訴訟の半額ですが、ふつうの裁判に移行しちゃうと通常の金額に戻ります。なので、基本的に「相手にまったく文句がない場合」や「相手がほんまにアホ」な場合に有効な制度だといえますね。

しかし、「異議申し立てをしないなんて、そんなアホなやつがそんなにいるのか?」と思われると思いますが、実は、多くの人は反論(異議申し立て)しません(苦笑)

というのも、裁判所からの命令みたいな感じで令状(笑)が来るので、「ああ、なんかもう裁判所の命令だからだめなんだ」みたいに観念する人が多いのです。

(そこで、ちょっと法律に詳しい友達とか、何度も破産してプロになってるダメ社長とかが知り合いにいると「おまえ、それ手続きしないと差し押さえやられるぞ」みたいに入れ知恵される人は、異議申し立てをして助かります)

そんな友達がいない人は、確実に黙ってしまいます。なので、うちの会社としては、大体勝率7割くらいで、そのまま支払督促が通ってしまうのです(爆笑)

3割は、やっぱり裁判に移行しちゃうかな。


というわけで、今回は説明ばっかりでしたが、次回からまた物語に戻ります!




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とここまで書いたのが、2011/8/25日まで。yahoo!ブログが終了になるので移動してきましたが、続きはいつになることやら。


(いちおう未完で中断です)


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2019年3月16日土曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」②



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

売掛金の支払いを滞納している不良顧客の処理をはじめた吉家&社長のドタバタコメディがはじまったところですが、まずは王道の「直接顧客に支払いをお願いしにゆく」ということも大切なわけで。

顧客の状況を知ったり、住所を確認したり、いろんな調査をするためにも、ボクは領収書を持って「顧客まわり」を始めたのでした。

もちろん腹の中では「ふふふ、支払い督促やら、小額訴訟やら、そして本裁判までしてやるもんね」という不埒なことを考えていますので、ただ訪問するわけではありません。

「こんにちは~〇〇社の吉家と申します~」

と顧客(ただし、いまでは支払いをしていないので、ずっとツケだけが残っている元顧客)の家を訪ねます。

「・・・なに?だれ?」

と家人やら本人が出てきたら、まだまし。新しく担当になった事情を話して、少しでも支払ってくれるように交渉するだけです。

まあ、100%

「ごめんなあ。わかってはいるんだけど厳しくて」

と表面上は大人のお話が続きます。しか~し、その場でお金を回収できることはまず、ないわけで(笑)

で。「どうですか、最近の仕事の状況は」とかさりげない話をしながら、様子を伺うわけです。

定期的な仕事はあるのか、単発でどんな仕事をやっているか、などなど。

その影で、

「持ち家か借家か」「金目のものはあるのか」「車はどんなの乗っているか」「嫁はんを連帯保証人にできそうか(パートで仕事しているか)」「子供は独立してるのか」

まあ、ちら見で調査する項目は山ほどあります。

「おとんやおかん(じいちゃんばあちゃん)と同居しているか」とかも大事な項目。

だって、家屋敷が「じじいの名義のまま」かどうかは重要ですから!!!(キリッ)

ぶっちゃけ。訪問の目的は「お金の回収」ではなく「裁判の準備」なわけですよ。

だから心優しい、弱弱しい、いかにも新人なんすよ、ボク的な雰囲気で相手からいろんな話を引き出すことが大事なわけです(笑)

面白いのは、相手が兼業でちょびっと農家だったりするときに「農協に何を卸していて、どれくらい農協から借りていそうか」なんてことも値踏みします(^^

秋になって収穫があると、現金が入るし、まともに農協とやりやっても「農協のほうが貸付金が多くて勝てない」という場合もあるからです。


しかし、完全に居留守を使われる場合もあります。だって、そりゃあなた。〇〇社のロゴが入った車で乗り付けたら、バレるがな(爆)

でも居留守でも留守でも大丈夫!!

ボクはかならずお手紙を書いてゆきます。そして、おもむろにおうちの状況をチラ見させていただき、お隣さんやら、近所の方々に「質問コーナー!」をはじめるわけです。

「あの、、、〇〇さんいらっしゃらないようですが、いつもお留守なんですかね」

と近所が仲良しだろうが、険悪なムードだろうが、尋ねます。

わが社では、こうして出会えた近所の方を

「第一村人(BY笑ってコラえて)」

と呼んでますが、この第一村人たちがまあ

おしゃべりなこと!!!

「いや、ワシらはよ~知らんのやけどな。いや、あんまりわからんのやで」
と言いながら、近所のうわさは全部話してくれます!!!(笑)

実際、ボクはさっきのひとことしか話さず、あとは「はい」と「そうなんですか!」しか口にしないのに、全部話してくれるのです。

ご主人のこと、奥さんのパート先、こどもの話。

都会のマンション暮らしの顧客だとそうもいきませんが、まあ建築関係の仕事をしている人間は地場の人であったり、作業場を持っていたり、資材置き場を借りている関係上、だいたいそこら辺の人とつながりがあります。

そして、顧客が本当に居留守ならしめたもの、第一村人たちと話している僕の姿をみながら、悶々とした気持ちになっていただけるからです。


一番面白かったのは、この第一村人作戦の翌日から、実際に1万円ずつうちの会社に支払いをはじめてくれた顧客がいる、という事実!!!!!

見てたんだね~。ブラインドの隙間から。

すごいパワーです。1万ずつじゃ話にならんのだけど、でも踏み倒されるよりマシですね。


まあ、こんな感じでボクは「支払いの取立て」みたいなことは全くしません。ふつうにお話をしにゆくだけです。


そう、実際の取立て威圧行為は裁判所に任せて「国家の権力」という圧力をかけてもらうためです!


僕らはちっちゃな吹けば飛ぶような存在ですから、そんなそんな、なにも力がありませんよ(笑)

2019年3月15日金曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」①



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さてみなさん聞いてください。

第一話では、裁判所でいろいろと手続きはしたものの、結局「訴訟の取り下げ」というなんとも後ろ向きな手続きしか体験できなかった吉家&社長ですが、(社長&吉家と書け!とか、そういうちっちゃなことでは怒らないわが社のトップです(笑))
いよいよ第二話からは、もう少し本格的なお話に突入です。

しかし、いくら売掛金を払わない客がいるからといって、すぐに「訴えてやる!」というわけにもいくのかいかないのか。


では、売掛金を回収するのにどういう方法があるのか、ということで吉家&社長はいろいろと事前にお勉強をするわけで。

というか、「お勉強をするのは吉家で、その報告をもとに一緒に考えるのが社長」です。そこんとこよろしく。


「まあ、まずは直接お会いして『払ってください』のお願いをするのが筋ですよね」
と、やわらかくスタートする吉家。

「まあな」と社長。「しかし、それでうまく行っていないからこうなるのだ。そして、親父がそういう顧客をほったらかしにしていたので、こうなったのだ。・・・それは、まあいいとして。ほら、よく聞くじゃないか!『内容証明郵便』を送りつける、とかなんとか」

「ありますね。内容証明というのは、その手紙に書いてあることの中身を郵便局でコピーしておいて客観的に『ほれほれ、こんなこと言ってまっせ』という証拠を取るものですね」


「効くかな?・・・無駄かな?」

「うーん。どうでしょう。少なくとも法的にはなんの力もない作戦ですから、相手さんがビビるかどうか、というそこだけの問題だと・・・」



説明しよう!『内容証明郵便』は、その名のとおり、内容を証明してくれる郵便なのだっ!

ちなみに、ただ、それだけなので、心理的な負荷をかけることはできても、法律的にはなんの意味もない、ということになります。

でも、たとえばクーリングオフとかの場合に、「〇日以内にちゃんと、いらなくなったことを意思表示したよ!」という証拠にはなりますね。特に日付については重要。

単純に「ちゃんと言ったわよ!」とかだけだと客観性がないので、トラブルになったときに証拠がないわけで。なので、そういう用途には有効です。


「そうか・・・。じゃあ、次はいよいよ裁判に訴えるしかないのか」と社長。

「いえいえ、そんなノビ太くんのために、ちゃらちゃらっちゃら~!!」

おもむろにポケットからボクが取り出したのが、コレ!

「しはらいとくそくうううう~!」

「支払い督促?支払いのさいそくをするってことだろう?」

ちょっとばかし社長は不思議そうな顔をしています。

「もちろんことばの意味はその通りです。支払いを早くしてね、と催促することです。ただ、普通の催促は『早く払ってくださいよ』と僕ら営業マンが顧客にお願いや腕ツンツンすることですが、裁判所の場合はもうすこし厳格なものです」

「ふむふむ」

というわけで、みなさんにもわかりやすく説明しますね!


まず、支払督促というのは、お金を貸している側が「あの人に早く払えって言ってやってよ!」と裁判所に申立てをするところから始まります。

そうすると裁判所は「あいつが早く金払えって言ってるぜ、払ってやれよな」と援護射撃をしてくれます。

で、相手が「仕方ないです」と納得すればよし、もし「そんなの知るかボケ!」と納得しない場合は、「なんか、不満があるらしいぜ!」と裁判所はちょっと気合が入ります。

だって、そのまま「ほんまもんの裁判に突入」するから!!!(^^

支払い督促に不服があると、本裁判に移行するのでそこからがいわゆる「裁判」なのですが、相手が100%納得している場合は、裁判にはなりません。

なので、売掛額とかがもう決まっていて、払ってくれない事実が確定している場合は、処理が早くできることが多いのです。


おまけになんと、手続き費用は、本裁判の半額です!50%オフ!バーゲン!

手続き費用も安く、書類も簡単、うまくすすめばそのまま差し押さえまで突入できる。


「うまい!はやい!やすい!」

のまさに裁判界の吉野家・王将のような制度なのです!!!


「よよよ、よし!それ、それで検討してみよう!」

「御注文ありがとうございます!トクソクいっちょ~!!!コーテルイーガ!」


(というわけで、支払督促制度に興味しんしんな次回もお楽しみに!)

2019年3月14日木曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」最終回



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さあ、夜逃げ屋本舗山田太郎氏が行方をくらませてから、ボクがなんとか最後の住所をつきとめたところまでが前回のお話(^^

そして、どうやら、山田氏はもうそこにはおらず、何度か調査しても住んでいる気配がない、ということで、裁判所に調査報告書を上げたところから今回のお話です。


さて。

”たのしい裁判入門 ちょこっと解説シリーズ2”
http://blogs.yahoo.co.jp/nensyu_300/5677198.html

でもお話しましたが、裁判をしたり、取り下げるときには「相手にもその事実がきちんと伝わる」ことが大切なわけで。そこで、裁判の書類なんかを送り届けることを「送達」と言って、簡単にいえば「めっちゃハイレベルなVIP待遇の郵便」みたいなもんなのよ、ということでしたね。

ところが、今回のように「山田太郎が逃げてしまっていない」とか「そもそも、トラブルになっていた相手が偽名だったらしく、どこにいるのかもよくわからない!」など、いろんな事情で「相手に裁判に関わる書類が届けられない」という事情がある場合は、どうするのか。

警察の刑事事件なんかでは「被疑者不詳のまま、書類送検」なんて言葉がニュースで出てきたりしますが、おなじように、民事事件でも相手がいなくても「手続きが進められる」ように実は、ちゃんと制度ができているのです。

それが、「公示送達」という制度で、簡単に言えば、「山田太郎、出ておいで!こうやってみんなの前にあなたの名前を晒しておくので、気付いたら裁判所に申し出てね!」という張り紙を裁判所の掲示板に張っておくのです。

やり方も原始的です。ほんまに裁判所の前の掲示板に、2週間晒すのです(笑)。で、2週間たって、なんの音沙汰もなければ「もうこれで、あなたに送達したのと、おんなじなんだからね!」と強制的に送達したことになっちゃいます。

今回のように「裁判取り下げ」の案件だったら、相手もそんな話「気付かなくても」なんの文句もないでしょうが、訴えられる側だったら、ちょっと怖いですね。

「え!そんなん聞いてないよ!ちょっと行方をくらませて仙人生活してただけじゃん!」とか

「え!そんなの知らないよ、ちょっとホームレスしてただけじゃん!」

とかでも、ダメです。そんなこんなでもし、裁判になっていることも知らずに、当日ももちろん欠席して、100%負け裁判になって判決まで下りちゃっても、もう文句言えないのです。(いちおう、理屈上はそうなります)


というわけで、無事?山田太郎氏の訴訟については、「取り下げ」ができ、預託していたお金も返してもらうことができました。

具体的な手続きは、なんせ裁判所や法務局にいろいろ書類を書いて出さねばならないのですが、まあ、そのへんは流れ作業です。事務官の方に教えてもらいながら、ちゃっちゃか、ちゃっちゃか書き上げて、すんなりOKをもらいました。

こうしてボクの探偵ゴッコ&裁判所デビューは、なんとか無事に終了したわけですが・・・。

「というわけで、社長!かくかくしかじかでうまく行きました!」と完了を社長と喜び合っていると、社長が

「で、だな・・・。」と声を潜めます。

「な、なんでしょうか?」

「いやあ、吉家くん!君の今回のすばらしい働きに感謝して、お願いしたい仕事があるんだよ!もちろん!わたしも全面的に協力するが、いや、前面に立たなきゃならないのは私なんだが、ちょっとばかり実務的に力をかしてくれんかな?」

な、なんだろう。全面的に給料アップとかなら、とっても嬉しいのですけど・・・。


「これこれ、これだよ。いまのうちの売掛で未納になったまま未解決ファイル行きになっている迷宮入り事件があってだね・・・」


「・・・。ようするに、お金を払ってくれていないお客さんがまだまだいるんですね」


「さすがだな、名推理だ!いよっ!名探偵!」


「で、どうするんですか?この入社してまもないボクに、土下座してお金を回収して回って来いとおっしゃられるなら、しがないサラリーマンである吉家は、さからう術もございません」


「いや、いや、これらの顧客はそんなヤワじゃないツワモノぞろいだ。集金に行って払ってくれたとしても、1回につき千円、2千円では話にならん、そこでだ!」


じゃじゃーん!という効果音がついてそうな勢いで、社長が言います。

「裁判しよう!!!!」

・・・。

「マジですか?裁判とかほら、お金かかったり弁護士に頼んだり、時間かかったりするじゃないですか!」

・・・説得力ないなあ。今回、お金もかからんかったし、弁護士もいらんし、10年ほっといた山田太郎を数日で処理したようなもんだからさ。


「いやいやいや。140万円までなら簡易裁判所扱いで、弁護士いらんし、ワシのハンコと決裁があれば訴訟もできるし、君と私でやれば、仕事の合間にちょこちょこっとだね・・・」


・・・そんなこと言い出すと思ったぜ。まったくう!


まあ、社長にしてみれば、探偵ゴッコはともかく、実務的な文書をちゃっちゃか、ちゃっちゃかとボクが書いてしまったのを見ていた、のが良かったのか悪かったのか!弁護士も司法書士もいらん!こいつがいれば、ある程度までの訴訟はこなせる!と思ったのでしょう。

ええ、ありがたき光栄。


というわけで、今度は素人弁護士になりそうな吉家孝太郎と社長のタッグで、「民事裁判」を本格的にスタートすることになりました。

いよいよここからが「楽しい裁判入門」の本編になったりしてね!(^^






次回、「たのしい裁判入門 支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事 の巻」おたのしみに!

2019年3月13日水曜日

【たのしい裁判入門】 ちょこっと解説シリーズ2



「送達しましょ、そうしましょ!」の巻

前回の「たのしい裁判入門」の次回のあらすじ、で登場した「送達」ということば。

ことばそのものは簡単なんですが、奥が深い裁判用語です(^^


ボクたちが普段使う言葉に直すと、「郵送」とか「配送」とか「配達」に似ている言葉です。


さてさて、裁判所が使う「送達」ということばは、裁判の関係者や当事者に「裁判に関する書類」を送ることを言います。

送って、到達しないとダメなので「送達」なんですね。送りっぱなしでポストにぽん!ではちょっとまずい。やっぱり大事な書類なので(^^

前にも説明したことがありますが、たとえば吉家が訴えられたとして、そのことを全くしらないままだとまずいですよね。

だから裁判所は「あんた訴えられてまっせ」ということを書類にして「必ず」送り届けてくれるわけです。

それは、電話でちょこっと話す、とか、郵便でポストにぽん!ではなく。郵便局の配達係りさんが、本人に

「はい!これ、ちゃんとあんたに手渡したんだからね!聞いてないとか、言わせないんだからね!」

と渡してくれるわけです(なぜツンデレ?(笑))

なので、郵便料金も高いです!!!

普通の定型郵便で80円なのに、書留でもせいぜい数百円なのに、このツンデレおやじがきちんと届けてくれる契約なので、たとえば特別送達だと1000円以上します。

郵便局のボッタクリだ!!!

なぜボッタクリかというと、「建前上はきちんと本人に届ける」というのが送達なのですが、本人がいない場合は、「相当のわきまえがある者に手渡すこともできる」というものなので、ようは家族とか、従業員とかに渡す場合もあるわけです。


・・・それって、簡易書留といっしょじゃん(☆_☆;;;


というわけで、一般的には「送達」とは「裁判書類などが郵送されてくること」とほとんど同義なのですが、実はその秘められたパワーが違います。

一般の郵送はその中に何が書いてあろうと、受け取った側からみたら知ったこっちゃないわけですが、送達された書類は「法的な効力」があります。

刑事ドラマで犯人の前に「これが逮捕状だ!」みたいに逮捕状を突き出すシーンがありますが、(あの逮捕状も裁判所が発行する文書ですね)それと同じで、郵便局のツンデレおやじが配達してくれたとしても、お上の目線では、

「そのほうども、これこれしかじか、かくのごとく申し渡す!わかったか!!!」

と言っているのとおなじ効力がある、というわけです。だから「読んでない」とか「開けてない」とか「知らない」ということが全く持って通用しません!!

逮捕状は持っている警官がえらいのではなく、それを発行した裁判所がえらいので、抵抗してもしゃーないですよね。

だから送達された内容について、われわれ庶貧民は「はは~っ」とひれ伏すわけです。
理屈の上ではね(笑)


ちなみに、裁判所からくるものは何でもかんでも「送達」かというとそんなことはなくて、たとえば「訴えた側」に対して「裁判スタートしましたよ~。相手さんにも書類を〇日に送りましたからね!」みたいな連絡は、ふつうのハガキできます。

「この書類足りないから、そろえてね」とかもFAXで来たりします。

つまり、その文書の法的な「重み(なんせもう、めっちゃ重要なヤツ)」によって、送り方が違う、ということですね。

・・・そんなこんなで、基礎知識を学んだところで、次回はいよいよ恐怖の「公示送達」について物語は進みます(^^ まて次回!

2019年3月12日火曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」⑥



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


ついに夜逃げ人間ギャートルズ「山田太郎」の住所をつきとめたリストラリーマン吉家は、そのまま市役所から、姫路市内へと乗り込んでゆくのであった!

というところまでが前回のお話。市役所の時点でとりあえず5時を回っていたので、会社にここまでの経緯を報告して、「とりあえず、本人を訪ねてみます!」ということでそのまま残業探偵へと突入したわけで。

姫路市内の住所はわかっても、それがどのへんなのか全く土地勘もなかった吉家は、とにかく市役所じゅうを探し回って、ゼンリンの住宅地図が置いてあるコーナーをみつけて、そこでページをめくります。

「ゲ!ここって・・・」

そう、そこは姫路の飲み屋街のど真ん中。なんでこんなとこに住んでいるんだ!アブナイ気配がゾクゾクする!という感じ・・・。



この胸のときめきは、絶対に恋じゃない!と思いつつ出発です。



で、その地域へ到着。

車をゆーっくりと進ませて、「さあ、いまから店が開きまっせ」という感じで、おしぼり配布業者とか、酒屋の車とかがうろうろしている繁華街の裏手を走ります。

と、それっぽい建物を発見。「〇〇ビル、ここかあ・・」と車を止めて、さっそくリサーチ。

どうやらそこは、マンスリーとかウイークリーで貸している賃貸のマンションで、おそらくワンルームがひしめいているようなところです。繁華街のど真ん中、とはいえ、一筋入っていますので、飲み屋の筋からはちょっとだけ離れているような立地で、意外に小奇麗なマンションでした。

玄関はオートロックで各戸へのアクセスは、玄関横のインターホンであけてもらわないとダメなタイプです。もちろん、われわれのような部外者は、玄関の扉が開きません。

「・・・よし!」
と意を決して住民票に書いてあった部屋番号のナンバーを押します。


「なんじゃい!わーれー!」


と見も知りもしないおっさん=山田氏に凄まれるかも!と思いつつ、ハタと気がつくヨシイエ。

「あ、そうか。今回は『金払え!』じゃなくて、裁判取り下げるんだから『金、払わなくていいですよ』って言えばいいんだから、怖がる必要ないじゃん!!!」

・・・だって、山田氏にとっては良い話じゃないか!ボクは幸せを届けに来てるだけなんだ!と自分に言い聞かせると、ちょっとだけ楽になります。

ピーンポーン!

・・・・

ピーンポーン!

・・・・

ピポピポーン!

・・・・いねえ!ラッキー!!!!!!

念のため、あと2回くらいピンポンしても反応なしです。

「留守なのかな」

・・・まあ、まっとうな判断ですね。だったら帰ってくるまで待たせてもらう、というのが筋ですが、いやいや、どうもそんな感じじゃないのでした。

ふと横を見ると、郵便受けの列が。そこで該当の部屋の状差しを見ると、案の条あふれています。

「ちょっとごめんしてね!」

と手を触れないように、はみ出している手紙類などの束から、宛名を確認すると、「山田太郎」の名があるじゃあーりませんか!!!

やっぱりヤツはここにいたのです。


しかし、それは「いる」ではなくて「いた」感じ。


すでに請求書、督促状などの束が無造作に突っ込まれているところからみて、どうやら山田氏はずいぶんまえにここから立ち去ったのだと思われます。

住民票を移していないことから考えて、こんどこそ本当に行方をくらませたのかもしれません。当然、売掛や借金が残っているのはうちだけじゃないでしょうから、追われて逃げてしまったのでしょう。

というわけで、ひ弱な青年ヨシイエは、結局怖いおっさんに出会うことなく、探偵ごっこを終了することになったのです。

厳密には、あと数回別の機会に訪問し、状況がまったく同じだったので、うちの会社としては手立てを尽くした、ということで、「これこれこういう状況でした」という報告書をし立てて、裁判所に提出することになりました。

「上申書(お上に申し上げます!)」という書類になるのですが、つまりは、山田太郎を出来る限りの住所探しをしたけど、がんばったけどもう無理なので、住所を確定して手続きをするのは厳しいです。ごめんなさい。ということをお願いするわけです。

すると、裁判所は

「よし、そのほうの願い、しかと聞いた。よって、お上の沙汰を申し渡す。『公示送達』という手続きにはいる」

はは~っっ。ありがたきしあわせ!

ということで、姿なき山田太郎が所在不明でも、裁判が進められる「裏ワザ」に突入したのであります!


(次回、公示送達ってなんだ?!あなたもやられる「公示送達」の恐ろしさ!の巻、こうご期待!!!)

2019年3月11日月曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」⑤



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


好評(なのか?)連載中の「たのしい裁判入門」のコーナー。前回は、夜逃げした山田太郎を追うために、東大阪の市役所へ向かうぞ!というところまでで終わっていました。

今回はその続きです(^^

朝から会社を出発して、とりあえず必要と思われる書類をそろえて東大阪市役所に向かった吉家青年(なのか?・・中年かも(^^;)は、窓口で住民票を取る手続きをしました。

ちなみに他人が住民票を取る手続き、というのはそのころはまだ簡単で、こっちの住所と氏名を申請書に書いて、免許証を見せるだけ、あとはせいぜい山田太郎との商取引の証拠になる納品書と請求書の写しを提示するぐらいでOKでした。

「おおお!なんて簡単に他人の住民票がとれるんだ!」


と小さく感動して、さっそく引っ越し先を見ます。

「・・・藤井寺市?!」

まじかよ~と思いながら、やるべきことはひとつ!そうです。今度は藤井寺市役所へ行って、おなじ作業です(☆_☆;

どうせいないんだろうなあ~と思いながら市役所の門をたたくと、

「・・・柏原市?!」

つぎは

「・・・神戸市?!」

と、まるでガキの使いのように、車を走りまわすだけ、という時間が過ぎていきます。

そうです。山田太郎の後を追跡するには、とりあえず市役所を回りまくる、という物理的移動をせざるを得ず、朝からボクは走り回ったわけです。

で、神戸まできたら4時過ぎ・・・。山田のやろ~いったいどこまでこの転居地獄が続くんだ!と思いつつ、神戸市役所で取った住民票には、「姫路市」とありました。

「姫路か・・・、間に合うかなああああ」

姫路市役所の窓口が閉まるのは5時。いま4時過ぎ!ということで、萎えそうになる心を奮いたたせてぶっ飛ばします。いや、制限速度で走ります(笑)

「もういいじゃん、また今度にしよ~」という心と、「いや、ここまで走り回ったんだから絶対つかまえてやる!」という心が戦いながらアクセルを回します。

ハンドルを握る顔つきが、まるでアクションスターみたいになってます(笑)

いったい何と戦ってるのかわからないけど、とにかく見えない山田太郎を追ってぶっ飛ばすのです!なんとか4時までに入りたい!!!

というわけで、姫路市役所に滑り込んだのは、4時50分。大慌てで書類を書きます。

「おおお、お願いします!」

と汗だくで、申請書を出す吉家青年(なのか?笑)



そして、もらった住民票を見て、

「うおっしゃああああああ!!!」

と思わず雄たけびを上げてしまいました。

転居先の欄が、「空欄」だったのです!そう!山田太郎は姫路にいる!(はず)

ついに、ついにヤツの尻尾をつかんだ!と姫路市役所のロビーでニタニタする吉家青年でした。


そこで、ハタと気付きます。「あの・・・ボク、山田さんと全く面識もないんですけど・・・」。

ええ?!いきなり、ピンポン押してどこから話せばいいの?おっさんから見たら「お前誰やねん」じゃないですか!

(ええ、ボクから見ても「あんた誰やねん」なんですけどね。山田太郎も通称名だし)

うっわ。いきなり遭遇してディープな裁判の話かよ~。きびしいなあ、とか思いつつ。

夜逃げするような人なんだから、怖い感じの人だったらガクブルやなあ、とか思いつつ。

しかし、そこは恐れるものはないリストラリーマン!

「でもまあ、会えたら会えたで、どないかなるわ!」

と気持ちを切り替えて、ボクは姫路市内の山田氏の住所に向かって走りはじめたのでした!

(つづく。・・・まて次回!山田太郎には会えるのか?!会えたとしても、まともに話ができるのか!頑張れ吉家!頑張れリストラリーマン!)

2019年3月10日日曜日

【たのしい裁判入門】 ちょこっと解説シリーズ。



「アニーよ住民票をとれ!」の巻


山田太郎探しのために、社長から昔むかしの「山田工業」の住所を教えてもらった吉家ですが、その住所に「山田太郎」の住民票があれば、そこから転居先を追跡することが可能なわけで。

その仕組みを解説します。

ある人が、住民票登録をすると、その市では「どこどこの市からやってきた」ということを記録します。そして、転居して住民票を移すと、その市では「どこどこの市へ出て行った」ということを記録するわけです。

  というわけで、住民票を取ると、「前後の住所」はわかるので、つぎつぎに住民票を取って追跡が可能になります。

ちなみに、その人の全部の住所の移動は「戸籍の附表」というのに全部記録されることになっています。住民登録した市町村は、毎回戸籍のある市町村にデータを送るわけですね。

(余談ながら、住民票関係はともかく戸籍はなかなか他人が取りづらいようです。住民票はもともと誰でも取得できる、という原則があったので、まだマシですが)

で、問題なのが、ボクらのような他人が、その人の住民票を取るのはどうなの?ということがポイントなんですが、実は法的には、「住民票であれ、戸籍の附表であれ、正当な理由があって、権利や義務を行使するために必要な場合」は他人でも取得できることになっています。ところが、それを実際にやるには、「正当かどうか証明する手段」がめっちゃめんどくさいわけで・・・。

ちなみに、ボクが山田太郎氏を追跡した5年前は、(2008年に交付制度の改正)基本的に窓口で「請求書類」さえ書けば基本誰でもスルーパスだったのです。

なので、当時は山田氏をめっちゃ追跡し易かったのでありがたかったのを覚えています(^^;

ちなみに、今は、以下の書類を持っていくと基本的にOKです。ボクは現在の住民票手続きには、かならず最初にこれだけ準備して役所に行きます。

①運転免許・・・ボクが誰か、の証明。

②社員証(健康保険証)・・・ボクが訴える側の会社に属することの証明。
これではダメなときがあるので「社員証明書(以下のものはうちの社員ですBY社長+印鑑)」を先に作っておいて常に持っています。もち、ハンコは社印ですよ。

③取引相手との取引の証明になるもの・・・(請求書の写し・納品書の写しなど)

④念書・・・取得した住民票は、目的外使用はいたしません、という市長あての手紙。

⑤裁判書類の写し・・・(裁判等になっている場合は、一式添付します)

⑥会社の登記簿謄本の写し・・・たまに要求される場合があるので、保険として。


これだけの書類をそろえて、市役所の窓口に行くと、まあたいてい住民票を出してくれます。赤の他人でも(^^

このテクを使って、別れた嫁はんの再婚相手の住民票を取ったこともあります。これは、前の嫁はんとの間にこどもがいたので、こどもを通して、向こうの戸籍とつながったので取れたのです。元嫁はんだけだったら、ちょっと厳しいかな。

ボクから見ると、自分の子供の戸籍をとるのは、(いくら現在抜けているとはいえ)正当な目的がある、というわけで(^^

それから離婚後の養育費の調停やら、弁護士とか頼まずに、自分だけで、家庭裁判所でうんちゃらかんちゃらしたのは、また別のおはなし(笑)

2019年3月9日土曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」④



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

裁判の取り下げには、原告(こっち側)と被告(あっち側)の住所がいるんだよ、ということを裁判所の事務官に教えられた吉家は、戸惑ってしまいます。だって、うちの会社が訴えている相手は、夜逃げしてもうどこにいるかわからないんだもの!

ということで、逃げた山田太郎の行方を捜すはめになった吉家の苦悩がスタートです。


さて、さて、そもそもなんで裁判の取り下げをするのに、相手の住所が必要なのか、という話。それは訴えるときも同じことなんですが、裁判所で「訴えてやる!」と相手と裁判する場合には、「自分の名前と住所」「相手の名前と住所」が最低必要で、あと場合によっては「関係者の名前と住所」が必要になったりします。

これがなんで大事かというと、裁判所は誰かからの訴えがあると、訴えられた側に連絡をとって「あんた訴えられてまっせ。いいんですか」という確認を必ずするわけですね。

そうじゃないと、訴えられたほうは、知らずに訴えられていて、裁判があるなんて聞いてないよ!ってなり、おまけに「出廷しなかったからあんたの負け」なんてなってしまうととんでもないダメージなわけです。

裁判は「あくまでもお互いの主張を言い合う、そして仲裁する」場所なので、どちらも「裁判になっている内容をちゃんと理解している必要がある」わけです。いや、僕も聞いた話なんだけど(笑)どうもそういうことらしい。

ということは、取り下げの時もおんなじで「あんた、あの話取り下げられましたで」ということが訴えられた相手に届かないとダメなのです。原則。だから、夜逃げした相手にも、基本的には連絡が付けられる必要があるし、ほんとに夜逃げしてどうにもならないのなら、「こういうわけで夜逃げしてはりますねん」ということを証明しないといけないわけなのだとか(^^;

「・・・ざっとまあ、こうこうこうらしいです」
帰社して社長に報告すると、じゃあ、いちおう探さないとしゃあないなあ、ということになり。当時の取引記録から「一番最初に取引したときの山田太郎氏・山田工業の住所」をどっかからか探し出してきたわけで。

「というわけで吉家クン。ヤツはまず東大阪にいたことはわかっている。じゃ、たのんだぜ!」
社長命令ですから、翌日から捜索開始です。本業のほうはいいのかなあ、と思いつつも、ボクはこちらの探偵ゴッコのほうに専念できる環境が与えられたわけで(^^;

いや、任された=ほったらかし。でもあるわけで(笑)

営業車に乗り込み、まずは東大阪市市役所を目指すことになりました!

2019年3月8日金曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」③



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


供託金を返してもらうには、まず裁判所で訴えを起こしていた裁判を取り下げよう、ということになったわけで。で、裁判所とやらに出向いてその手続きの方法を尋ねていたヨシイエでしたが、驚愕の事実に出くわしてしまうのです!

裁判所の事務官は、おだやかに説明してくださいます。

「わかりました。では、まずこの『取下書』に記入をしてもらうことになります」

「はいはい。なるほど、申立人は、上記当事者間の仮差押命令事件について訴えを取り下げます、ですね」

「で、次にあなたの会社と、訴えられている山田太郎さんの住所等を記入した当事者の名簿(目録)をつけて頂いてですね・・・」

・・・。そこで、ちょびっとハテナがいっぱいです。

「あの・・・。どうも山田太郎さんは、いまどこにいるかもわからないらしいので、住所とか書けないっぽいのですが・・・」

「はあ、わからないんですか?」

「はい・・・」

(沈黙)

「うーん、ちょっと面倒ですねえ。それならまず、「山田さんがどこにいるかわからない」という証明をしてもらわないとだめなんですよ~」

どこにいるかわからないという証明???!!!

わからないことを証明ってどうするの??!!

例)宇宙人が存在するかどうかわからないことを証明せよ。

例)ヤマダニジュウヤホシテントウムシという虫がいるかどうかわからないことを示せ。

・・・よくわかりません。まったくもって、どうしろというのか意味不明なんですけど・・・。

驚愕の困惑をしている僕の顔を見て、事務官さんはちょっとだけ、助け舟を出してくれました。

「つまりね。ヤマダさんが元いた住所を調べて、そこから引越し先も調べて、最終的に、その引越し先にもいない、ということを調査して、それを報告書にしてもらわないとダメなんです。こにもいないっぽい、ということを調査報告していただければ次の手段が取れるんですよ」

・・・はい?つまり、刑事検察探偵さんのように「ヤマダを追え」ってこと?

「そうです(にこり)」

「えええ、ど・ど・どうやって調べるんですか?聞き込みとか、探偵事務所に依頼するとかですか?!」

「いえいえ、裁判所ではあくまでも書類に残っていることで判断しますから、まずは住民票がどこからどこへ移っているかを市役所を回って調べることです。で、最終的に、住民票が残っている場所に彼がいなければ、『そこにこれこれ、こういう状況でいませんでした』と報告してもらうんです」

・・・マジすか?!とにかく住民票で、おいかけろ!と。

「それ、郵送とかFAXとかしてもらえるんですかね」

「いやあ、赤の他人が住民票を取得する場合は、原則その市役所にいかないと・・・」

はい。探偵ゴッコ確定!あたまクラクラです。

そんなこんなで、にわか素人探偵になってしまったヨシイエは、山田太郎の足跡をうまく追えるのか?! 

まて次回!!

2019年3月7日木曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」②


(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

はいどうも。 楽しい裁判入門、語り手の吉家孝太郎です。



前回は、先代社長が預けっぱなしになっていた「供託金」を取り戻すため、吉家が手続きを任されることになったところまででした。

というわけで、法律知識が全くない新人営業マンは、とりあえず、なんだかよくわからない当時の資料らしき紙切れを手にもって、大阪法務局へと手続きの方法を質問しに行ったわけです。

持っていたのは、なんと「供託書」というちっちゃな紙切れ一枚。それもコピー!

どうやらこれは「29万円の供託をしてますよ」っていう証明書みたいなものらしい・・・。それもコピー!

原本は、いまもどこにあるか不明(笑)

あろうことか、現社長は、「これしかそれらしいもんは見つからんのやけど、どうにかなるかな?」って感じで。ヨシイエも、「まあ、どないかしてきます!」って感じで(笑)


法務局へ着くと、供託課というところの窓口で、尋ねます。
「あの~、なんかこの件でお電話をもらった◎◎という会社のものなんですけど・・・」
「はいはい、ちょっと待ってくださいよ」

このとき、対応してくれた事務官のおばちゃん(実際、事務官なのかバイトなのか、えらいのかどうかもわからんけど)が親切だったので助かりました(^^

右も左もわからないボクに、これはこれこれこういうことですよ、と教えてくれたわけです。

まあ、これもだんだんわかってくるのですが、裁判所や法務局の事務官さんにもいろんなタイプがあって、めっちゃ親切な営業マンみたいな人から、「素人がなにを言うとんねん」みたいなぶっきらぼうタイプから、とにかく真面目で「一字一句辞書引きながら確かめる」みたいな超カタブツさんまで、いろんな人がいるのです。でも、まあこの日は、いい人に出会えました(^^

さて、おばちゃんが言うには、こういうこと。

「あなたの会社は、山田太郎さんと大阪簡易裁判所で裁判をして、その手続きにかかる費用をうちの大阪法務局に預けています。で、その裁判は、そのままほったらかされているので、まずは『裁判やっぱやめます』とかなんか、そういう風に取り下げをしてほしいのです。そうすると、「取り下げたので、供託する必要がなくなったよ証明書」を裁判所が出してくれるので、それを持ってきてくれたら、お金を返しますよ」

とのこと。これをまあ、実際は裁判所ならではの専門用語や、専門書類名で説明してくれたのですが、ざっくり言えばそういう話なんです。

「なんだそうなんですか!わっかりました!じゃあ、裁判を取り下げて、その証明書もらってくればいいんですね!」とニコニコ顔で、法務局を後にしたヨシイエは、次に大阪の裁判所に行って、また話を聞きました。

そこで、大問題が発生したのです!!!

後半へ、つづく (^■^)

2019年3月6日水曜日

【たのしい裁判入門】 第1話 「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」①





(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)




はいどうも。 楽しい裁判入門、語り手の吉家孝太郎です。




もう、これは数年まえのことになるのですが。

僕がいまの会社に転職してしばらくが過ぎたころのことでした。基本的にうちの会社は建築に関係のある資材なんかを扱っているので、途中入社したての僕は、商品の知識を覚えたり、お客さんまわりをしたり、電話をとったり配達したり、まあ、人数が少ないので何でもやるわけなんですが。
ある日、1本の電話がかかってきて、事務員さんがガチャリと受話器をとったわけで。

「はい、・・・はい。しばらくお待ちください。・・・しゃちょー!法務局から電話です!」



おなじ部屋のデスクで聞いていた僕は、まだまだ「ホウムキョク」なんてことばはピンとこなかったのですが、なんか法律関係なところぐらいの軽い認識はありました。とはいえ「ええ。まああっしのような下っ端には関係のないことでございます」と思いながら、自分の仕事をしていたので、まさかその仕事がボクのそれからのメインになろうとは、この時点では思いもよりません。

さて、電話を受けて、社長はふがふが話を聞いていたのですが、なんだか「よくわからん」といった顔をしています。それもそのはず、そもそもこの話は、現社長の亡くなったお父さん(先代社長)の未処理の問題があたまをもたげてきた、というところがスタートなわけです。



受話器を置いた社長が、簡単に話をまとめてくれたのは、つまりこういう感じ。

「なんかいま、大阪のホウムキョクから電話があって、なんでもうちがキョウタクしているお金が10年かなんか経って時効になるらしく、返してほしければ、来い、みたいな話らしいわ」

・・・ちっともわかりません(笑)

まあ、この最初の電話は、法務局から「お金を返しますので手続きしてください」かなんか、そういう事情を伝えてきた連絡電話だったわけですね。社長からすれば、この話は先代が扱っていた件なので、先代が亡くなったりしたこともあって10年間話が中ぶらりんのままほったらかされてたことも、まあ問題なのですが、それは代替わりなどのゴタゴタもあるでしょうから仕方ありません。

で、社長は社長なりに古い資料を引っ掻き回したりして、一体なにがどうなっているのかを明らかにしたわけです。

「つまり、こういうことだ。前の社長の代に、『山田工業の山田太郎』というおっさんに資材かなんかを売ったんだけれども、それが代金未払いで、裁判になったらしい。で、裁判の結果いろいろゴタゴタあって、先代がついに山田太郎からなにかを差し押さえしようとしたんだけれども、裁判所で差し押さえするには、必要経費みたいなもんかようわからんけど、なんかお金を預けておかないといけないらしい。それが『供託金』というもので、それが預けっぱなしになっているらしいわ」



質問があります。
「あの、山田太郎さんはどうなさったんですか?」

「うーん、とっくの昔に夜逃げして、差し押さえもへったくれもない。実行できなかったままらしい」

質問2です。
「じゃあ、なんで10年もほったらかしに?」

「うーん、おやじ頑固だったからなあ!『だまって取り下げてしまうのはケッタくそ悪い!』とでも思って、そのままになったんじゃなかろうか」

質問3。
「あの・・・やまだたろうって、またベタな名前なんですが、マジなんですか?」

「これがなあ、山田太郎は中国か韓国籍の方だったらしく、通称名で本名じゃないらしいんだわ。おそらく、国に帰ってしまったんじゃないか。たしかにベタな名前すぎるな」

・・・で、この話がなぜかボクのところに降りかかるわけですよ。

「でな、吉家くん。この後処理、やってくれんかね。大阪の法務局行ったり、ちょっとごちゃごちゃするかもしれんけど、私が覚えている限りのことは、サポートするから!」

マジすか?!

・・・これが、すべてのはじまりだったわけで!(^^;



まあ、この時点では、これが「山田太郎追跡大作戦」になろうとは、まだ知る由もなかったのですが。

果たして、供託金は取り戻せるのか!

消えた山田太郎を探しまくらなくてはならないハメになったのはどうしてか!

東大阪から、神戸から姫路まで、速度超過しないように爆走カーアクションするハメになったのはなぜか!

まて次回!

2019年3月5日火曜日

【たのしい裁判入門】 ~売り掛け回収なお仕事のお話~




 みなさんこんにちは 流浪の不動サニスト吉家孝太郎です。

いつもいつも不動産の話ばかりも飽きてくると思うので、たまには違うお話を、ということで新しいカテゴリを作りました。

 


 ボクの通常の仕事は、いちおう建築業界に関連する業界の端っこで慎ましやかに生きているのですが、そっちの経験談です(^^

 ズバリ、「たのしい裁判入門?!」

裁判が楽しいのか?!といわれれば、まあもともとトラブルがあるから裁判所がらみになるわけで、「そんなのいやだめんどくさい」という方が大半だと思いますが(^^;


 
 ボクの場合は、いろんな世の中の仕組みを知ったり、自分で不動産や建築のこと調べたりするのが好きなので、「弁護士や司法書士に頼まないで、自分で裁判する!」ということをもう数十件やらせてもらいました。これがとてもいい経験になったので、楽しい裁判のお話をみなさんにちょこっとできればなあ、ぐらいの気持ちです。

リストラリーマンであるボクは、転職経験があることはお話しましたが、今の仕事に入ってしばらく担当させていただいのが営業ならびに「裁判」だったのです(☆_☆;

 

 とはいえ、ボクは法学の知識があるわけでもなく、大学も文学部だし(笑)、「ええ!まじっすかサイバンっすか、サイパンでもサリバンでもなく大岡越前の裁判所っすか?!」という状態だったのですが、まあ社長が「ぜひ、やってくれ」というので勉強開始。

基本的には売り掛け回収のための民事訴訟や支払い督促などをいろいろ担当させていただきました。(いまもやってますが)


 


 おかげで、裁判所の競売物件のファイルなんかもいっぱい見れましたし、そのあたりから不動産に関するゆがんだ知識が増えていきました(笑)
いきなり競売物件を買おうとしなくて良かった(^^;でも、ボクが最初に家を買おうとしたのは任意売却物件だったりしたので、不動産ウォッチのスタートからしてちょっとフツーじゃなかったかな(苦笑)←裁判ばっかりやってたせいかもしれない。



閑話休題。



というわけで、一番最初に関わったのが、前任者の後処理みたいなのですが
「供託金を取り戻そう!」という事件です。

話せば長くなるこの事件は、次から書きましょう!「楽しい裁判入門 第一話は『山田太郎』を追え!~見えないあいつをカーチェイス!~」です。おたのしみ

2019年3月4日月曜日

元教師が教える「学校では教えてくれない」こと



 ヨシイエさんが学校という社会と、いわゆる外の実社会を両方見て言えるのは



 学校という場所で教えてくれないことが多すぎるんじゃ!



ということです。



 というわけで、もっと学校で教えたほうがいいことをリストアップ。




~~~~~~~~~~




 社会人にならないと学校では教えてくれないこと、というのがたくさんあります。そのせいで、もしかしたら社会の多くの人は不当な目にあったり、困ったりしていることがあるはずなのですが、なぜか文部科学省は、次に述べるようなことを教育指導要領に盛り込みません。個人的にはものすごい不満なのですが、こればかりは国を相手に戦わねばならないので、ざっと列挙して声を上げてみたいと思います。



① 学校では、税金と社会保険の仕組みを教えてくれない。源泉徴収も、確定申告も、学校ではその具体的システムすら教えてくれないのは不思議である。本来ならば、中卒で働いても正しい申告ができるように、税金のシステムを真っ先に教えるべきではないか。学校ではタバコは20歳になってからだと指導するが、20歳から国民年金を払いなさいとは教えない。厚生年金は半分会社が出してくれているのだから、それくらいは感謝しなさい、とかも。



② 学校では、免許のシステムを教えてはくれない。運転免許の概要くらいは、教習所に通う前に、ガイダンスくらいはあるかもしれないが、世の中にさまざまな免許制度があることを知らない人も多い。
 たとえば、あなたの家を建てたとき、クレーン車で建材を運んできた人が「小型移動式クレーン」の免許を持っているかどうか、あなたは絶対に知らないはずだ。荷物を屋根に上げるとき「ウインチ」を使っていても「巻上げ機」の免許を持っているかも知らない。ましてや、壁材をグラインダで切っている作業員が「切削と石交換の講習」を受講済みかどうかも知らないに違いない。

 悪徳リフォームにだまされてもいいと国家は考えているのだろうか。国家の制度すら、消費者に周知されていない事実は、何を物語るのだろうか。耐震偽装は国民の無知が生んだとすれば、国家は責任を感じるべきである。



③ 学校では、司法システムを教えてくれない。悪事をすればどうなるか、悪事に巻き込まれたらどうなるか、損害を受けたらどうしたらいいか。法治国家でありながら、その基幹となる法の仕組みすら学校では教えてくれないのだ。「墾田永年私財法」の内容より、はるかに民法・刑法のほうが重要だと思うのだ。だから、どちらも教えるべきである。
 お金を貸した相手が返してくれないとき、あなたは「支払督促」の申立を裁判所に出せるか?そんな制度を、学校では一切教えてくれなかったはずだ。



④ 学校では労働者の権利をきちんと教えてくれない。労働基準法も、労災の規定も、個人で建築業をしている場合の保障制度も、教えてくれない。教職員組合の方、それほど労働者の権利が大切だとわかっているなら、なぜあなたの教え子に、どれほど自分達が休息時間の確保や労働条件の向上につとめているか、そして、卒業して次は君たちもしっかり考えたまえと語らないのか。

 学校の先生は進路指導はするが、その会社が労働基準法に違反していても、こどもたちが毎日つらいサービス残業に汗を流しても、なにもしない。なにもできない。
 せめて労働基準監督署に通告するぐらい、してもいいのに。



~~~~~~~~~~




 ・・・語りだせば切りがない、誰も教えてくれない社会の現実ですねえ。


 学校の知識は大切ですが、こうした「真の生きる力・生きる知識」も同等に大切のはずなのですが・・・。
 

2019年3月3日日曜日

外観でバレる。ローコスト住宅の見分け方



こんにちは

最近は、とにかく安い家というのが庶民に人気で、ローコスト住宅と呼ばれる「坪単価の安い」一戸建てなんかが、よく売れていたりします。

じゃあ、豪邸は別としても、普通の一戸建てと安価なローコスト住宅の違いはどこにあるのか?なんて思いますが、このあたりは、通常の不動産情報でも詳しく説明されているので、このブログでは、あえて違うところを突いてゆきます(笑)

ローコスト住宅の定義は、「無駄を省くなどして、坪単価30万円前後まで安価に仕上げた住宅」というのが一般的でしょうか。だいたい30坪ぐらいの平均的なお家が、土地別で1000万円ぐらいで新築できる、というのが売りです。

しかし、安く上げる方法、というのは実にさまざまです。

 ①大量生産・大量買付けで、おなじものばかり作るので安く出来る。

 ②意匠・デザイン・見栄え重視な箇所をそぎ落として値段を下げる。

 ③外材など、安価な部材を徹底的に使って安くする。


素人が考えただけでも、上のほか、まだまだアイデアは出てくると思います。

コストダウンのどこにエネルギーを割くかは、メーカーさん工務店さんしだいだし、お家を買う人の「ツボ」も違うでしょうから、いちがいにはいえませんが、僕なりに、ローコスト住宅を「ぱっと見ただけで」判別する方法、というのをいくつか持っています(笑)

だから「良い」とか「悪い」とか、そういう意味じゃなくて、「ああ、ここがコストカットだね」ということが素人でもぱぱぱっとわかる方法があります。
(もちろん、これがすべてではありません。あくまでも一例ですよ!!だって、その作り手によって「どこを省くかは人それぞれ解釈が違いますから!」

では、あなたのお友達のおうちが「ローコストなのか、普通の一戸建てなのか」を外から見抜くツボを伝授しましょう!




<1>屋根でぱっとわかる。

屋根を見ます。専門用語で「軒」とか「袖」と言うのですが、屋根に接している壁から、実際の屋根がどれくらい広がっているかを見れば、その建築物の「屋根の激安度レベル」がわかります。

屋根にくっついている壁から、70センチとか80センチくらい実際の屋根が広がっていれば合格。30センチとか、ひどい場合には、ほとんどまったく出ていない(広がっていない)住宅は、ローコストです。

屋根が壁よりも広がっていると、施工面積がぐっと増えます。広がっていないと施工面積は、壁のサイズと一緒です。(つまり、床面積と等しくなってゆく)。
施工面積が小さくなれば、コストダウンです。

しかし、屋根が壁よりも広がっていないと、壁の上部が直接雨で濡れます。これを嫌って、昔の家だと、これが90センチとか1メートルぐらい広く作ってあるのです。

これで、建物の総寿命が短いかどうかが、判断できますね(^^

☆屋根材を見るというテクニックもあります。一番高いのは瓦・次はセメント製品やカラーベスト・板金は安上がりです。

 しかし、これは作り手の意図がはっきり出てきます。かわらは断熱性能も高いのですが、重たいから敬遠されます。板金は、熱をそのまま通すので中の住人は暑かったり寒かったりするのですが、重さが軽くなるメリットがあります。

なので、一概に「瓦じゃないからローコスト」とは断定できません。




 


<2>窓でぱっとわかる

これはあんまり知られていないテクニック?です。ちゃんとした住宅は、出窓や明り取りの特殊な窓以外、つまり、物理的に取り付けられない窓以外には

全部の窓に雨戸が設定されています。(一階には、格子が必ずハマっています)
ローコスト住宅では、よく見ると「2階の窓は、雨戸を最初からつけていない」ということが多いです(^^;;

 そして、ひどい場合には「1階の窓にも、雨戸がついていない」という家もあります。

(雨戸が最近のはシャッタータイプになっているものもあるので、よく見てね!)

1階に格子はついていないわ、雨戸もないわという家はローコストすぎて涙が出ます!

もちろん、雨戸なんていらない!という考え方もあるでしょうが、台風の時になにかが飛んできて破損したり、防犯のこともあるので、格子と雨戸は、「あったほうがいいもの」だと思います。


これは、外からそのおうちを見て一発で判別できますので、ぜひ周りの住宅を見回してください。安価な建売物件とかだと、2階の雨戸省略タイプが最近めっちゃ増えていますから!

 逆に、おんなじ建売でも、雨戸をしっかりつけてくれているところは「ああ、住む人のことをわかってるな」と思って大丈夫です。
 



<3>ひさしの数でぱっとわかる

屋根の形状が複雑なおうちは、それだけで手間がかかりますから「コストがかかる家」だとわかるのですが、素人の方に、屋根の形状の判別はわかりにくいかもしれませんね。

すっごい簡単なテクとしては

1階と2階の形が、そのままズドンとおんなじ形

は安くできる、というのはあります。

ただし、これは耐震性能で言えば、1階と2階がぐちゃぐちゃズレているほうが「耐震性能が下がる」ということもあるので、大手メーカーなんだけど基本は、1Fと2Fがズドン!とおんなじ形状にしているところもあります。

そのほうが、ゆれたときに均等にねじれるので強いのです(^^

というわけで、ここでは違うとこに目をつけましょう!!


それが、ひさしの数(笑)


丁寧な住宅になればなるほど、各窓に対する、その直上の「ひさし」がちゃんと作ってあります。どの窓にもついている「すごい丁寧な家」というのもありますが、まあ、普通は「メインとなる窓」には直接雨が入ってこないように、ひさしがついています。

だから、たとえば、トイレの窓とか、あんまり外をみないようなところの「ひさし」はカットしてあっても大丈夫です。

 ひどいのは「大きなてっぺんの屋根以外、ひさしらしいものが一切ない」という家です(☆_☆;


これは、雨の日に窓をちらっとあけると、とたんに体までずぶぬれになるだけでなく、サッシ周辺に水が入る可能性があったりするわけです。

ひさしをちゃんと作ると、以外に手間がかかるし、小さいけれど屋根なので、コストもかかります。

丁寧なおうちだと「おおきな屋根が瓦で作ってあるので、ひさしもちゃんと瓦で揃えてある」すばらしいお家もあります。普通は、「おおきな屋根は瓦だけど、ひさしは鉄板が巻いてある」というのが平均レベルです。

 ひさしがないのは、残念なおうちです。

 
どうですか?外からでも、意外にその家の価格と価値がわかるものでしょう?(笑)




(オリジナル 2011/5/6 ヤフーブログ終了に伴う再掲)

300万円のマイホームを購入する! 後編




 さて、前回に引き続いて「300万円の一戸建て」を検討するときのポイントシリーズの続きです。書ききれなかったことをさらにいろいろ考えて書きます。



①別荘地、ってどうよ?!

 300万円ぐらいの物件がよく出る地域に、「別荘地」というのがあります。市街地から離れていて、たいてい山の近くにあります。バブルの名残とも言ってよいジャンルで築30年~20年くらいの物件もたくさんあります。

 こういう物件は、普通の不動産会社でひっかかる場合もありますが、リゾート専門の不動産屋さんが扱っている場合も多いので、ちょっと調べてみてくださいね(^^

 最近、僕の知り合いも別荘地におそらく300万円前後で家をお買いになりました。(中古の高級車一台分ぐらい、とのこと)

 ただ、その方は、阪神間にふつうの一戸建てを既に持っておられる方なので、「ほんまに別荘」として使うみたいです(笑)仕事を引退なさるそうなので、田舎で悠々自適で暮らして、好きな時に好きな方に滞在する、という羨ましい使い方ですね(^^

 定年などでリタイアなさる方が、別荘物件を買うのもいいと思いますが、ほんとに足腰立たなくて、買い物やら病院やらに自力で行けなくなる「後期高齢者」になると話が変わります。ですから別荘地は、定年後10年程度のスパンでかならず見直さなくてはならなくなります。

 若い方で、アーチストなので工房が欲しい、といった方や、ものづくりをしていてど田舎むらでもOKという方は、積極的にそういう物件を探している人もいるでしょう。

 ただ、家族構成によっては、学校が遠いとか、いろいろな問題が出ます。




②300万円のおうちをリフォーム?!

 300万円物件というのは、だいたい築30年以上です。昭和50年代に建てられた、とかならまだましかもしれません(^^;なので、ある程度手直しが必要になることがほとんどです。

 いわゆるリフォームですが、業者さんに頼むと、本体並みにお金がかかるので、基本はDIYで自分・家族でやりましょう!!!

 キッチン流しの取替え、壁塗り、柱などの塗装、フローリングの張替え、襖障子の張替え、ぐらいは自力必須です(笑)

 もちろん、自分でできないこともあって、トイレ改装や風呂改装などはやはり業者さんにきてほしいところ。
(中にはトイレくらいは自分でやる人もいます) しかし、それも和式から洋式に変えるとか、風呂をユニットバスに変えるとか、大掛かりなものを業者さんに頼みます。

 タイルの手直しとかぐらいなら、自力じりき!

そして、ここからが本当に大事なことです。

 築30年超えの物件で最初に気をつけなくてはならないのは、地面と基礎と構造に問題がないかどうかです。

 地面・・・擁壁チェック!高台や盛り土の上にある家の場合、30年前の擁壁はたいていアウトです。石積みだけの擁壁や、古いよう壁の場合は、隙間から染み出している水の跡なども注意です。ブロックを横から見て、ゆがみが出ているなども避けたほうがいいと思います。地面そのものは、ぱっとみ判断しにくいですが、じめじめ水気が多いような土地は、柱を腐らせている場合があります。
 
 基礎・・・当時の基礎は、ベタ基礎になっておらず、布基礎やただ石を置いた基礎の物件もあります。基礎コンクリにひび割れがあれば、基礎そのものが痛んでいます。水がずっとかかって変色しているような基礎も注意です。

 構造・・・専門家でない僕らが、構造の痛み具合を判定するのは難しいですが、概観をよく見るだけでも、ずいぶんといろんなことがわかります。外や中から見て、垂直線が出ていない柱があったり、一部だけサッシの開け閉めがきつい箇所があったりしたら、土地に「不同沈下」が起こっていて、敷地の一部が沈んでいます。屋根瓦のズレ、ワレ、外壁材の様子、モルタルのワレ(ここから水が入り雨漏りとおなじ動きをします)なども注意。家の内部で、床などがふにゃふにゃする箇所があれば、下に湿気が来ていてシロアリさんが先に住んでいます。天井板にシミがあれば、いつもでなくても大雨時に雨漏りした証拠です。

 そして、大事なことは、300万円の物件の大半は、「何かあってもこういう物件だから勘弁してね」的な契約になることがほとんどです。現状有姿とか、瑕疵担保がどうのこうの、とかそういう語句が並んでいたら、たいていそういう意味です。

 そのほか、古い物件には土地境界の問題とか、いろいろ調べることがたくさんありますが、家を買ったあとには、「宅建」に挑戦できるくらい知識が増えると思います。

 そうした知識ナシに、その物件を買ってしまったあなたは、騙されているようなもんです(^^;;


 ちなみに、すっごい細かいことですが、実例を挙げておきます。

 たとえばある築20年の中古物件を買われたおうちは、他はなんにもトラブルなかったのですが、家の外にある下水の流れてくる「コンクリ枡(マス)」だけがヒビが入って水が漏れていました。

 まあ、これが割れていても、流しの水のうち少しが地面に帰ってゆくだけのことなのですが、やっぱりそこだけ廃液がこぼれているのは気色悪いし、よく見ると、その周辺だけ土地がすこし下がっていたりしました。まあ、良いことではないですね。

 もちろん、直してもらって契約したのですが、大事なのは、「マスのフタをあけてみる」くらいの注意深さがほしい!ということです。そして、「あれ?このマスの中の水、横についてる水位の跡と比べてなんで低いんだ?」と思う不思議を感じる力がほしいです。


 古い中古物件は、面白い発見がいろいろあります。大事なのは、学ぶ力かもしれません。





(オリジナル 2011/12/10 ヤフーブログ終了に伴う再掲)

300万円のマイホームを購入する! 前編



 みなさんこんにちは 寒風吹きすさぶ関西地方ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

懐も当然寒いヨシイエです(^^;

 ありがたいことに、「300万円で中古戸建を買いたいんだけど・・・」というご質問をいただきましたので、僕なりに一生懸命考えてお答えしたいと思います。

 300万円で中古戸建、ということばは簡単ですが、実は奥深いです。
ここで取り上げている議論は「とっかかり」みたいなものですから、みなさんも自分ならどうしようかな?と考えてみてくださいね。


①商業ベースに乗っている300万円と口コミベースでの300万は違う。

 まず、不動産サイトや情報誌に載っている物件というのは、どうしてもある程度の金額以上の価格のものがメインです。本音で言えば2000万以上の物件だけ扱いたい!でも、現実的には1000万円以上の物件「も」掲載しようかな、ということになります。

 逆に1000万円以下の物件は、情報を扱っても、同じ手間をかけても、仲介手数料も少ないし、コスト高になります。だから、不動産屋さんにとってはエネルギーを注入する必要性が薄いわけですね。

 なので、まず300万円という低価格物件は、商業ベースでは出てくる件数がほとんどない、ということを覚えておく必要があります。その代わりに、「300万円ぐらいで売ってもいいかな」という、持ち主が勝手に思っているだけだったりの「口コミベース」の物件は意外に眠っていることもあります。

 僕の知っている事例で、とある築30年ぐらいの一戸建ての前で作業していると「このおたくいくらぐらいで売ってくれるんかねえ」と犬を散歩させながら尋ねてくるおばちゃんがたまにやってくる、という場面があります。

 つまり、そのおばちゃんは口コミベースで「安くて買えそうなら、考えようかな」と思っていて、そういう話が不動産市場には上ってこないわけです。


 さて、商業ベースに載っている300万円の物件は、ぶっちゃけ建物はノーカウントで、土地の純粋な値段であることが多いです。それも古家付きであることから、本来なら更地にして売りたいところですが、解体費用を先に負担して仮に400万とかで売るなら、どうせ儲けもないから、どっちゃでもええわ、というので、そのまま売りに出しているわけです。

 口コミベースの300万円は、市場価格とは離れたところでの値付けですから、極端に安い場合もあるし、そうでない場合もあります。「トイレ改修に最近150万かけたから、その分は元を取りたい」とかいう、査定無関係の感情価格だったりもしますから、こちら側にきちんとした知識が必要です。


②都心の300万円と郊外の300万円と田舎の300万円を見極める。

 住む場所によって、300万円の価値は大きく違います。ど田舎村では、300万円で本格古民家、畑付きが買えますし、郊外なら、ちょっと街の中心から離れた、はぐれ分譲地の一戸建てが買えることもあるでしょう。

 都心で探せば、車がやっと通れるくらいの(しかし、以外に徒歩は便利だったりする)、狭い道に長屋状態でくっついてる建物の一軒分だけ、みたいな感じです。ビフォーアフターに出てくる「〇〇に困る家」とかそんなイメージですね(苦笑)

土地の広さで言えば、ど田舎だったら500㎡とかでも、郊外で100㎡、都心で50㎡とかになるので、価値の尺度そのものが違いますね。


③300万円をどう食いつぶすか?

 3000万円なら、「一生モノの家」と思ってしまうのも当然ですが、300万円ですから、その価値をどう食いつぶすか、減価償却してゆくか、をイメージしておきます。

 3000万円なら30歳で買って、80まで残り50年もたそうと思いますが、その10分の1ですから、理論上5年持てばいいんです(笑)

 もちろん、その家がダメになった場合の次の一手も頭の中に置いておきます。

 たとえばこんな感じです。300万円を月5万円でざっくり割ると、60か月(5年)です。5年間月5万の家賃を払って住んでいるのとおなじとすれば、5年後には、賃貸では何も残りませんが、その家を購入していれば最悪土地が残っています。

 このとき、100万円で解体しておなじ300万円(もともと、売値の300万とは、ほぼ土地の値段オンリーです)で売りに出せば200万円手元に残ります。あらためて賃貸に住んだとしても、おなじ生活で勝手に200万円貯まる計算になるわけです。(あくまでもざっくり理論上ですよ!)

 こんなふうに5年処理で、家と向き合うこともできるし、もう少し長いスパンで見てもかまいません。しかし、都心の300万円物件でその土地に建て直す、というのは現実問題厳しいと思います。だったら更地にするまでは計画に入れておいて、駐車場にして貸すとか、隣の家に売りつけるとかそういう視点も必要ですね。

 そういう意味では、長屋物件は避けたほうが無難です。どれだけちっちゃくても、独立した建築物であることは必須です。


④300万円という数字にこだわらない。

 以上のようなことを考えると、たとえば300万円の物件と500万円の物件の微妙な差が見えてくるようになります。一見安くても、将来的に「つぶしがきかない」物件である可能性もあるし、あと少し足せば「こういう使い方ができそう」という大きな差になることもあります。

 このへんは、2300万円の物件と2500万円の物件は、ほとんど差があるわけない!のに対して、もともとが300万と500万の違いには、意味があります(^^

 なので、300という数字だけにこだわらないで、すこし幅をもって見ることがポイントです。

 ちなみに、僕の住んでいる中古一軒家の価格は売り出し1780万くらいで、価格改定1380万、最終980万でしたから、(だいたい1年~くらいの間に価格が変わった)額面そのものをあてにしないことです。

 500万の物件を内覧しておいて、なにかの拍子で、売主の事情次第では300万でもいいわ、と言われることだってあるからです。


以上ざっくりですが、まずはこのへんから考えてみましょうか。




(オリジナル 2011/12/9 ヤフーブログ終了に伴う再掲)

2019年3月2日土曜日

■ゆとり教育とは何だったか。 その本質をズバリ伝えよう。



 興味深い論考が上がっていたので、それについてかなりブッコんだツッコみを入れてみたい。



「ゆとり教育とは何だったのか ~不毛な論争と偏見を語る」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60044
(現代ビジネス)



 詳細は元ネタをご参照いただきたいが、文部官僚だった「寺脇研」氏と医師の「和田秀樹」氏らの論説を中心に、


 ゆとり教育とはなんだったのか


を振り返る話である。



 この「ゆとり教育」については、多くの人がそれぞれの立場で言いたいことがある~♪に違いないとは思うが、私ヨシイエとしては、その臨床現場にいて、そして現在もいるものとしてブッチャけた話をしておきたい。



 まず、ヨシイエは「ゆとり教育」とやらが盛り上がったそのまっただなかで、前職の


「学校現場」


にいた。そして、それから民間企業で働きながら、


「ゆとり世代」


の部下や、年下の同僚との労務についている。 従って、それぞれの立場においての「ゆとりとは何だったか」がはっきりとわかる。


『それはお前の感覚的なものだろう。統計的エビデンスではないだろう』


と言われれば確かにそうだが、しかし、この私の感覚を元に今からする話は、そんじょそこらの統計データよりも



「あなたの人生と心に刺さる



ことは間違いない。だから、まずはさらっと読んでいただきたい。




==========



□ 学校現場におけるゆとり □


 ぶっちゃけ話、その1だ。ゆとり教育の導入、つまり学習指導要領の改訂と文部省からの通達指導は、タテマエはともかく、学校現場においてはまず第一のツボがあった。


 それは「土曜日が休日になること」をダイレクトに意味する。

  当時学校で勤務をしていたヨシイエからすれば、職員の土曜日の出勤が、「半ドン」になったり、「月に2回休みになったり」「完全週休2日制」になったりという過渡期を実体験したことになる。


 ぶっちゃけ、学校において指導要領の内容がどうとか、学習内容が減るとか、そういったことは、どっちでもいいし、どっちでもどうにでもなることである。


 元々教師は、教える内容のさじ加減などどうとでも出来るし、偏差値の高い学校ではそのように、偏差値の低い学校ではそのように、自由に調整が利かせられるものである。

 だから教科書の内容を「指導要領に準拠しつつ調整」することなど、教師の労務においては、どうでもよいことだったのだ。



 従って、少なくとも労働環境としての「ゆとり」、授業環境としての「ゆとり」とは

「出勤日数と年休と、夏休みや冬休みの勤務日数の調整をどうするねん」

というのが教頭の悩みであり、

「授業確保と、体育祭などの行事の時間の配分をどうするねん!土曜日なくなったやないか!」

というのが教務主任の悩みであり

「PTAの会合とか、どこに入れよう。平日の夜しかないの?」

というのが総務主任の悩みとなる、とまあ、そういうことだった。



  しかし、これらのことは、学校外部の人間から見ても、生徒から見てもこれまたどうでもいいことである。




 そこで、ぶっちゃけ話、その2である。


 ゆとり教育の目的は「学力一辺倒ではなく、個性の尊重と幅広い人間力を身につける総合力の醸成」みたいなところにタテマエがあった。

 そこで、何が起きたかというと、今日の学校指導のスタンスの原点でもある、

「いちおう生徒の事情や、家庭に配慮して、個別に相談的に対処する」

という生徒指導の方針へのゆるやかな変化だった。


 それまでは「一斉指導で、とりあえず言っとけ、落ちこぼれるやつはいるけどしらんがな」の世界である。

 あるいは、「1人はみんなのために、だから全員グラウンド10周してこい!」の世界だったのだ。

(なので体罰教師も、表向きはともかく、裏ではたくさんいた)


 しかし、「ゆとり教育」という個別的な学力観や、そもそも学力以外も評価し、育てる対象になったことで、


「40人なら40通りの、仕事が増えた」


ということになる。これが、現在の教師の疲弊につながる、仕事量の増加や、モンスターペアレント、家庭内虐待への対応、発達障害などの個別の事情を汲んだ指導への道筋となっていったわけである。


 まあ、いわゆる「教師のゆとりがなくなった」のは「生徒のゆとりが増えたから」なのだ。





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□ 企業現場、社会現場でのゆとり □



  話は変わって、学校を卒業した後の生徒のそれからである。


 これもぶっちゃけの話をすると、「ゆとり教育」のタテマエ・表面で批判された


「学力が低下する!」


とか、そんな問題は実はどうでもよかったのだ。


 学力や、偏差値上の成績なんか「よいやつはそれなりによいところへ行く」「悪いヤツはそれなりのところへ就職する」だけで、その分別がどのようになろうが、別に誰も困らなかったのだ。


 ぶっちゃけ、あなたの会社で、先輩と新人のTOEICの点数を比較して、年によって上がっていようが下がっていようが、売上とはなんの関係もないということは、これはもう当然の世界だ。

 

  だから、企業社会や、ビジネスの世界で、


「ゆとり教育を受けた、ゆとり世代の学力が問題になることは絶対にない!」


と断言してもいい。



 そうではなく、社会で問題になっている「ゆとり問題」とは、結局は


「生活姿勢や物事へのスタンス」


だけのことなのである。


 だから「脱ゆとり、で学力向上を目指す」のは好きにしたらよいだけで、そんなことではこれからの社会問題は解決しないとはっきりしているのである。



 企業社会において「ゆとり世代」の問題点とは


「自分のワークライフバランスと、企業のワークライフバランスを比較して自分を優先する」


「自分から学ぶのではなく、教えられ、そのことに価値を見出せないとやる気にならない」


などの、ヤバイ態度・姿勢である。


 これまた、何度も出てくるが、表向き・タテマエでいえば、


「自分のワークライフバランスは優先されるべき、であり、価値のある仕事を人はすべきである」


というのはわかる。しかし、


ぶっちゃけ企業活動とは


「雇用者の価値を100吸い取ったとして、それ以下しか給料を払わないから会社の経費と利益が出る」


のが本質であって、実は、「会社バランスと個人バランスは絶対につり合ったりしない」のである。


  だから、特に、「上司は部下のかき集めてきた労働力の上前で食ってゆく」し、「上納できない部下は使えない」のである。これは嫌な言い方でもなんでもなく


「資本主義とはそういうしくみ」


なのだから仕方がない。


(それをこれまでは「一斉教育と個人の抹殺、集団で頑張れ!なんとかついてこい!」でごまかしてきたわけだ)




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 こうしたことから、現代社会におけるゆとり教育の最大の問題とはどういうことかをズバリ教えようと思う。



 まず、これまでの論考から


ゆとり教育における「学力」なんかどうでもいい


ことは明白だ。それはそれなりになんとかなる。



 そこではなくて、問題は


 懇切丁寧に、個人の環境や能力、意欲を勘案しながら、意義をもって行動させなくてはいけないゆとり世代の資質



 であることは明らかだ。



 これがなぜ問題なのかといえば




「上司や会社は、労働者からの上納労働力の搾取によって成立しているのに、労働力のほうに上司や会社が、それより多くの『配慮や教育や指導やコスト』がかかるのであれば、企業が上前をハネる利益分が相殺されるか、もしくは逆転する」



という部分なのである!スバババーン!!!!



 幸か不幸か、この点にまだビジネス界の誰もが気づいていないから、マネジメントの助言や教科書、コンサルなんかは


「見て学べ!というやり方ではなく、部下や社員とそれぞれの個性に配慮しながら伸ばしましょう」


なんてことを平気で言っている。アホではなかろうか。



 これをやっていると何が起きるか。




「丁寧に教えて、個別に配慮して仕事ができるようになった給料のより安い若者が会社に残り、おなじ仕事しかできない給料の高い上司やおっさんはお払い箱になる」



ということだ。



 これに気づいた上司は、まっさきに「懇切丁寧にゆとり社員を扱うことをやめる」に違いない。


 にこにこ黙っておいて、自分の既得権益と、自分の得意領域を死守するに違いない。



 だって右肩下がり社会なのだもの。




 企業活動も、ヤ○○屋さんの活動も、資本主義の基本は、上納による搾取である。


 だから、新しい労働力は搾取されないと経済は立ち行かなくなるのだ。それがおかしいと声を上げる社会はいわゆる


下克上


なので、それぞれが実力でガチバトルするという戦国時代にならざるを得ない。



  もし、今後、戦国時代がやってくるのであれば




 そこにゆとりはない。



 ゆとりなんか、みじんもない。



 それだけは、事実なのである。
















不動産価格は「論理的に合理性がある」か、それとも「感覚的に合理がある」のか。



 ぶっちゃけの話ですが、私の買った家は980万円です。


 売主は中古の家を買ってリフォームして転売する会社です。土地価格が600万円なので、その会社は、ほぼ土地のみの価格で前の住み主から購入して、200万~300万のリフォームをして売りに出しました。しかし、社会情勢が厳しく、希望の値段で売れなかったので、約80万~180程度のギリギリの利益が残る形で損切りして980万円で売りに出しました。


 ↑これが論理的に合理性のある価格のしくみです。




 でも、いろんな人と話をしているとどうもみんな980万円の家は「怖い」とか「なにか問題があるのでは?」とか、1580万円の家とくらべて、「1580万円の家より劣っているところがあるのだろう」と考えるのです。


 その1580万円の家は、売主のローン残金が1580万円あるから「1580万円」という値段がついているだけなのに!

(本来の家の価値、程度の良し悪しとはまったく関係のない数字です)


 1580万円よりも、980万円のほうが安いのには、それだけの理由がある。

と多くの人は考えます。

 ↑これは感覚的に合理的な考え方ですね。



 しかし、私からすれば、1580万円もローンが残っているその売主のほうがよっぽど問題だし、それを買わされるほうがよっぽど大問題です。








 ちなみに、面白い話があって、僕が家を買ったときに、うちの980万円の話を疑いながら聞いていたある奥さんが、先日こんなことを僕に言ってくれました。

「ねえねえ、去年に言ってた1580万円の家が、値段下がってたね!1480万円になって出てたよ」

と。「やっぱり、1年も売れなかったから値段さげたのかしら」

にこにこしながら話している奥さんでしたが、自分でハッと気付いて笑いだしました。

「なんだそうか!1年たったから、その分ローンを返した分下がったんだ!
と。


 そういうことなんです。奥さん!




こんなふうに、意味がちゃんとわかった人は自分で気付くことなんですが、なかなか人は気付けないものなのです。それが難しい。



 モノの値段というのはそういう裏事情がいろいろあるのですが、それを論理的に理解するのは難しいものです。


 感覚的に「安いか高いか」ということには、ヒトは敏感なんですがね。





(2011/3/26付 旧ヤフーブログより移動)