2019年3月17日日曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」③



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さて、しばらくぶりのこのシリーズ。前回までは、いろいろ売り掛け代金がたまっている不良顧客から、どうやってまずは集金の催促をするか、というお話でした。

ところが、実際に訪問したり、連絡したりしてちょびっとでも代金を支払ってくれる顧客なんてすくないもので、ほとんどの場合は、暖簾に腕押し、ぬかに釘、豆腐には生姜が合うよね、です。

そこで、いよいよ社長と相談の結果、とある不良顧客に対して、「支払督促」制度を使ってアタアアアアック!してみようということになりました。


<支払督促制度って?>

ヨシイエ流、とってもわかりやすい書き方でご説明しますね!

支払い督促制度は、裁判所が〇〇さんに「あんた△△さんがお金払ってほしいて言ってるから、払ってあげなよ!」と肩をおしてくれる制度です。

もちろん、〇〇さんの意見も大事なので、「〇〇さんだって、文句があったりするんだよね?もしそんな文句があるなら裁判してあげるから、嫌ならいやだってはっきり言っていいんだよ!そんなときは裁判しようね!ほら!裁判しよう!」という風にも、公平に相手にも肩を押してくれます(^^

なので、支払い督促は、「相手方に文句がない場合」はそのまま進行しますが、「相手方に文句がある場合」は、「というわけで、お互い言い分があるっぽいので、ファイッ!!カーン!」と裁判に移行します(笑)

裁判に移ってしまえば通常の訴訟なので、また別の機会に説明するとして、そのまま進行した場合について、ご説明!

裁判所からの連絡が来て、相手が2週間なにもしなかったり、文句がなかったりすると、次は「仮執行宣言」をつける手続きをすることができます。

この仮執行宣言というのは、簡単にいえば「とりあえず、払ってもらってない代金を、仮に押えてしまっちゃおっか!」ということで、いわゆる差し押さえみたいなことができる制度です。

本裁判ではないので、きちんと裁判官が判決を決めて「これは許さん!差し押さえの上、とりあげじゃ!!」って決めたわけではないので、”仮”なんて言葉がついてますが、ぶっちゃけふつうに差し押さえて取り上げできるので、超便利な制度です。

法律的には、なんと、仮執行宣言付支払督促は「確定した判決とおなじ効力を持つ」のだそうで、・・・ぜんぜん仮じゃないじゃん!!!


(もちろん、簡易裁判所扱いの支払い督促なので、金額が大きくないというのがミソです。やはり数百万とか大きい金額になると、なにをするにも正規の手続きが必要です)


さて、2週間たつと、裁判所から「相手方なんも言ってきよりまへんで、どないしはりますか?」という連絡がきます。

そこで、さっそく、こちら側としてはもう一度「仮執行宣言付支払督促」の申し込みをします(^^

2段階になっているので、ちょっとめんどくさい感じなのですが、それでも正規の裁判よりはるかに簡単なので、相手が何も言ってこないのは「ホンマにあほちゃうか!しめしめ。うひひひ!」な感じです(笑)

そして、もう一度「仮執行宣言付支払督促」申し込みをしてから2週間すると・・・・


なんということでしょう!!!


差し押さえしていい権利が確定するのです!!!まあ!さすが匠!!


しかしまあ、支払督促が来てから4週間も「なんだよ!オレにだって言い分あるんだよ!」という反論のチャンスがあるのに、何もしない「しらんもんね。ほっとけほっとけ」な人はアホというしかないですね。

なにもせずに「差し押さえされてもいい権利」をあげちゃうわけですから!!!


こっちから見れば、「差し押さえしていい権利」が来てしまえば、あとは給料を差し押さえしようが、通帳を差し押さえしようが、やりたい放題です。不動産や車とかは、差し押さえ手続きがめんどくさいのでお勧めしませんが、「そいつがつぎに請け負う仕事」とか「いま契約して進行している工事」とか、そういうのも差し押さえできますので、これはおいしい!!!!


こんな面白い制度ですから、ぜひ良い子のみなさんはマネをしてください!!


☆ちなみに、注意点がいくつか

〇通常の裁判は、自分の住んでいる地方の裁判所に相手を呼びつけることができます。
なので、ボクの会社が大阪で、相手が東京の場合、「おらおら大阪の裁判所までこんかい!おらおら!」と呼びつけることができます。

しかし、支払督促は、相手側の管轄裁判所になるので、今の例だと「東京の裁判所に申し込み」をすることになるのです。そのまま、黙って進行すればいいのですが、もし反論があって「通常裁判」になると「え?オレ東京まで行かないとダメなの?」ってことになります。

なので、遠方の場合は、支払督促はちょっとデメリットが大きいかな。地元の商売なら、バンバン使いましょう!

〇手数料は通常訴訟の半額ですが、ふつうの裁判に移行しちゃうと通常の金額に戻ります。なので、基本的に「相手にまったく文句がない場合」や「相手がほんまにアホ」な場合に有効な制度だといえますね。

しかし、「異議申し立てをしないなんて、そんなアホなやつがそんなにいるのか?」と思われると思いますが、実は、多くの人は反論(異議申し立て)しません(苦笑)

というのも、裁判所からの命令みたいな感じで令状(笑)が来るので、「ああ、なんかもう裁判所の命令だからだめなんだ」みたいに観念する人が多いのです。

(そこで、ちょっと法律に詳しい友達とか、何度も破産してプロになってるダメ社長とかが知り合いにいると「おまえ、それ手続きしないと差し押さえやられるぞ」みたいに入れ知恵される人は、異議申し立てをして助かります)

そんな友達がいない人は、確実に黙ってしまいます。なので、うちの会社としては、大体勝率7割くらいで、そのまま支払督促が通ってしまうのです(爆笑)

3割は、やっぱり裁判に移行しちゃうかな。


というわけで、今回は説明ばっかりでしたが、次回からまた物語に戻ります!




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とここまで書いたのが、2011/8/25日まで。yahoo!ブログが終了になるので移動してきましたが、続きはいつになることやら。


(いちおう未完で中断です)


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