2019年11月6日水曜日

■【資本主義をハックする23】 社長はなぜ偉いのか  ~これからは”ヒラ社員”が偉くなる!?~



  吉家さんはその昔ガッコウという場所で仕事をしていました。そう、いわゆる公務員です。公務員の中でもガッコウという場所は


 校長・教頭・教諭


という3つしか階級がなく、そしてその階級差をほとんど感じないくらい


 校長よりも、そのガッコウに長年居座るベテラン教諭のほうが偉そう


という摩訶不思議な世界で生きていました。


 なぜなら校長は3年もすれば転勤してしまい、ベテラン教諭は10年から20年ぐらいそこにいることが多かったからです。



 そうでなくても教諭同士の格付けはいちおう平等でしたので、 勤続20年のベテラン担任も初任者の担任も、制度的には同格で仕事ができる摩訶不思議な世界でした。





 はてさて、それから数年が過ぎ、今度は民間企業で働き始めて、面白いことに気づきました。


 うちの会社は本社の社長がほとんど現場にやってこないというほったらかし自由闊達な職場なのですが、あるときバッタリ社長に遭遇して


「お疲れ様です!」


とにこやかに挨拶をして、ふと思ったわけです。


 はて、どうして社長たる存在は偉いのだろうか


と。




 これまでガッコウに勤めていると、偉いはずの校長が組合に入っている教員にコテンパンにやり込められたりしている姿をみてきたわけで、まあ、ふつうの企業でも組合がうるさい会社だとそういう場面に出くわすこともあるでしょう。


 うちの父親は国鉄職員で、○労の書記をしていたこともあるので



労使対等!!!



なんてことをよく言ってました。そうです。社長と社員は対等なのです。きっと。






==========





 ここで本音と建前の話をします。日本人の好きなヤツですね。ホンネとタテマエ。



 タテマエ上は、今話したとおり「労使対等」ですから社長と従業員は対等です。


 社長が偉いわけではなく、


それぞれ「社長という役割」「社員という役割」「部長という役割」を担っているだけで、その職責(責任度合い)に応じて給料が異なる


、という建前になっています。



 ところが、日本人のホンネというか実態は「身分社会で儒教社会」ですから、


 立場の上のものが偉くて、下のものが下僕


ということがよく起きます。






 純粋な意味での儒教社会なんて実は日本と韓国くらいしか残っていないかもしれません。




■ ヨーロッパは「階級社会」です。上流階級と労働者階級が異なり、住む世界が違うという感じです。それぞれ、出身血統によって世界が異なります。



■ アメリカは「階層社会」です。お金持ちと貧乏人がいます。 出身階級に関わらずお金で決まります。


■ インドは「カースト社会」です。家柄・血筋で決まります。


■ ユダヤ・イスラム社会は、神の前に平等です。(男女は平等ではないけど)






 それらに対して、日本と韓国の儒教社会は


「年寄り、先輩が偉い」


「長男や長女が偉い」

「立場が上のものが偉い」

「階層が上のものが偉い」

「下のものは下僕」


という形です。


ヨーロッパやアメリカと比較すると


◆ 出身階級で偉さが決まるわけではない



◆ お金の所有高で、ある程度の階層は区分けされる



◆ 所有高よりも立場が優先される



という特徴もあります。このあたりは日本式独特です。



例) 資産高1億円のニートのドラ息子(父は他界)よりも、正社員が偉い


   父親が日雇いでも大企業に勤めている息子のほうが、官僚のニートの息子のよりも偉い


   ベンチャー企業の社長のほうが、大企業の下っ端より偉い


   山田畳店よりも、吉田工務店のほうが偉い 野原設計事務所のほうがさらに偉い


   もと華族の家柄とか、別にしらんがなそんなん。






 例をたくさんつきつめると



◆ 現在の立場・役職という階層

◆ つぎに金銭の所有高



を中心とした身分社会が日本の特徴だとわかります。



 このうち立場や役職は、組織内部では絶大な力を発揮しますので、社長と社員とでは大きな権力の差が生まれます。



 ところが「組織外部」になると話が変わります。その場合はそのより外側の所属する外枠の枠組みで権力が変わるので、


「ゼネコンの下っ端社員が、下請けの吉田工務店の社長をアゴで使う」


なんてことが起きます。 この場合は、元請下請けの枠組みが組織を形成するわけです。





 日本社会では、この「組織・枠組み内部」であるかどうかが重要なので、



 「前田花屋の社長」と「吉田工務店の営業マン高橋さん」と「スーパーまつやまのレジ係峰山さん」


がいたとして、レジ打ちの峰山さんの子供が6年生、高橋さんの娘が3年生、前田家の坊主が新一年生だったら


「PTAでは峰山さんが偉そうに廃品回収の段取りを仕切る」


ということが起きます。



 あるいはタワマンで何階を買ったかという下克上が起きたりするのも日本らしいですね。






==========





”ある組織において、上下の立場の身分が偉ぶる者と下僕を生じさせる”


という現象は、実は中国の儒教の影響で、それも徳川幕府と朝鮮王朝によって導入された朱子学の成果で、人工的なものです。


 なので、日本と朝鮮にはこの朱子学的身分制度が多々残っています。



 ヨーロッパでは、その時の立場ではなく出身家の血統が階級を形成しますし、アメリカではお金持ちがとりあえず勝ちです。

 儒学が生まれたはずの中国は、すでに共産主義で塗り替えられています。

 そういう意味で、組織における身分制度は日本と韓国だけに残る特殊なものかもしれません。





=========




 話が長くなりましたが、こうした制度は人工的に生まれたものなので、制度が疲弊すると壊れてしまう場合があります。



 たとえば、鎌倉幕府は「幕府が領地を御家人に与える」「そのご恩を持って幕府に奉公する」という




ギブ安堵テイク (所領安堵にかけてみた)




だったので、元寇の折に「領地が増えないのに一生懸命モンゴルと戦ったのは意味ないねん!」ということで幕府が倒れる原因になりました。




 近年、ボクシングの山根会長やテコンドーの金原会長が糾弾されたように、あるいは吉本興業や関西電力のトップが叩かれたように、


「組織の統制が取れないとすぐ下克上が起きる」


のも、これらの身分制度が「内部反乱」を爆弾のように抱えたシステムであることを示します。



 厳密には、組織は上から下へトリクルダウンとしてエサを下ろし続けないと、特に中間段階にいるものが美味しくないので、組織を崩壊に向かわせることになるのですが、それはまた別のお話。



 さて、こうしたわけで、名だたる大企業が45歳以上の社員をリストラしはじめたように、組織における身分制度は内部にいるものにとって美味しくないので、そろそろ崩壊の兆しが見えています。



 これからどんどん儒教的な身分システムは、機能しない方向へ向かうと予想されます。



 そうなると「社長は偉くない」ということが現実に起きてきます。


 
 ◆  資本家は金を出して利益を得る役回り

 ◆  社長は事業全体の枠組みを統括する役回り

 ◆  上司はセクションにおける分限責任を負う役回り

 ◆  社員は実行するだけの役回り


ということがだんだん明らかになってくると、 社員は好きなように職場を選ぶということが起きてきます。




 つまり、「自分の労働力と、職場というシステムやツールを使って利益を得る場所」が就職先になるわけですから、


「いいツールとシステムがないのであれば、おさらばである」


ということが社員のベーシックな意識として持ち上がってくるということです。能力の高い社員ほどそう考えますから、


「身分的に、おまえら社員は社長や上司の言う事を聞けばいいんだ」


という社風の会社は、


「自分でモノを考えられない、どんづまりの行くアテのない社員の吹き溜まり」


になってゆくことでしょう。そういう社員は、ツールとシステムについて考える能力がありませんから、黙ってそのままそこにいます。





 というわけで、まともな会社ではこれからどんどん「偉い社員」が現れる時代がやってきます。



 まるで、中世の封建社会から戦国時代へと変化したように、会社組織も戦国化がはじまるのです。







2019年11月5日火曜日

■【資本主義をハックする22】 若者は3年で会社を辞めなさい!



 近年(というか昔からですが)、


 「若者が三年ですぐ会社を辞めてしまう!」


 ということが問題になっています。



 しかし、個人的にはヨシイエは若者がすぐ会社を辞めてしまうことは、意外と悪くないのではないか、と常々考えています。


 いやむしろ、3年でも2年でも、速攻で仕事を辞めてくれるということは、実は労働者すべてにとってWIN-WINなのではないか?と推奨したいくらいです。





 そう!その背景には、実は「若者が3年で辞めると困るのは、経営者だけだ」という恐ろしい真実が隠されているからです。



 おもしろことに、ふだん後輩が3年で辞めてしまって、文句を言っている先輩社員にとって、困ることは一切なく、むしろ本当は彼らにとっても利益になる可能性がある、と言えば、驚くことでしょう。



 今日はそんな話をしてみましょう。





==========




 「若者が3年で会社を辞める」という言説は、大抵の場合


 「だから最近の若者は忍耐力がないんだ」とか

 「だから使える部下が育たないんだ」とか


そういう語句に繋がってゆくものだと思います。 これは、逆の見方をすれば、すごく単純な話で、



”これまでの先輩社員たる人たちが、ただ忍耐を強いられ、やりたくないことをさせられてきた”


ということの裏返しにすぎません。なので、仕事をさっさとほっぽり出して転職してしまう若者を見て、


「おまえらずっこいわ!(ずるいわ)」


と感じる気持ちをそう言い表しているだけ、ということになるでしょう。


「・・・わしなんかこんなに我慢してきたのに」


と。



 この見方は、別に先輩社員の人格をディスっているわけではなく、これまでの組織労働のあり方が、これまたただ単純に


「ピラミッド型になっていて、若手から順に労働力を搾取して集約し、上位にいくほど労働力が楽になってゆく構造」


をしていたことを示しています。ですから、先輩社員が若手であったときは、本来の給与よりも搾取されている度合いが強かったわけなので、 たしかに我慢を強いられていたのですね。




==========



 それにもう一つ、日本は封建主義的社会、組織を作っていますので、(この点については別に機会をもうけて説明しますが)基本的には



「下の者は、上の者の言う事を聞け!」


という組織体系になっていますので、


「言う事をほぼ無条件に聞かなくてはならない若者・部下・若手社員がたくさんいればいるほど、上司や経営者は高い利益を得ることができる」


という構造になっています。



 なので、若手は「いつか上司になれば搾取ができる」ということに気づいており、偉くなれば自分もそっちの立場へいけるのだということをインセンティブにして、長く働く構造が出来ていたのです。





 これらを簡単にまとめると



「長く働くということは、長い我慢を強いられるが、その後一定年月がくれば、その苦労が報われ、利益が享受できるしくみである」



というビジネスモデルであることがわかります。






==========



 ところが、これは、その企業なり組織が少なくとも「長い間」存続し、「右肩上がり」の業績を上げることができる場合にのみ成立する話で、


「短期的にビジネスが動く」

とか

「右肩下がりもしくは、平衡状態」


の場合には成立しないビジネスモデルです。


 たとえば、タピオカ屋に入社して、若手社員から部長に上り詰めるまで、タピオカブームが続くとは思えないので、上記のような組織は作れません。

 さっと集ってタピオカ煮て、さっと別れてゆくに限ります。


 あるいは、毎年新入社員の数が減少してゆくのに、「いつか部長になれる」わけがないですよね。



 従って、ほとんどの企業において「これまでは、そうだった」かもしれませんが、「これからは若手が長く勤めるビジネスモデルは成立しない」ことがわかると思います。





==========





 では、どのみち「若者が長く働いても、意味がない」ビジネスモデルで企業が動いているのであれば、当然のことながら



■ 若者は3年で会社を辞めてもいい、というか辞めたほうが「搾取」されない



ことがわかると思います。


 それよりむしろ、若者が3年で会社を辞めることがすべての会社で行われれば、



■ 給料と比較して、見合わない労働をさせることが減少する



ことが予想されます。なぜなら「割りに合わない」仕事であればすぐ若者が辞めるからです。



 そうなると、若者に対しては、「割りにあうおいしい仕事量」と「給与」はバランスが取れてゆくことになります。

 まさにワーク給与バランスです。




 もちろん、このままでは、長く働いた先輩社員たちから見れば


「あいつらずっこいわ!」


になってしまうと思うかもしれません。しかし、実際には


「若者が早期に辞めることに対して、長期で働いてくれる人材については慰留のインセンティブが働く」


ことも当然です。そうしないと今度は


「おっさんもすぐに会社を辞めてしまう」


ことが全国的に生じるからです。



 こうして、長期労働者に対しての一定の優遇と、「それなら自分も長く働いてみよう」という若者の意識のバランスが取れたところで、給与と労働内容は落ち着いてゆくのが自然の理です。



 そのためには、一刻も早く、若者が3年で仕事を辞めてくれないと困るわけですね。





 ===========





 ちなみに、私は従業員でもありながら取締役という微妙な立場ですので、経営者の考えもわかるし労働者の考えもわかります。


 ひとつ絶妙な例を挙げてみましょう。



 うちの会社では、「トラックで建築材料を運ぶ」という仕事があります。今現在は30代から40代の社員が、なんとか小型クレーン(ユニック)車を使いながら荷物を運んでいます。



 ところが、今の社員がもし辞めたら、次の若手は困ったことに


「中型免許を持っていない」


ので、まず応募してこようと思いません。


 そして、仮に中型免許の取得を補助しようとしても、そもそもそいつが受かるまで、カネを出し続けるのか?などのややこしい話が持ち上がるのが目に見えています。



 そうなると、答えは簡単。


 30代から40代の現行社員を、大事に扱う


というのが最も効率的で効果が高いわけです。(給与や処遇面で)





 こういう例からもわかるとおり、 若者が3年で会社を辞めてくれれば、短期的には現行社員が利益を得るのです。


 そして長期的には若手社員ももちろん利益をえます。


 WIN-WINですね。


(経営者は困るけどね)




 































2019年10月27日日曜日

■【資本主義をハックする21】 日本人の生産性が上がらないのは、ケチが多いからだ。



 働き方改革だの、生産性の向上だの、これからの企業と働く人の未来についてあれこれ議論されているところですが、「生産性を上げる」なんてことは実はとても簡単で、諸外国ではあっという間に実現できます。


 そもそも生産性とは何かを簡単にまとめると


「働いた労力に対して、お金がたくさん得られること」


に過ぎません。



 ところが、何を誤解しているのか、日本人は


「おなじ製品をできるだけ安いコストや価格で提供すること」


みたいにすぐ勘違いしてしまいます。



 なので、働き方改革に絡めて



「残業をしないで、これまでとおなじ製品量・サービス量を維持しなくてはいけない」


みたいに経営者も労働者も考えてしまうのですね。アホです。



 なぜなら、おなじ金額を稼ぐのに、より忙しかったり、労力が詰め込まれた作業をしなくてはならないのであれば、それはもはや



 奴隷労働


まっしぐらだからです。




==========



 生産性が高い商品と、生産性が低い商品の比較を行うには、コンビニへ行ってグミの棚を見ればよくわかります。


 お菓子のグミの陳列棚には、まあたいてい国産のグミとドイツ生まれの「ハリボー」のグミが並んでいます。


 ■ ハリボーのグミは100g入りで、だいたい230円ぐらい

 ■ 国産のグミの増量タイプは、100g入りで、だいたい200円ぐらい

 ■ 国産のグミの標準タイプは、50gぐらいで、だいたい100円ぐらい



という価格設定になっています。


 海外製の菓子類などを扱っているお店にいくとよくわかりますが、ハリボーのグミだけでなく、ポテトチップスなんかは、



「国産の3倍入っていて、国産の3倍の値段」



がすることがほとんどです。輸送費や関税の関係をさっぴいても、基本的に


「高くてでかい」


のが海外製品の特徴でしょう。コストコなんかへ行っても、それはよくわかります。



==========


  仮に、グラムあたりの価格が、国産品と海外品のどちらもおなじだったと仮定して、それでも



「3倍入って3倍高いほうが生産性は高い」


と言えます。なぜなら、客が1回の来店で3倍のお金を落としてゆくのであれば、そちらのほうが絶対に効率がよいからです。


 逆に、価格を3分の1にしたことで、客が3倍来店するかといえば、それも絶対にありません。せいぜい2倍はあるかもしれませんが、それでも3分の1の売上をロスしているわけです。



 お豆腐で考えましょう。スーパーに行くと、本来98円ぐらいのはずだったお豆腐のとなりに38円の豆腐が並んでいます。49円ぐらいの場合もあります。


38円の豆腐にすることで、鍋の回数が増えますか?


38円の豆腐をあなたは一回の鍋で倍量食べられますか?


 ええ、人は半額になったからといって、倍の豆腐は食べられないし、仮に月2回に鍋が増えても、その他のメニューが減るだけです。スーパーから見れば、総売上にはあまり影響がないわけで。



========




 以前の記事でも書いたとおり、もし価格と内容量を増やす方向に改革し、かつ、ちょびっとでも価格に転嫁できるのであれば、実は給料を2倍にすることだって簡単です。



【資本主義をハックする 3】 あなたの給料を2倍にする秘策を教えよう
https://kotaro-yoshiie.blogspot.com/2018/06/blog-post_13.html




 ということは、机上の空論的には



「製品の内容量を増やし、価格をその分増やして、適正な値上げをすれば、日本人の給料は2倍になる」


ということなのですが、それができない理由はとても簡単です。




 日本人がケチでアホだから



ということ以外にはありません。










2019年10月8日火曜日

教師の間でいじめが起きるのはなぜか?



 神戸の須磨で、教師が同僚の教師をいじめた(暴行した)というニュースが起きて、前代未聞の話だと盛り上がっています。


 ヨシイエは元学校に勤めていた人なので、教師間の「力関係」「パワーバランス」のこともよく理解しているし、「教師間いじめ」のようなもの、が起きることがあることもよく知っています。


 実際に、私が勤務していた学校でも、教師間のパワーバランスの乱れを目撃したことがありますが、それが「いじめ」だったかというと、今回のような事例とは異なるので、同じにするのはどうかなと思います。



  ヨシイエの勤務校では、Kという先生がかなり特異なキャラクターで、一部の同僚の間ではとても煙たがられていました。


 K先生がどれくらい変わっているかというと、


■ 別の地方出身なので、方言でとてもゆっくりネチネチと話す。

■ 生徒指導ができず、教室で生徒が騒いでいても注意できない。

■ 教員同士の飲み会で、「おいは、だれそれ先生が好きなんやー」と(本人の前で)絶叫する

■ 文化祭で「ど演歌」を泣きながら歌う


ほかにもいろいろあったけれど、もう覚えていないので、これくらいにしておきますが、 ひとことで言えば、



かなり・変な人



ということになります。


 そのため、職員室の間では、当時流行語であった


「彼はいわゆる指導力不足教師なのではないか」


 という言説が広まり、生徒もその特異なキャラクターを認知しているものだから、他の教師の授業の中でK先生のネタで笑いあう、ということが起きていました。



  こどもたちというのはとても敏感ですから、それをみて、
 

「先生同士でK先生をいじめている」


と感じていたと思います。

 そういうことをする教師、そういうことをしない教師を見分けながら、教師に対する信頼度を推し量るのは、むしろ子供たちのほうが正確だったのではないでしょうか。





~~~~~~~~




 ヨシイエはその場にまず、いませんでした。

 ヨシイエもまた、K先生を笑ってしまうようなパーティピーポー的教員たちからは別の意味で煙たがられていた職員でしたので、K先生をからかう場にはいないということになります。



 私は個人的には、たとえK先生が多少の指導力不足であったとしても


「進学校に赴任していれば、特に問題もなく、強烈な先生としてただ任務をまっとうできただろう」


とドライに見ていたのを思い出します。




 このように、構造的に見て、「弱い性格のものや、特異なキャラを持つ人間に対して、からかいやいじめに類することを行うものがいる」ということが


 職員室でも起きる


という点については、当然あると思っています。



 ただ、理解できないのは、今回の須磨のように、


■ 直接被害教師に触れて、暴行する


とか


■ 被害教師の持ち物に損壊を加える


とか


■ 激辛カレーなどを目に入れる


とか、そういう直接的暴行は、たしかに前代未聞ではないかと感じるところです。



 いわゆる教師間いじめは、ふつうの場合は


■ 陰口やたばこ部屋などでの話題にする

■ 生徒の前で該当教師の物まねをして笑いをとろうとする

■ 該当教師に対して仕事を過剰に割り振ったり、あるいは、叱責する

■ 該当教師の能力不足を認識させるように仕向ける


などが大半で、直接的に暴行するのは


単純に犯罪


だからです。




  教師は全員が大卒の頭脳集団でもありますから、自分達が責任を取らされるような下手な真似は、基本的にはしません。


「指導のあり方をめぐって、つい熱が入りました」

くらいで言い訳・ごまかしができるレベルには、留めておくことができる頭脳を持っているのです。





 ところが、今回の須磨では、そうした責任回避工作がなされず、


「単純暴行」


で被害教師を侵害しています。これはとても奇妙なことなのです。




~~~~~~~




 報道では、主犯格が校長のお気に入りだったなどの話も出てきていますが、少なくとも


「職員室機能、管理職機能がまったく働いていない職場」


であったことはたしかでしょう。



 ヨシイエさんの口癖は、「事件は現場で起きているんじゃない、職員室で起きているんだ!」ですが、まさにそんな感じ。




~~~~~~~~


 もうひとつ、今回の事件で神戸の教育界の未熟さが露呈しているのは



■ 校長がなにをやり、何をどう感じていたかまったく出てこない


■ 教育委員会も現場をまったく管理しきれていない


■ こどものいじめとおなじ対応を大人に対してしている


という3点です。



 「校長にどこまでの権限があるのか、あるいはなかったのか」は、今回のカギになる点だと思います。

 あるいは「組合員がいたのか、組合の力はどうだったか」も少し気がかりです。


 そして一番のあやまちは


「こどものいじめと同じ対応をしている」


ことです。



 こどものいじめに対して、学校や教育委員会が代わりに表に立って対応するのは


「子供が未熟な存在で、責任が取れないから」


です。



 それに対して、今回の登場人物は


「全員おとなであり、自分の口で語れるし、自分で責任が取れる存在」


です。学校現場における責任者は校長ですから、校長が直接喋ればいいし、加害教師も、被害教師も全員直接喋って、直接責任を取ればいいのです。


 実際、裁判になれば全員がそうするわけですから、今だってそうすればいいわけです。



「現場も知らず、管理もできていない教育委員会の人間が出てきて喋ることなど、ひとつもない」


というのが正論だと思います。











2019年7月31日水曜日

「言ってはいけない」橘玲さんの指摘は正しい。



 「言ってはいけない」シリーズなどで、驚愕の事実をぶちかまし続けている橘玲さんですが、ヨシイエは基本的に彼の言っていることを


 体感



で肌で感じており、事実としてのファクトだけでなく、臨床の上でも、彼の言説は基本的に正しいと思っています。


 週プレさんに、橘さんのインタビューが現在連載されていて、興味深いのでぜひお読みください。



なぜ「言ってはいけないこと」を書き続けるのか
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/07/25/109380/


社会は偏差値60以上に向けて作られている
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/07/28/109413/


リベラルな社会は究極の自己責任
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/07/31/109436/



 まだ、インタビューの連載の途中ですが、ここまでだけでもかなり恐ろしいことが書かれています。



~~~~~~~~


■ 日本人の3分の1はアホ

■ パソコンを使って仕事ができるのは1割

■ 教育は万能ではない



 ヨシイエさんは、前職は高等学校に勤めていて、その中で多くの生徒をつまびらかに観察してきたわけですが、結果的には橘さんの言うとおりのことが学校で起きています。


 おなじ高卒資格を持っていても、偏差値の高い大学に進学する者と、教育困難校を卒業しただけだったり、Fランク大学に進学する者とでは、その知能レベルは大きく異なります。

 また身体能力や、そのほかの把握能力、コミュ力なども大きく異なり、そして、たいへん興味深いことに、その能力は16歳時点から大人になるまで、ほとんど変化しません。


 そうすると、橘さんが言っているとおり、高校生の3分の1は日本語能力が怪しく、小学生程度の算数でつまづき、パソコンは使えない、ということが起きています。


 これは別に不思議なことでもなんでもなくて、みなさんの住んでいる地域の


「一番優秀な高校」から「ヤンキーのいる高校」

まで人数で並べてみると、だいたいそれくらいの幅にちゃんと収まっていることがわかると思います。



 そして、学校現場にいると「昔は悪かったけれど、今はあの学校は良くなった」というような私立高校がいくつか存在することに気づきますが、その内情は


「悪い生徒を教育してよくした」

のではなく、

「早く悪い生徒は卒業させて、もともとレベルの高い新入生を集めた」

だけに過ぎないことがわかります。



 そう!これは実は、「なにも教育していない」のと同じなのです。


 だから、教育でできる変化の範囲というのはごくごくわずかであって、学校全体の雰囲気やレベルを変えるには、生来の能力が異なる人間を集めてくるしかない、ということだったのです。




~~~~~~~~



■ 行政は偏差値60以上の人が理解できるように作られている


 それから、ヨシイエさんは現在の会社で、裁判実務に携わったり、いろいろな行政的仕事に携わったりしたのですが、そうした公的な文書の作成に関わっていると


「なるほど、ものごとをきちんと手続きを踏んで進めるということは、結局『文字と文章がきちんと書けるということなのだ』な」


ということに気づきました。


 共産主義国などで「書記長」という偉いポストがありますが、なんで「ものを書く、書きとめるだけのポストが偉いのか」と疑問に思っていました。


 ところが、公文書のセカイでは「この当たり前のことを当たり前に書く」ということのレベルがものすごく高い、難しいことなのだと気づきます。


 私達からみると「裁判の文書なんてとても難しい!」と感じると思いますが、実は書いてあることそのものは何も難しいことはありません。

 しかし、それを「正しく、間違いがなく、文意が誤られることなく、公正に書く」ということは、大変に煩雑でややこしい作業なのです。



  幸いなことに、ヨシイエは偏差値60以上の大学を出ていたので、それほど苦もなく
裁判文書を自分で作成し、裁判そのものにも臨むことができたのですが、おなじことは、日本人の多くにとってはかなり難しいことであろうとわかります。



 こうしたことはブログ一つとってみてもそうで、現在ブロガーとして活躍しているネット上の人たちの学歴を調査すると、ほぼ全員が早稲田慶応、国立大、関関同立 などの偏差値60以上の大学を卒業していることがわかります。


 つまり、ブログを書く、という作業すら、偏差値60以上でないと「一発当てられない」のです。


 アフィリエイトやアドセンスで稼ぐことができる人たちも、結局は偏差値60以上ということですから、彼らはもともと普通に就職していても学歴フィルターで落とされないレベルであるといえるのです。

 



~~~~~~~~



 ■ 自由で平等(リベラル)とは、能力のあるものが好き勝手する世界



 「人種差別はいけない。男女は平等である。出自や身分で左右されない。」ということが簡単に言えばリベラルの思想ですが、私達の周りはどんどんこの方向に進んでいて、これは世界的な潮流です。


 しかし、このことは社会主義、共産主義のような「結果的な平等」と勘違いしてはいけない、というのがミソです。


  リベラルの思想は、「スタート時点で差がつかないのであれば、結果としてお金持ちになったり貧乏になったりしたのは、途中経過がうまくいった人と、失敗した人の差による自己責任だ」ということにも直結するため、そうした結果的弱者は救われない世界になるということなのです。



 すごく簡単に言えば、「好きにしろ」ということなのですが、これを勘違いする人が続出しているのが現代の日本ということになるでしょう。


  これまでの日本の会社では、終身雇用であるがゆえに社員をがんじがらめに縛り、副業なども禁止して、そして高いノルマを課して「働かせて」きました。

 それゆえにそれなりの高い結果が出て、その給料が社員に還元されていたふしもあります。


 ところが


「副業してもいいよ、ノルマも課さないし無理やり働かせもしないよ、ワークとライフのバランスも好きにしていいよ」


ということになると、(事実、企業はそうなりつつあります)


「その代わり、雇用も守らないし、君達が売り上げた分だけ分配するだけだし、(会社からみて)コスパが悪ければ創業家一族の利益だけ確定したら廃業するよ」

「その代わり、45歳になって給料が上がりそうな人はリストラするよ」


という裏面がにわかにあぶりだされてくるわけですね。



 あるいはフリーランスや起業が注目を浴びるのも、一見「かっこよさそうでスマートな働き方」に見えますが、


「能力の無い者たちの多数の屍を、一握りの有能なフリーランスが踏んでゆく社会」


がやってくるだけです。 一人握りの芸人が当たったり、一握りの芸能人が注目されたり、一握りの選手がプロになれるようなそういう世界観が、ふつうの仕事にも当てはめられてゆく、ということが真のリベラルだということです。





========



 こうして全体をみてゆくと、これからの社会はどんな場面でも戦国時代の様相を呈します。

 どの会社や組織に入っても「安心」「安定」ということがなくなってくるのが、これからの社会だということです。



 そして、ここに最も恐ろしいエビデンスが隠れているのですが、この世界観の中において戦国時代のように下克上して



「じゃあ、這い上がったら勝てるんだな」


という考え方をついしてしまいがちですが、そうではなく、


「最初から遺伝や環境、能力的に勝てるメンバーは決まっていて、努力でそれを追い抜くことはできなくて、3分の1は貧困化し、能力(学力ではない)の上位偏差値60以上のみが生き残れる熾烈なセカイがやってくるのだ」


ということがこれから起きる真実だ、というわけです。



 これはなかなか衝撃の未来ですね。




2019年7月18日木曜日

女性に高学歴は必要か



 前回の続きで、学歴と収入について書いたあとは、「女性と学歴」についても考えておかなければならないと思うので書いておきましょう。


 「40代で、フルタイムで働けない高学歴のおっさん」、というのはたぶんけっこういて、私のいとこも同志社を出て働かず引きこもりをしては碁会所にだけは歩いてゆくという生活をしているそうですが、 お父さんが元国有企業の偉い人だったのでお金には困っていないし、幸せそうです。


 昨今のニュースによれば、日本には引きこもりのおっさんが100万人もいるらしいので、もはやマイノリティなんだかマジョリティなんだかわかりません。


 人口100万人の国がキプロスとかアメリカ領ヴァージン諸島とか東ティモールとからしいので、もはや引きこもりも


 一つの国ぐらいの規模


な人口というわけ。




=========




 しかし、それは差し置いても、日本という国は女性に対して手厳しいので、特に高学歴の女性はその身の処遇に困ってしまうことが多々あります。


 前回の話に出てきた45歳女教師なんかも実はよい例で、独身でキャリアを続けているから600万、700万の高給をもらっていますが、途中でキャリアを中断したらどうなっていたことでしょう。


 これも良い例があります。


 ワタクシ吉家さんが、新卒で配属されたおなじ新人で、Kさんというめっちゃくちゃ美人の女子がいました。

 Kさんと私はあまり相性が良くなく、きっと私がブサイクだったので相手にされていなかったのでしょうが、おなじ4年間という年限を同じ部署で過ごして、さあ異動がやってくるぞ!という時に、Kさんはさっさと仕事をやめて結婚してしまいました。


 その時は「ああ、せっかく学歴を生かせる仕事だったのにもったいないなあ!」と私も感じましたが、そのご子育てをして、夫となった人物も公務員だったので幸せに暮らしましたとさ、なのでしょう。


 そのKさん、これまたネットで調べてみると、通信制高校で講師をしているようで、単年度契約でしょうが、比較的自由に仕事をしているように見受けられました。


 まあ、通信制高校の講師の給料が安くとも、旦那が700万もらっているわけなので、生活には困らないでしょうけれど。


 ちなみにKさんの出身大学は東北大学です。てやんでい。





 ========




  キャリアを中断しても、旦那が高給取りなら困らない、というのが実情ですから、ニャートさんが「結婚の有無」について触れておられるのも、ちゃんと意味があるということがわかります。


 ではもう一人の才女を例に挙げましょう。


 彼女は私が公立機関で講師をするときのマネジメントをしてくれている女性で、現在35歳。大学を出てからずっと、公立機関の「非常勤職員」をしてきました。バイト扱いよりはちょっとだけ待遇のよい、単年度更新の準公務員です。


 その子は、Sちゃんと言いますが、もう5年くらいは、私の講座が開催される時の調整役をしてくれていました。


 そのSちゃん!なんと来年以降は「青年海外協力隊」でどこか遠い国へ行くそうです。



 彼女も関西では有名な高学歴私大の社会学系のご出身。フィールドワークとかやらせたら、すごい才能なのでしょう、きっと。しらんけど。



 彼女の場合は、結婚していません。ずっと非正規雇用です。おそらく年収300万円程度しかもらっていないと思われます。

 だから、この国にいても、その組織にいても、ずっと非正規のままで単年度雇用が繰り返されてゆくだけで人生を浪費してゆくわけです。


 だったら、ラストチャンスとして、海外協力隊員になるか!というのは、彼女らしい解決法でもあります。

 どうせ国内ではどん詰まりなのだったら、好きなようにやってみよう!ということですね。



 Sちゃんの同僚で、おなじように私の講座のマネジメントを担当してくれていた別のKさんという女性は、彼女も同じように単年度でいろんな公的機関を渡り歩いていましたが、結婚して子供を生んでしばらく休み、今は高学歴大学院で学歴ロンダリングをして研究にいそしんでいます。


 まあ、ある意味、好きなように好きな道をひた走っている女性ですが、とても好感のもてる人ですよ。





========




 女性の場合、高学歴を生かすのも殺すのも「結婚と相手のオトコ」が関係するのではないか?となんとなく考えているヨシイエですが、ひとつだけはっきり言えるのは、


「低学歴の女子は低学歴の男子としか知り合えないので、ワンチャンスが掴まえられない」


ということは確かです。


 高学歴オトコがダメ人間で、結婚生活がうまくいかないリスクももちろんありますが、低学歴オトコと高学歴オトコでは、そもそも年収をどれくらい稼ぐかの平均が異なりますから、


「最低でも高学歴オトコと結婚できるようなくらいには、そのレベルの社会体験(つまり、進学すること)は積んでおくべき」


ではないかと思います。うちにも娘がいるものでね。




 高学歴女子は、「学歴がなくても素晴らしい男性はいるのではないか?」と思っていますが、それはたしかにその通りではあるものの


「確率論としては、高学歴女子がそう思っている確率より、確実に低い」


ことを見落としています。



 なんなら本当にそうかどうか、実際につきあってみればわかりますが、あなたの人生の一番輝ける時期を失うことになっても、私は責任をもてません。



 ヨシイエさんはふだん、高卒社員等とよく接していますが、大卒社員の世界と高卒社員の世界は、まったく異なります。


 それがどれくらい違うかは、ご想像におまかせしましょう。



 ========



 私のとある元教え子で、面白い女性がいたのでそのお話も。Nちゃんという彼女は地方のど田舎村の出身でしたが、そのど田舎には隣接している地域に「公立の教育大」があり、そこの教授をお父さんがしていました。

 教授の娘の割には「アホ」だったのですが、彼女はそのことも理解していて、そのまま推薦で行ける

「東京の短大」

へ進学。そこから彼女の快進撃がはじまります。


 Nちゃんはまず、短大から編入で4年生大学へ進み、サークル活動は学内のものには目もくれず、他大学との交流やイベントを行う「地域おこし系」みたいなサークルでせっせと人脈を作ります。

 
  そのサークルではちっちゃなリーダー格のような仕事をして、かつ東京6大学をターゲットとした合コンにもいそしみ、3年くらい前に


「東大卒の公務員のおっさん(10歳くらい年上)」


と知り合って結婚して、今子育てをしてます。


 学歴ロンダリングならぬ、婚活ロンダリングとでも言うべきこの作戦は、 そりゃあ背後に教育大の教授であるお父さんのご指導があるに違いありません。



  自分の娘が、(それもちょっとアホな)娘がいかに幸せを手に入れるか、という方程式は、まさに魔法の解法によって成し遂げられた、というわけですね。



 




学歴と収入が比例しないのはなぜか?



いつも敬愛しているニャートさんというブロガーの方がいるのですが、最近新シリーズがはじまって、いろいろ私も考えさせられています。

 その中で、今回「学歴とお金」の話があったので、これをヒントにいろいろ考えてみました。



 学歴を換金できない・40歳働けない結婚できない私
 http://nyaaat.hatenablog.com/entry/2019/07/18



 ニャートさんの個人的なパーソナリティにおいて、ご自身でこれは課題があるぞ、と挙げておられる項目はもともと以下のようなものがあります。


◆ 女性40代

◆ 高学歴(有名国立大卒)

◆  フルタイムで働けない

◆ 結婚できない


まあ、細かいことはご本人ならではの視点やツボもあるでしょうので、ここではざっくりと書いておくだけにしましたが、今回の記事は、こうした属性をもって


「高学歴の学歴を収入として換金できない現状」


について考察をめぐらされておられます。




========



 さて、その本題に入る前に、落語でいうところのマクラのようなお話をしてみましょう。


 わたくし、吉家コータローさんは、今の奥さんと付き合う前に、交際をしていたHさんという女性がおりまして、私は今年誕生日がくれば45歳になる年齢ですが、その恋人たる女性も同じ年齢でした。

 つまり、現在45歳。

 別れた理由等は、個人的な事象なのでほっておくことにして、その人現在どこで何をしているのかとネットを叩いてみたら


◆ 女性45歳

◆ 高学歴 筑波大学卒

◆ フルタイムで働いている

◆ 結婚していない


ことがわかりました。

 おなじく、まだ私が22歳の若かりしころに、一緒にとある県の公務員試験を受けに行く道中いっしょになって、いい感じに話がはずんで「どちらも合格するといいね」なんてそれぞれの会場に向かったSちゃんという女性がいて、その人現在どこで何をしているのかネットを叩いてみたら


◆ 女性45歳

◆ 高学歴 関関同立卒

◆ フルタイムで働いている

◆ 結婚していない


ことがわかりました。



 ちなみにこの2人、現在幸せなのかどうかは知りません。幸せだと思いながら日々暮らしているのか、それとも何がしかの苦労や苦痛の中で暮らしておられるのかはわかりません。


 ただ、「ある程度高給な職についている」ことは事実です。


 2人とも高校の先生をしていますから、給与は600万~700万くらいはあるのではないでしょうか?




========




 このように要素を抽出してみると、HさんとSちゃんとニャートさんのそれぞれの違いは、


「同じように高学歴であり、同じような属性なのに年収600万円か、それとも年収300万円以下か」


という部分にのみあることがわかります。



 このことから一つ言えるのは、学歴を収入に直接的につなげるには、公務員になるのがいいぞ!


ということでしょうか(え?)


 民間に行くと、ハラスメントにつぶされたり、45歳でリストラに遭ったりしますが、公務員はいいぞ!(くりかえし)

なのでしょうか(え?)



 とまあ、この話のマクラのオチは、どう転んでも「公務員はいいぞ」しかないのですが、公務員ではなく民間を選んでしまったのは自己責任(流行語)なので、これは誰を責めるものでもありません。



~~~~~~~~~



 さて、ここからが本題。今までの部分はギャグみたいなものです。学力と収入が比例しないのはなぜか、という当初のお話ですが、それは実は雇用者でなくても「経営者」でもおんなじで、


 学力と経営力(稼ぐ力)は、比例しない


ということが時としてあります。



 そのことは


【資本主義をハックする 20】 なぜ、学歴や学力がある人が経営してもうまくいかないのか
https://kotaro-yoshiie.blogspot.com/2019/03/blog-post_27.html



の記事で説明しましたが、


 一橋大学と筑波大学を出ても、経営がうまくいかないものはいかない


のであります。



 なぜそんなことが起きるかも、おなじ上の記事で書いていますが、



◆ 学力と学歴は 確実性をベースに積み上げてゆくもの

◆ 経営と収入は 不確実性の中でもがくもの


ということになるかもしれません。



 だから、確実性のある分野で業務を行えば、学力と収入は直結します。



 つまり、公務員(特に地方公務員はいいぞ)になればいいのです。



 不確実性の高い商売の世界では、学力と学歴が成果に結びつくかどうかはわかりません。



 民間企業にいる賢い人たちが翻弄されているのは、そういうわけですね。



 NEC・富士通・カシオといった大会社でも45歳以上の大リストラが進行しているわけですから、


「最初の時点で就職氷河期か、あとから大リストラか」


の違いで、どちらも不遇な境遇になることは変わりないのです。




 小塚井呉也さんのnoteで、


「45歳以上の大リストラに対抗するたったひとつの方法」
https://note.mu/kozukai_kureya/n/ncb91e4831645


という記事がありますが、ここでは、普通の人たちが見落としがちなものすごいことが書いてあります。







 現在45歳の人たちが、もっとも人口が多く、そして44歳がその次に多かった世代、ということは

「大学入試から、就職入試にかけて、最も倍率が高かった優秀中の優秀を選んだはずの世代」

ということです。同時に、ここで職業選考にふるい落とされている45歳は、超氷河期世代とも呼ばれる、二面性があるのですが、今回リストラされるのは、

「あの時ちゃんと正社員になれて、選抜に選抜されたエリート層」

だということです。




 たとえばニャートさんのように、就職氷河期に網からこぼれ落ちた優秀な人たちもいるかもしれませんが、その同じ人たちが、今から


「放り出される」


事態がやってくるのが現実であります。




 どっちみち、ほうりだされるんやんけー!!!!!




 これが、不確実性の恐ろしさです。


 本当に、定年になるその瞬間まで、この世は不確実なのです。



 だから、優秀な大学を卒業して就職するなら



「きっと30年後も40年後も席があるだろう、市役所とかの公務員の地味な業務がいいぞ」



とオススメします。

 


続き→ 女性に高学歴は必要か、もあるでよ。

2019年3月27日水曜日

■【資本主義をハックする 20】 なぜ、学歴や学力がある人が経営してもうまくいかないのか



 もうすぐ70歳近くになろうかといううちのおかんがよく呟いていることばに、たとえば政治であったり、あるいは国際問題であったり、またあるいは何かの経営活動などに対して、


「どうして賢い人たちがいっぱいいるのに、うまくいかないのかねえ」


というものがあります。


 政治経済のニュースを見ながら、それぞれ「賢い人たち=えらい学者さんや、えらい指導的立場野人たち」がいちおう一生懸命やっているのにも関わらず、どうしてこの世はうまくいかないことが多いのか、という素朴な疑問ですが、たしかに言いえて妙なセリフだと言えるでしょう。



 別に取り立てて、「お上とは、自然に偉いもので、かつ賢いものだ」なんていうつもりは毛頭ないけれど、東大やら京大やらを出た企業人や、官僚、あるいはそれには劣るかもしれないけれど、とりあえず、わが国の大学教育を受けた人たちがたくさん政治家になっていて、それでもこの状態なわけですから、



「学力とはなんだ?!」



という疑問を抱いても、それもまたおかしいことではありません。



===========



 某家具屋さんの経営がうまくいかないと、ここ数年来ずっと話題になっていますが、「父と娘の確執とか」「娘が社長を下りればいい」とか、井戸端会議レベルの評論はたくさん出てきますが、いざこの娘さんの経歴を見てみると、なかなかどうして賢い人であることがわかります。


 彼女は、「一橋大学経済学部を出て、筑波大学の法科大学院も出ている」才女です。


 実業の世界へ飛び込むまでは、研究者になろうと思っていたくらいの人ですから、お勉強はとてもできるのだと思います。



 ここで、またまた事前につっこみを入れておきますが、「しょせんお勉強はできても、経営はできなかったんじゃない?」なんて、井戸端会議レベルの感想を言うのは、すこし脇へ置いておきましょう。



 一橋大学を出ていないものが、やっかみでそうした発言をするのは、”ビールのアテ”レベルでは別にかまいませんが、もしまともにそれを議論すると


「一橋大学へ入れる学力も、一橋大学の教育も、筑波大学院の教育も、実業にはなんの役にも立たない」


のが真実であれば、わが国の教育制度そのものが崩壊するし、また、一から教育を見直さなくてはならないという大変な事態であることを認めることになるわけです。これは非常にまずいことといわざるを得ません。




==========



 こうしたことから、この世界において、とくにこの資本主義社会の経済で、成功したり、順調に経営を進めてゆくには、


「いわゆる学力と、経営力の間に、なにがしかの違いがあるのではないか?」


ということに気づく必要があるということだと思います。もちろん、それは学力と政治力の間、と言い換えてもよいかもしれません。


 そして、もしここをうまく読み解くことができるのであれば、この資本主義を渡ってゆく「資本主義ハック」にうまく活用できるのではないか?と推測を立てることもできるわけです。




 さて、結論から言えば、「学力と経営力の間に隠れているもの」というのは、それほど難しい話ではありません。


 よく一般的に



「頭で考えるのと、実際にやってみるのとでは違うわなあ」



なんていいますが、高学歴の人が実務に携わってうまくいかないのは、まさにこれで、



「学問上起こっていることと、現実に起こっていることの間には、大きな乖離がある」



ということが一つの結論の核だと思います。



 このことは、学問をまじめにやっている人から見れば、至極当然の話で、学問というのは



◆ 再現性があること


◆ 一般化できること


でなければ学問になりえません。


 つまり、簡単に言えば、あまたの事象の中から、法則性を見出すことが、そもそもの学問だ、というわけですから、現実社会がカオスな様相を呈しているのであれば、そもそも学問でそれらの事態は補足できないというわけです。




 ですから、学歴があり、学力があるということは



「確実性のあることについて、その内容を理解し、対応できる力がある」



ということになるのですね。



 それに対して、現実社会というのは



「不確実性の中で、その対応を考えなくてはならない」



ということなので、 だからこそ「学力があっても、その結果にコミットできない」ということが起こりうるわけです。




==========



 すなわち、家具屋の娘さんが、確実性の高い学問の世界で優秀でありながら、不確実なこの現実社会の中で、もがいてしまうということは、充分起こりうるわけです。


 そして、娘さんは、おそらく「こうしたらいいのではないか?」という法則的施策をつぎつぎに考え出しては実行するのだけれど、いくら「確実だと推定できる作戦」をたくさん繰り出しても、実際には


「この世の不確実性のもとに、惨敗する」


ということが起きているわけですね。


 これは家具屋さんに限らず、政治でも経済でも、経営でも、いたるところで起きています。



==========



 そうすると、いわゆる「不確実性」とは、「サイコロバクチ」のように、私たちには見えますから、



「学歴なんか無関係で、わしは一発当てたんじゃ!」



というやんちゃな兄ちゃんやおっさんが、企業家として成功してしまう場面にも遭遇することになります。


 これもまた、この世界ではよく見られる場面です。



 となると、これで上手くいった人たちに言わせると、今度は、



「経営なんて学校のお勉強は無関係なんじゃ!」


ということになりますが、実はそれもまた正確には「正しいとはいえない」のです。





 不確実性というのは、表面的に見ると、「偶然・偶発・ランダムな事象」のように見えます。


 もし本当に偶発的なことの集りなのであれば、この世はバクチと同じなので、一生懸命努力をしたり、学校で勉強したり、何かを我慢したりせず、とにかく好き勝手やってみて


「当たるのを待つ」


ことが正しい戦略になります。


 しかし、当人が好き勝手やっていて、たとえばお笑いの賞レースで偶発的に優勝することが少ないように、実際には


「一見偶発的、偶然的に見える事象でも、それなりに裏ではある程度なんらかの整理された事情が隠れている」


と考えるほうが妥当です。お笑いの芸が偶然100%ではなく、それぞれバラバラに見えるものの、なんらかの下積み努力が底を支えているのと同じです。



 同様に、料理屋をはじめるのもバクチ、就職するのもバクチ、仕事というものはバクチ、であれば、この世界はきっとすぐに破綻することでしょう。ということは



「一見バクチに見えるけれど、実はそうではない」


のがこの世界だということです。




==========




 より正確に話すのであれば、学問や学力は「確実性」の世界だというならば、この世界で起きているのは

「不確実性」

というよりは

「複雑性」

といったほうが正しいでしょう。けしてバクチで動いているのではなく、



「その法則性を見出せるほど単純ではないか、あるいはいくつもの法則性が複雑に絡み合っていて、結果としてランダムのように見える状況」


なのが、正確だと言うわけです。



 この複雑性を読み解き、ある程度まとまった回答を出すのは、実は賢い人たちでもかなり難しい作業です。ですから、賢い人たちでも、この世界を取り回すのはうまくいきません。



 たとえば天気ひとつを取ってみても、大気はかなり複雑な動きをして、スーパーコンピュータをぶん回しても、「これぞ!」という正解にはたどりつきません。


 なんとなく、大まかには当たるけれど、それでも正確性は70%程度なのかな?といった状態なわけです。


 政治や経営とは、これに近い分野で、人々の移り気や市場の需要、あるいは供給の数値、海外でのブームや傾向、ニュースや関心事によって、


「民意や売れるものの傾向は複雑系として移行する」


と言ってよいでしょう。 これを読み解いて、対応するには、賢い人たちが数百人集ってぶっ倒れるまで考え抜かねばならないわけですね。



 まあ、実際にはそれができないから、誰もうまくいかないわけです。


(実際には、仮に超頭脳な人たちが集っても、声がでかいやつとか偉そうなやつに言いくるめられたりするので、あまり当てにはなりません)




==========




 そうすると、僕たち私たちのようなあまり賢くない庶民が、いくら「こうだろうああだろう」と考えても、そもそもダメなわけですが、かといって、自分の仕事や日々のくらしを


「今日もサイコロ振ってきめちゃお!あ、×が出たから今日は営業行ってもムダー!」


というふうにバクチにゆだねるわけにも行かないので、 せめてできることがないか考えるわけです。



となると、もう一度、原点に立ち戻って、


◆ 確実性の世界で高みを目指すことが学力である。


→ しかし、わたしは一橋大や筑波を出ていないので、アホである。



と、まずは「確実性の分野で、戦おうとはしない」ことを心がけることができます。



そして、



◆ この世は、不確実ではあるが、ランダムではない。



→ したがって、バクチのような生き方はやめよう


という心がけもできます。




 そして、いよいよまとめに入っていきますが、


◆ この世は、複雑系なのだから、答えはわからないし、アバウトに作用する。



→ ひとつの考え方に固執せず、何をやるにも、「ええ加減、(よいころあい)」ぐらいでいい




◆ しかし、偶発事象ではないので、なんらかの方向性ぐらいはある。



→ アンテナを張って、それがよさそうだとなんとなく思ったらやってみる(でも固執しない)




という考え方が大事で、できるならこのサイクルをころころスピード感を持ってやることが大事だとわかるのです。



そうすると「頭で考えるのと実際にやるのは違うけれど、すぐ修正してゆく」ことも可能になってきます。




 この生き方、外部からみると


「すごくふわふわしていて、変わり身も早い」


とか


「けっこうその都度場当たり的で、いいかげん」


に見えるというマイナスもありますが、でも、それでいいのかもしれません。



 少なくとも、バクチ打ちよりマシで、かつ「凝り固まった秀才」よりも結果を出すことは間違いないでしょう。





2019年3月20日水曜日

富士通 FUTRO(ヒューロー) MP702 の中古は買いだぜ! (MA552との違いは?)



 







 中古の出物で「当たり!」なガジェットが出てくることがたまにあるのですが、今回ゲットしたのは、




富士通 FUTRO(ヒューロー) MP702

http://www.fmworld.net/biz/thinclient/1206/mp702/


というちょっと変わった、にくいあんちくしょうです。


 とりあえず、PuppyLinuxが動いています。ライブUSBを刺しただけ。



 ヤフオクでたまに1980円くらいで出品されているので、お宝好きな方は、どうぞ。


 このマシン。ほとんどネットにも詳しいことが出てきませんが、それもそのはず、普通のパソコンではなく「シンクライアント」として企業向けに供給されているので、


「どこかの企業の社内PCの更新」


の時なんかに、ぞろぞろと複数台放出されることが多いようです。











【1 シンクライアントってなあに?】

 パソコンが10台並んでいるとすると、その10台がそれぞれ頭(CPU)を使っていろいろ計算したり考えているのが、普通のパソコンの世界観です。

 それに対して、シンクライアントは、10台モニタとキーボードが並んでいるのだけれど、肝心の計算やら考え事は、中央や別の部屋にある「すごいコンピュータ(サーバ)」が一手に引き受けて、みんなの手元の機械は実はなーんにも考えていない、というしくみです。


 むかーしむかしにも「オフコンとターミナル端末」という形でこれと同じことをやっていたのですが、現在ではセキュリティやメンテナンスの面からメリットがあるので、この中央集権型のシステムが見直されているというわけ。





【2 シンクライアントのメリットは?】


 大きい会社や組織で、パソコンの管理を任された経験があるならわかると思いますが、何かソフトをインストールしたり、すべてのマシンに同じソフトを入れなおさないといけないような場面があれば、100台あれば100回同じことをしなくてはなりません。

 でも、シンクライアントであれば、100台あるのは単なる端末なので、中央のサーバだけ手直しすればOK!

 ざっくり言えばそういう感じのメリットがたくさんあります。





【3 MP702ってどんなマシン?】


 富士通さんが販売していたシンクライアント向け、「端末」用途で設定されたパソコンです。

 基本は法人向けなので、そこらへんでは売っていません。

 シンクライアントは、「何も考えないアホなマシン」なのですが、実際にアホなマシンを一から作るとよけいにコストがかかるので、富士通さんの場合は



 ふつうのパソコンと共通した機械で、シンクライアント向けモデルを作っている



と言えるでしょう。なので、結果的に普通のパソコンとハードウエアはとても似ています。





 【4 中古のMP702はどこがいいの?】


 なんと言ってもクセがあるモデルなので、元からWindows10が入っていたりはしません。

 ましてやライセンスを示すシールも貼っていないので、windows系のOSを使いたい人は、導入には苦労すると思います。

(別にWindowsを買ってこないとダメだから)


 ですが、Linuxを使う人にとっては、MP702はものすごくコスパがいい!ということを知っておきましょう。


  では、どこがいいのか?


 ◆ だいたい、ノートPCの動作可ジャンク品の相場は、CPUがCeleron 900・575・500あたりのシングルコア2GHZ前後で、 メモリ1Gハードディスク無しで3000円(+送料)くらい。

 ◆ それに、ちゃんとWindows7以上の正規のライセンスがついて、正常稼働品で5000円~7000円くらいになる。

 ◆  Core2Duoの当たり品で、3000円ぐらいから買えるが、普通は2コアのマシンだと5000円くらい。正常稼働品で10000円くらいが相場。


 ◆ MP702は、もともとWindowsのライセンスがないので、いわゆるOSが載った品は最初の購入者が後からOSを入れているものが大半。OS不要派には元から都合がよい。


 ◆ スペックがなんと!

Celeron 877(1.40GHz)2コア +メモリ2G

 どのみちジャンク品だと、ほかのノートでも大半HDDは欠損しているので、HDDが最初から入っていないMP702でも全然問題がない。


 ◆ 12.1型ワイドのB5ファイルサイズなので、超コンパクト!いわゆる安いPCだと15.6インチもしくは15.4インチのA4ファイルサイズの出物が大半のなか、貴重なB5サイズ!
 WXGA(1280×800ドット)


◆ 無線LANもUSB3.0もついている!セレロン900クラスのノートPCだと、まだ無線LANとUSB3.0が標準でない時代のものが多いので、お得!


◆ 裏ブタあけたら2分でごはん!・・・ちがった、HDDを内臓可能!

 


 ほれ!2.5インチHDDのマウンタと、フレキシブルケーブルの接続端子が!



 


【5 MP702の残念なところは?】

  ない!といいたいところですが、光学ドライブ(DVD/CD)を内臓していないので、ドライブがほしい人には不向きです。

 でもまあB5ファイルサイズですからね。そういう人は、光学ドライブは必要な時にUSB外付けなのではないでしょうか?

 
 あと、CPUは交換不可、直付けですので、あしからず。





==========



 というわけで、よい子はマネしちゃいけない


デュアルコアノートが1980円なら、おもちゃとしては最高だよ!

(HDDはヤフオク中古で500円ぐらいからあるので買ってね!)


というお話でした。


 シンクライアントPCなので、BIOS周りがややこしそう?と思うかもしれませんが、ライブUSBにしておいたLinuxがそのまま動きます。

 むしろ、何も考えずともライブUSBがさらっと動いたので、拍子抜けしたぐらい。


 





<おまけ> 


 FURTOの中古だとMA552もたまに放出されています。


 こちらは15.6インチのフルサイズノートなので、大きくていいなあ!と思いがちですが、いくつか気をつけるポイントが。




 ◆ まず、初期バッテリーが発火の恐れがあり、リコール対象。

 ◆ CPUがCeleron B730(1.80GHz)というシングルコア! 


 ◆ フルサイズノートだけれども、どっちみち光学ドライブは元から不搭載!




 ◆ でも、こちらは液晶がフルサイズHD!(1920×1080)

2019年3月19日火曜日

【たのしい裁判入門】 スピンオフ 「さしおさっ!」



こんばんは、なんとなく「けいおんっ!」とか「とめはねっ!」とか、そういう美少女アニメのノリで書いてみましたが、少しはかわいく見えるでしょうか?あなたのおたくの恋人(←おたくの意味が違う!)不動産オタクの吉家孝太郎です。

というわけで、しばらく遠ざかっていましたが、さしおさ・・・差し押さえですよ。奥さん。

今月は弊社の「不良顧客キャンペーン月間」なので、売掛が残っている&もうおまえなんきゃ客じゃねえ、な方々に対して法的措置をガンガン推進してゆく強化月間なのです。


しばらく更新もせずになにをやっていたかというと、仕事ですよ。仕事(^^

今回は通帳を差し押さえちゃいます!

登記簿謄本をとってきたり、申立て文書を作成したり、当事者目録や請求債権目録を作ったり、地裁の事務方に電話をかけて

「はあはあ・・・はあはあ・・・、おねえさん、第三債務者が2名の場合の郵券の額はいくら?」

ということを尋ねたり(←はあはあ、は不要 笑)


まあ、ちょっとコミカルに書いていますが、実際は至って黙々と準備をします。

この裁判系の書類と言うのは、とかく細かく・ややこしいので時間と手間がかかるのは致し方ないところ。

たとえば

「あんたっ、これこれこんだけのお金、払ってほしいんだからねっ!だからこんだけ、差し押さえちゃうんだからね!」

という内容を書くのが「請求債権目録」という文書なのですが、

ここには

「元々の未払いのお金の金額」
「そこから一部支払ってもらった額」
「未払い期間の遅延損害金の額」
「これまでの裁判とかにかかった費用の額」

を書きます。


それに加えて

「今回の差し押さえ手続きの手数料」
「それの通知に使う切手代」
「法務局へ行って来てとってきた登記簿謄本の代金もおまえ払えよな」
「この書類を作ったのにだって手間がかかるんだぜ、だから手間賃くれよな」
「あ、そうだ前の裁判の結果がちゃんと相手に届いているか確認して!な証明書代」

などを書き加えていきます。

で、請求する総額を決定して、今度はそれを各銀行さんに対して振り分けて請求をかけるわけです。

全部の金額が100万円だとしたら、A銀行からは50万、B銀行からは残りの50万、みたいな感じです。

あ、それから「今回の事件の人間関係一覧」とも言うべき「当事者目録」というのもつくらなくてはなりません。

「払ってもらってないうちの会社」
「払ってくれないあの人の名前」
「あの人が持ってる銀行名と頭取の名前」
「あ、本店じゃなくて、どこそこ支店ね、そこの住所と名前」

みたいな住所と名前のリストです。

今回は銀行2箇所にガサ入れするので、その分リストが増えますね。


あ、そして大事な、銀行さんへの「陳述催告の申立て」というのもあります。

まったくもって、法律関係のことばは難解なのですが、簡単に言えば

「陳述」=言って 「催告」=させて 「申立て」=お願いしますよってに

ということ。

「あのな、裁判所はんが尻叩いて、銀行はんに「あいつ、口座に○○円持ってまっせ」って言わさせたってくれ。お願いしますわ」

です。

これをしないと裁判所が「○○銀行、そのほうにあるだれそれの預金を、しかと差し押さえる」と命令をかけても

「は~?うちにその人の口座があるかどうか、なんであんたに言わなあきまへんねん」

みたいになるわけです。

だから裁判所は「そんなこと言わんと、ほれ、こうやってうちにも「銀行はんによろしゅう言うたっておくれやっしゃ」って頼まれとりますのや」

という文書を見せるわけです。


さあ、ここから銀行はんがどう出るか!!!

「しゃーおまへんな。ほなまず金額は言うたげますわ。50万、50万円口座におます」

と一応の回答をしてくれますが、次に

「銀行はん、そしたらそのお金、この債権者はんに払ろたってくれますか?」

と尋ねたら回答が分かれるのです!!!


ア)うまくいく場合

「よろしおま。ほな、その兄さんに来てもろてください」

イ)うまくいかない場合

「なにを言うて播磨屋橋!この預金は、ビタ一文払うわけにはいきませんのやっ!なんで?ってあんた。うちが貸したある借金がありますのや。うちに貸付がある以上、なんぼ預金があったところで、払うことはできまへん」


いやあ、裁判ってほんとうにドラマですね。では、また次回をおたのしみに!




<オリジナルは2012年の記事です。「たのしい裁判入門」はここから永遠の中断に入って今に至ります。>

2019年3月18日月曜日

【たのしい裁判入門】 スピンオフ  督促OLの回収4コマブログ



みなさまおばんです。吉家孝太郎です。

北海道では、夜の会合なんかの挨拶で「おばんです」と言います。たとえ集っているのがみんなおじんでも、おばんなんです。

もっと丁寧に言うと


「みなさまおばんでございます」

になります。ええ、わたくしもそろそろいいかんじのおじんでございます。



さて、今日は、すごく興味深いブログを見つけたのでご紹介。



督促OLの回収4コマブログ
http://ameblo.jp/tokusokuol/



某信販会社で債権回収のお電話をなさっている方のブログです。


ああ、ボクも「共感っ!」するところが多々あったので、ぜひみなさんにも読んでいただきたいっ。


督促OLさんの謙虚で謙虚で謙虚な語り口調に涙です。


うちの場合は債権回収ではなく、売掛金の回収ですが、似たようなものです(苦笑)


違うところといえば。


督促OLさんは、電話や書状での督促がメインなのに対して、ボクは民事裁判での督促がメインだったということでしょうか(爆)


裁判所に行くとね、督促OLさんたちの領域を超えてしまった債務者たちのリストをもった顧問弁護士さんが原告席に座って、裁判官にリストを読み上げてるわけですよ。

「はい、〇〇さん来てません。なので〇〇ということで。〇〇さんもですね。はい。はい。」

と裁判官も

「はい。では〇〇ということで。はい。はい」


・・・・なにこの流れ作業的な!!!

というわけで、続々と判決が確定してゆきます。「主文 被告は原告に〇〇円支払え」みたいな感じで(^^;

で、傍聴席で、ボクはそれを聞きながら自分の番を待っているという(苦笑)


たまーに、それでも、カード会社の弁護士さんVS茶髪でジャージのやつれた女子、という構図を見たことがあります。

まあ、たいてい被告は出廷しないので、原告である債権者の主張がそのまま判決になります。しかし、被告が現れると、話し合いということになります。

「で、おたくは月いくらくらいなら払えるの?」(裁判官)
「・・・一万くらいです」(茶髪女子)
「こちらはこう言っておられるけど、どう?」(裁判官)
「まあ、それで分割で行きます」(カード会社側弁護士)
「うん。では、そういう方向で」

みたいな感じですね。かなりゆるいです。


あ、それからカード会社じゃなくて携帯会社の弁護士もいましたね。


で、ボクの番。ボクが原告席に座り、お金を払ってくれない顧客が被告席に座ります。そして、裁判官が言う。

「まあ、こうして裁判にでてきてくれてるんだから。話し合いで解決しましょうよ。ご覧になったとおり、裁判にすら出てこない人が多いのが事実なんですよ。ね、〇〇社さん」

は、はあ・・・・。

みたいな(笑)

・・・しばらく更新してない裁判ネタも、そのうちそのうち弁解しながら日が暮れる。みつお。




<ヤフーブログ終了に伴う転載。 オリジナル日付は2012.3.14>

2019年3月17日日曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」③



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さて、しばらくぶりのこのシリーズ。前回までは、いろいろ売り掛け代金がたまっている不良顧客から、どうやってまずは集金の催促をするか、というお話でした。

ところが、実際に訪問したり、連絡したりしてちょびっとでも代金を支払ってくれる顧客なんてすくないもので、ほとんどの場合は、暖簾に腕押し、ぬかに釘、豆腐には生姜が合うよね、です。

そこで、いよいよ社長と相談の結果、とある不良顧客に対して、「支払督促」制度を使ってアタアアアアック!してみようということになりました。


<支払督促制度って?>

ヨシイエ流、とってもわかりやすい書き方でご説明しますね!

支払い督促制度は、裁判所が〇〇さんに「あんた△△さんがお金払ってほしいて言ってるから、払ってあげなよ!」と肩をおしてくれる制度です。

もちろん、〇〇さんの意見も大事なので、「〇〇さんだって、文句があったりするんだよね?もしそんな文句があるなら裁判してあげるから、嫌ならいやだってはっきり言っていいんだよ!そんなときは裁判しようね!ほら!裁判しよう!」という風にも、公平に相手にも肩を押してくれます(^^

なので、支払い督促は、「相手方に文句がない場合」はそのまま進行しますが、「相手方に文句がある場合」は、「というわけで、お互い言い分があるっぽいので、ファイッ!!カーン!」と裁判に移行します(笑)

裁判に移ってしまえば通常の訴訟なので、また別の機会に説明するとして、そのまま進行した場合について、ご説明!

裁判所からの連絡が来て、相手が2週間なにもしなかったり、文句がなかったりすると、次は「仮執行宣言」をつける手続きをすることができます。

この仮執行宣言というのは、簡単にいえば「とりあえず、払ってもらってない代金を、仮に押えてしまっちゃおっか!」ということで、いわゆる差し押さえみたいなことができる制度です。

本裁判ではないので、きちんと裁判官が判決を決めて「これは許さん!差し押さえの上、とりあげじゃ!!」って決めたわけではないので、”仮”なんて言葉がついてますが、ぶっちゃけふつうに差し押さえて取り上げできるので、超便利な制度です。

法律的には、なんと、仮執行宣言付支払督促は「確定した判決とおなじ効力を持つ」のだそうで、・・・ぜんぜん仮じゃないじゃん!!!


(もちろん、簡易裁判所扱いの支払い督促なので、金額が大きくないというのがミソです。やはり数百万とか大きい金額になると、なにをするにも正規の手続きが必要です)


さて、2週間たつと、裁判所から「相手方なんも言ってきよりまへんで、どないしはりますか?」という連絡がきます。

そこで、さっそく、こちら側としてはもう一度「仮執行宣言付支払督促」の申し込みをします(^^

2段階になっているので、ちょっとめんどくさい感じなのですが、それでも正規の裁判よりはるかに簡単なので、相手が何も言ってこないのは「ホンマにあほちゃうか!しめしめ。うひひひ!」な感じです(笑)

そして、もう一度「仮執行宣言付支払督促」申し込みをしてから2週間すると・・・・


なんということでしょう!!!


差し押さえしていい権利が確定するのです!!!まあ!さすが匠!!


しかしまあ、支払督促が来てから4週間も「なんだよ!オレにだって言い分あるんだよ!」という反論のチャンスがあるのに、何もしない「しらんもんね。ほっとけほっとけ」な人はアホというしかないですね。

なにもせずに「差し押さえされてもいい権利」をあげちゃうわけですから!!!


こっちから見れば、「差し押さえしていい権利」が来てしまえば、あとは給料を差し押さえしようが、通帳を差し押さえしようが、やりたい放題です。不動産や車とかは、差し押さえ手続きがめんどくさいのでお勧めしませんが、「そいつがつぎに請け負う仕事」とか「いま契約して進行している工事」とか、そういうのも差し押さえできますので、これはおいしい!!!!


こんな面白い制度ですから、ぜひ良い子のみなさんはマネをしてください!!


☆ちなみに、注意点がいくつか

〇通常の裁判は、自分の住んでいる地方の裁判所に相手を呼びつけることができます。
なので、ボクの会社が大阪で、相手が東京の場合、「おらおら大阪の裁判所までこんかい!おらおら!」と呼びつけることができます。

しかし、支払督促は、相手側の管轄裁判所になるので、今の例だと「東京の裁判所に申し込み」をすることになるのです。そのまま、黙って進行すればいいのですが、もし反論があって「通常裁判」になると「え?オレ東京まで行かないとダメなの?」ってことになります。

なので、遠方の場合は、支払督促はちょっとデメリットが大きいかな。地元の商売なら、バンバン使いましょう!

〇手数料は通常訴訟の半額ですが、ふつうの裁判に移行しちゃうと通常の金額に戻ります。なので、基本的に「相手にまったく文句がない場合」や「相手がほんまにアホ」な場合に有効な制度だといえますね。

しかし、「異議申し立てをしないなんて、そんなアホなやつがそんなにいるのか?」と思われると思いますが、実は、多くの人は反論(異議申し立て)しません(苦笑)

というのも、裁判所からの命令みたいな感じで令状(笑)が来るので、「ああ、なんかもう裁判所の命令だからだめなんだ」みたいに観念する人が多いのです。

(そこで、ちょっと法律に詳しい友達とか、何度も破産してプロになってるダメ社長とかが知り合いにいると「おまえ、それ手続きしないと差し押さえやられるぞ」みたいに入れ知恵される人は、異議申し立てをして助かります)

そんな友達がいない人は、確実に黙ってしまいます。なので、うちの会社としては、大体勝率7割くらいで、そのまま支払督促が通ってしまうのです(爆笑)

3割は、やっぱり裁判に移行しちゃうかな。


というわけで、今回は説明ばっかりでしたが、次回からまた物語に戻ります!




=========


とここまで書いたのが、2011/8/25日まで。yahoo!ブログが終了になるので移動してきましたが、続きはいつになることやら。


(いちおう未完で中断です)


=========

2019年3月16日土曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」②



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

売掛金の支払いを滞納している不良顧客の処理をはじめた吉家&社長のドタバタコメディがはじまったところですが、まずは王道の「直接顧客に支払いをお願いしにゆく」ということも大切なわけで。

顧客の状況を知ったり、住所を確認したり、いろんな調査をするためにも、ボクは領収書を持って「顧客まわり」を始めたのでした。

もちろん腹の中では「ふふふ、支払い督促やら、小額訴訟やら、そして本裁判までしてやるもんね」という不埒なことを考えていますので、ただ訪問するわけではありません。

「こんにちは~〇〇社の吉家と申します~」

と顧客(ただし、いまでは支払いをしていないので、ずっとツケだけが残っている元顧客)の家を訪ねます。

「・・・なに?だれ?」

と家人やら本人が出てきたら、まだまし。新しく担当になった事情を話して、少しでも支払ってくれるように交渉するだけです。

まあ、100%

「ごめんなあ。わかってはいるんだけど厳しくて」

と表面上は大人のお話が続きます。しか~し、その場でお金を回収できることはまず、ないわけで(笑)

で。「どうですか、最近の仕事の状況は」とかさりげない話をしながら、様子を伺うわけです。

定期的な仕事はあるのか、単発でどんな仕事をやっているか、などなど。

その影で、

「持ち家か借家か」「金目のものはあるのか」「車はどんなの乗っているか」「嫁はんを連帯保証人にできそうか(パートで仕事しているか)」「子供は独立してるのか」

まあ、ちら見で調査する項目は山ほどあります。

「おとんやおかん(じいちゃんばあちゃん)と同居しているか」とかも大事な項目。

だって、家屋敷が「じじいの名義のまま」かどうかは重要ですから!!!(キリッ)

ぶっちゃけ。訪問の目的は「お金の回収」ではなく「裁判の準備」なわけですよ。

だから心優しい、弱弱しい、いかにも新人なんすよ、ボク的な雰囲気で相手からいろんな話を引き出すことが大事なわけです(笑)

面白いのは、相手が兼業でちょびっと農家だったりするときに「農協に何を卸していて、どれくらい農協から借りていそうか」なんてことも値踏みします(^^

秋になって収穫があると、現金が入るし、まともに農協とやりやっても「農協のほうが貸付金が多くて勝てない」という場合もあるからです。


しかし、完全に居留守を使われる場合もあります。だって、そりゃあなた。〇〇社のロゴが入った車で乗り付けたら、バレるがな(爆)

でも居留守でも留守でも大丈夫!!

ボクはかならずお手紙を書いてゆきます。そして、おもむろにおうちの状況をチラ見させていただき、お隣さんやら、近所の方々に「質問コーナー!」をはじめるわけです。

「あの、、、〇〇さんいらっしゃらないようですが、いつもお留守なんですかね」

と近所が仲良しだろうが、険悪なムードだろうが、尋ねます。

わが社では、こうして出会えた近所の方を

「第一村人(BY笑ってコラえて)」

と呼んでますが、この第一村人たちがまあ

おしゃべりなこと!!!

「いや、ワシらはよ~知らんのやけどな。いや、あんまりわからんのやで」
と言いながら、近所のうわさは全部話してくれます!!!(笑)

実際、ボクはさっきのひとことしか話さず、あとは「はい」と「そうなんですか!」しか口にしないのに、全部話してくれるのです。

ご主人のこと、奥さんのパート先、こどもの話。

都会のマンション暮らしの顧客だとそうもいきませんが、まあ建築関係の仕事をしている人間は地場の人であったり、作業場を持っていたり、資材置き場を借りている関係上、だいたいそこら辺の人とつながりがあります。

そして、顧客が本当に居留守ならしめたもの、第一村人たちと話している僕の姿をみながら、悶々とした気持ちになっていただけるからです。


一番面白かったのは、この第一村人作戦の翌日から、実際に1万円ずつうちの会社に支払いをはじめてくれた顧客がいる、という事実!!!!!

見てたんだね~。ブラインドの隙間から。

すごいパワーです。1万ずつじゃ話にならんのだけど、でも踏み倒されるよりマシですね。


まあ、こんな感じでボクは「支払いの取立て」みたいなことは全くしません。ふつうにお話をしにゆくだけです。


そう、実際の取立て威圧行為は裁判所に任せて「国家の権力」という圧力をかけてもらうためです!


僕らはちっちゃな吹けば飛ぶような存在ですから、そんなそんな、なにも力がありませんよ(笑)

2019年3月15日金曜日

【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」①



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さてみなさん聞いてください。

第一話では、裁判所でいろいろと手続きはしたものの、結局「訴訟の取り下げ」というなんとも後ろ向きな手続きしか体験できなかった吉家&社長ですが、(社長&吉家と書け!とか、そういうちっちゃなことでは怒らないわが社のトップです(笑))
いよいよ第二話からは、もう少し本格的なお話に突入です。

しかし、いくら売掛金を払わない客がいるからといって、すぐに「訴えてやる!」というわけにもいくのかいかないのか。


では、売掛金を回収するのにどういう方法があるのか、ということで吉家&社長はいろいろと事前にお勉強をするわけで。

というか、「お勉強をするのは吉家で、その報告をもとに一緒に考えるのが社長」です。そこんとこよろしく。


「まあ、まずは直接お会いして『払ってください』のお願いをするのが筋ですよね」
と、やわらかくスタートする吉家。

「まあな」と社長。「しかし、それでうまく行っていないからこうなるのだ。そして、親父がそういう顧客をほったらかしにしていたので、こうなったのだ。・・・それは、まあいいとして。ほら、よく聞くじゃないか!『内容証明郵便』を送りつける、とかなんとか」

「ありますね。内容証明というのは、その手紙に書いてあることの中身を郵便局でコピーしておいて客観的に『ほれほれ、こんなこと言ってまっせ』という証拠を取るものですね」


「効くかな?・・・無駄かな?」

「うーん。どうでしょう。少なくとも法的にはなんの力もない作戦ですから、相手さんがビビるかどうか、というそこだけの問題だと・・・」



説明しよう!『内容証明郵便』は、その名のとおり、内容を証明してくれる郵便なのだっ!

ちなみに、ただ、それだけなので、心理的な負荷をかけることはできても、法律的にはなんの意味もない、ということになります。

でも、たとえばクーリングオフとかの場合に、「〇日以内にちゃんと、いらなくなったことを意思表示したよ!」という証拠にはなりますね。特に日付については重要。

単純に「ちゃんと言ったわよ!」とかだけだと客観性がないので、トラブルになったときに証拠がないわけで。なので、そういう用途には有効です。


「そうか・・・。じゃあ、次はいよいよ裁判に訴えるしかないのか」と社長。

「いえいえ、そんなノビ太くんのために、ちゃらちゃらっちゃら~!!」

おもむろにポケットからボクが取り出したのが、コレ!

「しはらいとくそくうううう~!」

「支払い督促?支払いのさいそくをするってことだろう?」

ちょっとばかし社長は不思議そうな顔をしています。

「もちろんことばの意味はその通りです。支払いを早くしてね、と催促することです。ただ、普通の催促は『早く払ってくださいよ』と僕ら営業マンが顧客にお願いや腕ツンツンすることですが、裁判所の場合はもうすこし厳格なものです」

「ふむふむ」

というわけで、みなさんにもわかりやすく説明しますね!


まず、支払督促というのは、お金を貸している側が「あの人に早く払えって言ってやってよ!」と裁判所に申立てをするところから始まります。

そうすると裁判所は「あいつが早く金払えって言ってるぜ、払ってやれよな」と援護射撃をしてくれます。

で、相手が「仕方ないです」と納得すればよし、もし「そんなの知るかボケ!」と納得しない場合は、「なんか、不満があるらしいぜ!」と裁判所はちょっと気合が入ります。

だって、そのまま「ほんまもんの裁判に突入」するから!!!(^^

支払い督促に不服があると、本裁判に移行するのでそこからがいわゆる「裁判」なのですが、相手が100%納得している場合は、裁判にはなりません。

なので、売掛額とかがもう決まっていて、払ってくれない事実が確定している場合は、処理が早くできることが多いのです。


おまけになんと、手続き費用は、本裁判の半額です!50%オフ!バーゲン!

手続き費用も安く、書類も簡単、うまくすすめばそのまま差し押さえまで突入できる。


「うまい!はやい!やすい!」

のまさに裁判界の吉野家・王将のような制度なのです!!!


「よよよ、よし!それ、それで検討してみよう!」

「御注文ありがとうございます!トクソクいっちょ~!!!コーテルイーガ!」


(というわけで、支払督促制度に興味しんしんな次回もお楽しみに!)

2019年3月14日木曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」最終回



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


さあ、夜逃げ屋本舗山田太郎氏が行方をくらませてから、ボクがなんとか最後の住所をつきとめたところまでが前回のお話(^^

そして、どうやら、山田氏はもうそこにはおらず、何度か調査しても住んでいる気配がない、ということで、裁判所に調査報告書を上げたところから今回のお話です。


さて。

”たのしい裁判入門 ちょこっと解説シリーズ2”
http://blogs.yahoo.co.jp/nensyu_300/5677198.html

でもお話しましたが、裁判をしたり、取り下げるときには「相手にもその事実がきちんと伝わる」ことが大切なわけで。そこで、裁判の書類なんかを送り届けることを「送達」と言って、簡単にいえば「めっちゃハイレベルなVIP待遇の郵便」みたいなもんなのよ、ということでしたね。

ところが、今回のように「山田太郎が逃げてしまっていない」とか「そもそも、トラブルになっていた相手が偽名だったらしく、どこにいるのかもよくわからない!」など、いろんな事情で「相手に裁判に関わる書類が届けられない」という事情がある場合は、どうするのか。

警察の刑事事件なんかでは「被疑者不詳のまま、書類送検」なんて言葉がニュースで出てきたりしますが、おなじように、民事事件でも相手がいなくても「手続きが進められる」ように実は、ちゃんと制度ができているのです。

それが、「公示送達」という制度で、簡単に言えば、「山田太郎、出ておいで!こうやってみんなの前にあなたの名前を晒しておくので、気付いたら裁判所に申し出てね!」という張り紙を裁判所の掲示板に張っておくのです。

やり方も原始的です。ほんまに裁判所の前の掲示板に、2週間晒すのです(笑)。で、2週間たって、なんの音沙汰もなければ「もうこれで、あなたに送達したのと、おんなじなんだからね!」と強制的に送達したことになっちゃいます。

今回のように「裁判取り下げ」の案件だったら、相手もそんな話「気付かなくても」なんの文句もないでしょうが、訴えられる側だったら、ちょっと怖いですね。

「え!そんなん聞いてないよ!ちょっと行方をくらませて仙人生活してただけじゃん!」とか

「え!そんなの知らないよ、ちょっとホームレスしてただけじゃん!」

とかでも、ダメです。そんなこんなでもし、裁判になっていることも知らずに、当日ももちろん欠席して、100%負け裁判になって判決まで下りちゃっても、もう文句言えないのです。(いちおう、理屈上はそうなります)


というわけで、無事?山田太郎氏の訴訟については、「取り下げ」ができ、預託していたお金も返してもらうことができました。

具体的な手続きは、なんせ裁判所や法務局にいろいろ書類を書いて出さねばならないのですが、まあ、そのへんは流れ作業です。事務官の方に教えてもらいながら、ちゃっちゃか、ちゃっちゃか書き上げて、すんなりOKをもらいました。

こうしてボクの探偵ゴッコ&裁判所デビューは、なんとか無事に終了したわけですが・・・。

「というわけで、社長!かくかくしかじかでうまく行きました!」と完了を社長と喜び合っていると、社長が

「で、だな・・・。」と声を潜めます。

「な、なんでしょうか?」

「いやあ、吉家くん!君の今回のすばらしい働きに感謝して、お願いしたい仕事があるんだよ!もちろん!わたしも全面的に協力するが、いや、前面に立たなきゃならないのは私なんだが、ちょっとばかり実務的に力をかしてくれんかな?」

な、なんだろう。全面的に給料アップとかなら、とっても嬉しいのですけど・・・。


「これこれ、これだよ。いまのうちの売掛で未納になったまま未解決ファイル行きになっている迷宮入り事件があってだね・・・」


「・・・。ようするに、お金を払ってくれていないお客さんがまだまだいるんですね」


「さすがだな、名推理だ!いよっ!名探偵!」


「で、どうするんですか?この入社してまもないボクに、土下座してお金を回収して回って来いとおっしゃられるなら、しがないサラリーマンである吉家は、さからう術もございません」


「いや、いや、これらの顧客はそんなヤワじゃないツワモノぞろいだ。集金に行って払ってくれたとしても、1回につき千円、2千円では話にならん、そこでだ!」


じゃじゃーん!という効果音がついてそうな勢いで、社長が言います。

「裁判しよう!!!!」

・・・。

「マジですか?裁判とかほら、お金かかったり弁護士に頼んだり、時間かかったりするじゃないですか!」

・・・説得力ないなあ。今回、お金もかからんかったし、弁護士もいらんし、10年ほっといた山田太郎を数日で処理したようなもんだからさ。


「いやいやいや。140万円までなら簡易裁判所扱いで、弁護士いらんし、ワシのハンコと決裁があれば訴訟もできるし、君と私でやれば、仕事の合間にちょこちょこっとだね・・・」


・・・そんなこと言い出すと思ったぜ。まったくう!


まあ、社長にしてみれば、探偵ゴッコはともかく、実務的な文書をちゃっちゃか、ちゃっちゃかとボクが書いてしまったのを見ていた、のが良かったのか悪かったのか!弁護士も司法書士もいらん!こいつがいれば、ある程度までの訴訟はこなせる!と思ったのでしょう。

ええ、ありがたき光栄。


というわけで、今度は素人弁護士になりそうな吉家孝太郎と社長のタッグで、「民事裁判」を本格的にスタートすることになりました。

いよいよここからが「楽しい裁判入門」の本編になったりしてね!(^^






次回、「たのしい裁判入門 支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事 の巻」おたのしみに!

2019年3月13日水曜日

【たのしい裁判入門】 ちょこっと解説シリーズ2



「送達しましょ、そうしましょ!」の巻

前回の「たのしい裁判入門」の次回のあらすじ、で登場した「送達」ということば。

ことばそのものは簡単なんですが、奥が深い裁判用語です(^^


ボクたちが普段使う言葉に直すと、「郵送」とか「配送」とか「配達」に似ている言葉です。


さてさて、裁判所が使う「送達」ということばは、裁判の関係者や当事者に「裁判に関する書類」を送ることを言います。

送って、到達しないとダメなので「送達」なんですね。送りっぱなしでポストにぽん!ではちょっとまずい。やっぱり大事な書類なので(^^

前にも説明したことがありますが、たとえば吉家が訴えられたとして、そのことを全くしらないままだとまずいですよね。

だから裁判所は「あんた訴えられてまっせ」ということを書類にして「必ず」送り届けてくれるわけです。

それは、電話でちょこっと話す、とか、郵便でポストにぽん!ではなく。郵便局の配達係りさんが、本人に

「はい!これ、ちゃんとあんたに手渡したんだからね!聞いてないとか、言わせないんだからね!」

と渡してくれるわけです(なぜツンデレ?(笑))

なので、郵便料金も高いです!!!

普通の定型郵便で80円なのに、書留でもせいぜい数百円なのに、このツンデレおやじがきちんと届けてくれる契約なので、たとえば特別送達だと1000円以上します。

郵便局のボッタクリだ!!!

なぜボッタクリかというと、「建前上はきちんと本人に届ける」というのが送達なのですが、本人がいない場合は、「相当のわきまえがある者に手渡すこともできる」というものなので、ようは家族とか、従業員とかに渡す場合もあるわけです。


・・・それって、簡易書留といっしょじゃん(☆_☆;;;


というわけで、一般的には「送達」とは「裁判書類などが郵送されてくること」とほとんど同義なのですが、実はその秘められたパワーが違います。

一般の郵送はその中に何が書いてあろうと、受け取った側からみたら知ったこっちゃないわけですが、送達された書類は「法的な効力」があります。

刑事ドラマで犯人の前に「これが逮捕状だ!」みたいに逮捕状を突き出すシーンがありますが、(あの逮捕状も裁判所が発行する文書ですね)それと同じで、郵便局のツンデレおやじが配達してくれたとしても、お上の目線では、

「そのほうども、これこれしかじか、かくのごとく申し渡す!わかったか!!!」

と言っているのとおなじ効力がある、というわけです。だから「読んでない」とか「開けてない」とか「知らない」ということが全く持って通用しません!!

逮捕状は持っている警官がえらいのではなく、それを発行した裁判所がえらいので、抵抗してもしゃーないですよね。

だから送達された内容について、われわれ庶貧民は「はは~っ」とひれ伏すわけです。
理屈の上ではね(笑)


ちなみに、裁判所からくるものは何でもかんでも「送達」かというとそんなことはなくて、たとえば「訴えた側」に対して「裁判スタートしましたよ~。相手さんにも書類を〇日に送りましたからね!」みたいな連絡は、ふつうのハガキできます。

「この書類足りないから、そろえてね」とかもFAXで来たりします。

つまり、その文書の法的な「重み(なんせもう、めっちゃ重要なヤツ)」によって、送り方が違う、ということですね。

・・・そんなこんなで、基礎知識を学んだところで、次回はいよいよ恐怖の「公示送達」について物語は進みます(^^ まて次回!

2019年3月12日火曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」⑥



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


ついに夜逃げ人間ギャートルズ「山田太郎」の住所をつきとめたリストラリーマン吉家は、そのまま市役所から、姫路市内へと乗り込んでゆくのであった!

というところまでが前回のお話。市役所の時点でとりあえず5時を回っていたので、会社にここまでの経緯を報告して、「とりあえず、本人を訪ねてみます!」ということでそのまま残業探偵へと突入したわけで。

姫路市内の住所はわかっても、それがどのへんなのか全く土地勘もなかった吉家は、とにかく市役所じゅうを探し回って、ゼンリンの住宅地図が置いてあるコーナーをみつけて、そこでページをめくります。

「ゲ!ここって・・・」

そう、そこは姫路の飲み屋街のど真ん中。なんでこんなとこに住んでいるんだ!アブナイ気配がゾクゾクする!という感じ・・・。



この胸のときめきは、絶対に恋じゃない!と思いつつ出発です。



で、その地域へ到着。

車をゆーっくりと進ませて、「さあ、いまから店が開きまっせ」という感じで、おしぼり配布業者とか、酒屋の車とかがうろうろしている繁華街の裏手を走ります。

と、それっぽい建物を発見。「〇〇ビル、ここかあ・・」と車を止めて、さっそくリサーチ。

どうやらそこは、マンスリーとかウイークリーで貸している賃貸のマンションで、おそらくワンルームがひしめいているようなところです。繁華街のど真ん中、とはいえ、一筋入っていますので、飲み屋の筋からはちょっとだけ離れているような立地で、意外に小奇麗なマンションでした。

玄関はオートロックで各戸へのアクセスは、玄関横のインターホンであけてもらわないとダメなタイプです。もちろん、われわれのような部外者は、玄関の扉が開きません。

「・・・よし!」
と意を決して住民票に書いてあった部屋番号のナンバーを押します。


「なんじゃい!わーれー!」


と見も知りもしないおっさん=山田氏に凄まれるかも!と思いつつ、ハタと気がつくヨシイエ。

「あ、そうか。今回は『金払え!』じゃなくて、裁判取り下げるんだから『金、払わなくていいですよ』って言えばいいんだから、怖がる必要ないじゃん!!!」

・・・だって、山田氏にとっては良い話じゃないか!ボクは幸せを届けに来てるだけなんだ!と自分に言い聞かせると、ちょっとだけ楽になります。

ピーンポーン!

・・・・

ピーンポーン!

・・・・

ピポピポーン!

・・・・いねえ!ラッキー!!!!!!

念のため、あと2回くらいピンポンしても反応なしです。

「留守なのかな」

・・・まあ、まっとうな判断ですね。だったら帰ってくるまで待たせてもらう、というのが筋ですが、いやいや、どうもそんな感じじゃないのでした。

ふと横を見ると、郵便受けの列が。そこで該当の部屋の状差しを見ると、案の条あふれています。

「ちょっとごめんしてね!」

と手を触れないように、はみ出している手紙類などの束から、宛名を確認すると、「山田太郎」の名があるじゃあーりませんか!!!

やっぱりヤツはここにいたのです。


しかし、それは「いる」ではなくて「いた」感じ。


すでに請求書、督促状などの束が無造作に突っ込まれているところからみて、どうやら山田氏はずいぶんまえにここから立ち去ったのだと思われます。

住民票を移していないことから考えて、こんどこそ本当に行方をくらませたのかもしれません。当然、売掛や借金が残っているのはうちだけじゃないでしょうから、追われて逃げてしまったのでしょう。

というわけで、ひ弱な青年ヨシイエは、結局怖いおっさんに出会うことなく、探偵ごっこを終了することになったのです。

厳密には、あと数回別の機会に訪問し、状況がまったく同じだったので、うちの会社としては手立てを尽くした、ということで、「これこれこういう状況でした」という報告書をし立てて、裁判所に提出することになりました。

「上申書(お上に申し上げます!)」という書類になるのですが、つまりは、山田太郎を出来る限りの住所探しをしたけど、がんばったけどもう無理なので、住所を確定して手続きをするのは厳しいです。ごめんなさい。ということをお願いするわけです。

すると、裁判所は

「よし、そのほうの願い、しかと聞いた。よって、お上の沙汰を申し渡す。『公示送達』という手続きにはいる」

はは~っっ。ありがたきしあわせ!

ということで、姿なき山田太郎が所在不明でも、裁判が進められる「裏ワザ」に突入したのであります!


(次回、公示送達ってなんだ?!あなたもやられる「公示送達」の恐ろしさ!の巻、こうご期待!!!)

2019年3月11日月曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」⑤



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


好評(なのか?)連載中の「たのしい裁判入門」のコーナー。前回は、夜逃げした山田太郎を追うために、東大阪の市役所へ向かうぞ!というところまでで終わっていました。

今回はその続きです(^^

朝から会社を出発して、とりあえず必要と思われる書類をそろえて東大阪市役所に向かった吉家青年(なのか?・・中年かも(^^;)は、窓口で住民票を取る手続きをしました。

ちなみに他人が住民票を取る手続き、というのはそのころはまだ簡単で、こっちの住所と氏名を申請書に書いて、免許証を見せるだけ、あとはせいぜい山田太郎との商取引の証拠になる納品書と請求書の写しを提示するぐらいでOKでした。

「おおお!なんて簡単に他人の住民票がとれるんだ!」


と小さく感動して、さっそく引っ越し先を見ます。

「・・・藤井寺市?!」

まじかよ~と思いながら、やるべきことはひとつ!そうです。今度は藤井寺市役所へ行って、おなじ作業です(☆_☆;

どうせいないんだろうなあ~と思いながら市役所の門をたたくと、

「・・・柏原市?!」

つぎは

「・・・神戸市?!」

と、まるでガキの使いのように、車を走りまわすだけ、という時間が過ぎていきます。

そうです。山田太郎の後を追跡するには、とりあえず市役所を回りまくる、という物理的移動をせざるを得ず、朝からボクは走り回ったわけです。

で、神戸まできたら4時過ぎ・・・。山田のやろ~いったいどこまでこの転居地獄が続くんだ!と思いつつ、神戸市役所で取った住民票には、「姫路市」とありました。

「姫路か・・・、間に合うかなああああ」

姫路市役所の窓口が閉まるのは5時。いま4時過ぎ!ということで、萎えそうになる心を奮いたたせてぶっ飛ばします。いや、制限速度で走ります(笑)

「もういいじゃん、また今度にしよ~」という心と、「いや、ここまで走り回ったんだから絶対つかまえてやる!」という心が戦いながらアクセルを回します。

ハンドルを握る顔つきが、まるでアクションスターみたいになってます(笑)

いったい何と戦ってるのかわからないけど、とにかく見えない山田太郎を追ってぶっ飛ばすのです!なんとか4時までに入りたい!!!

というわけで、姫路市役所に滑り込んだのは、4時50分。大慌てで書類を書きます。

「おおお、お願いします!」

と汗だくで、申請書を出す吉家青年(なのか?笑)



そして、もらった住民票を見て、

「うおっしゃああああああ!!!」

と思わず雄たけびを上げてしまいました。

転居先の欄が、「空欄」だったのです!そう!山田太郎は姫路にいる!(はず)

ついに、ついにヤツの尻尾をつかんだ!と姫路市役所のロビーでニタニタする吉家青年でした。


そこで、ハタと気付きます。「あの・・・ボク、山田さんと全く面識もないんですけど・・・」。

ええ?!いきなり、ピンポン押してどこから話せばいいの?おっさんから見たら「お前誰やねん」じゃないですか!

(ええ、ボクから見ても「あんた誰やねん」なんですけどね。山田太郎も通称名だし)

うっわ。いきなり遭遇してディープな裁判の話かよ~。きびしいなあ、とか思いつつ。

夜逃げするような人なんだから、怖い感じの人だったらガクブルやなあ、とか思いつつ。

しかし、そこは恐れるものはないリストラリーマン!

「でもまあ、会えたら会えたで、どないかなるわ!」

と気持ちを切り替えて、ボクは姫路市内の山田氏の住所に向かって走りはじめたのでした!

(つづく。・・・まて次回!山田太郎には会えるのか?!会えたとしても、まともに話ができるのか!頑張れ吉家!頑張れリストラリーマン!)

2019年3月10日日曜日

【たのしい裁判入門】 ちょこっと解説シリーズ。



「アニーよ住民票をとれ!」の巻


山田太郎探しのために、社長から昔むかしの「山田工業」の住所を教えてもらった吉家ですが、その住所に「山田太郎」の住民票があれば、そこから転居先を追跡することが可能なわけで。

その仕組みを解説します。

ある人が、住民票登録をすると、その市では「どこどこの市からやってきた」ということを記録します。そして、転居して住民票を移すと、その市では「どこどこの市へ出て行った」ということを記録するわけです。

  というわけで、住民票を取ると、「前後の住所」はわかるので、つぎつぎに住民票を取って追跡が可能になります。

ちなみに、その人の全部の住所の移動は「戸籍の附表」というのに全部記録されることになっています。住民登録した市町村は、毎回戸籍のある市町村にデータを送るわけですね。

(余談ながら、住民票関係はともかく戸籍はなかなか他人が取りづらいようです。住民票はもともと誰でも取得できる、という原則があったので、まだマシですが)

で、問題なのが、ボクらのような他人が、その人の住民票を取るのはどうなの?ということがポイントなんですが、実は法的には、「住民票であれ、戸籍の附表であれ、正当な理由があって、権利や義務を行使するために必要な場合」は他人でも取得できることになっています。ところが、それを実際にやるには、「正当かどうか証明する手段」がめっちゃめんどくさいわけで・・・。

ちなみに、ボクが山田太郎氏を追跡した5年前は、(2008年に交付制度の改正)基本的に窓口で「請求書類」さえ書けば基本誰でもスルーパスだったのです。

なので、当時は山田氏をめっちゃ追跡し易かったのでありがたかったのを覚えています(^^;

ちなみに、今は、以下の書類を持っていくと基本的にOKです。ボクは現在の住民票手続きには、かならず最初にこれだけ準備して役所に行きます。

①運転免許・・・ボクが誰か、の証明。

②社員証(健康保険証)・・・ボクが訴える側の会社に属することの証明。
これではダメなときがあるので「社員証明書(以下のものはうちの社員ですBY社長+印鑑)」を先に作っておいて常に持っています。もち、ハンコは社印ですよ。

③取引相手との取引の証明になるもの・・・(請求書の写し・納品書の写しなど)

④念書・・・取得した住民票は、目的外使用はいたしません、という市長あての手紙。

⑤裁判書類の写し・・・(裁判等になっている場合は、一式添付します)

⑥会社の登記簿謄本の写し・・・たまに要求される場合があるので、保険として。


これだけの書類をそろえて、市役所の窓口に行くと、まあたいてい住民票を出してくれます。赤の他人でも(^^

このテクを使って、別れた嫁はんの再婚相手の住民票を取ったこともあります。これは、前の嫁はんとの間にこどもがいたので、こどもを通して、向こうの戸籍とつながったので取れたのです。元嫁はんだけだったら、ちょっと厳しいかな。

ボクから見ると、自分の子供の戸籍をとるのは、(いくら現在抜けているとはいえ)正当な目的がある、というわけで(^^

それから離婚後の養育費の調停やら、弁護士とか頼まずに、自分だけで、家庭裁判所でうんちゃらかんちゃらしたのは、また別のおはなし(笑)

2019年3月9日土曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」④



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

裁判の取り下げには、原告(こっち側)と被告(あっち側)の住所がいるんだよ、ということを裁判所の事務官に教えられた吉家は、戸惑ってしまいます。だって、うちの会社が訴えている相手は、夜逃げしてもうどこにいるかわからないんだもの!

ということで、逃げた山田太郎の行方を捜すはめになった吉家の苦悩がスタートです。


さて、さて、そもそもなんで裁判の取り下げをするのに、相手の住所が必要なのか、という話。それは訴えるときも同じことなんですが、裁判所で「訴えてやる!」と相手と裁判する場合には、「自分の名前と住所」「相手の名前と住所」が最低必要で、あと場合によっては「関係者の名前と住所」が必要になったりします。

これがなんで大事かというと、裁判所は誰かからの訴えがあると、訴えられた側に連絡をとって「あんた訴えられてまっせ。いいんですか」という確認を必ずするわけですね。

そうじゃないと、訴えられたほうは、知らずに訴えられていて、裁判があるなんて聞いてないよ!ってなり、おまけに「出廷しなかったからあんたの負け」なんてなってしまうととんでもないダメージなわけです。

裁判は「あくまでもお互いの主張を言い合う、そして仲裁する」場所なので、どちらも「裁判になっている内容をちゃんと理解している必要がある」わけです。いや、僕も聞いた話なんだけど(笑)どうもそういうことらしい。

ということは、取り下げの時もおんなじで「あんた、あの話取り下げられましたで」ということが訴えられた相手に届かないとダメなのです。原則。だから、夜逃げした相手にも、基本的には連絡が付けられる必要があるし、ほんとに夜逃げしてどうにもならないのなら、「こういうわけで夜逃げしてはりますねん」ということを証明しないといけないわけなのだとか(^^;

「・・・ざっとまあ、こうこうこうらしいです」
帰社して社長に報告すると、じゃあ、いちおう探さないとしゃあないなあ、ということになり。当時の取引記録から「一番最初に取引したときの山田太郎氏・山田工業の住所」をどっかからか探し出してきたわけで。

「というわけで吉家クン。ヤツはまず東大阪にいたことはわかっている。じゃ、たのんだぜ!」
社長命令ですから、翌日から捜索開始です。本業のほうはいいのかなあ、と思いつつも、ボクはこちらの探偵ゴッコのほうに専念できる環境が与えられたわけで(^^;

いや、任された=ほったらかし。でもあるわけで(笑)

営業車に乗り込み、まずは東大阪市市役所を目指すことになりました!

2019年3月8日金曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」③



(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)


供託金を返してもらうには、まず裁判所で訴えを起こしていた裁判を取り下げよう、ということになったわけで。で、裁判所とやらに出向いてその手続きの方法を尋ねていたヨシイエでしたが、驚愕の事実に出くわしてしまうのです!

裁判所の事務官は、おだやかに説明してくださいます。

「わかりました。では、まずこの『取下書』に記入をしてもらうことになります」

「はいはい。なるほど、申立人は、上記当事者間の仮差押命令事件について訴えを取り下げます、ですね」

「で、次にあなたの会社と、訴えられている山田太郎さんの住所等を記入した当事者の名簿(目録)をつけて頂いてですね・・・」

・・・。そこで、ちょびっとハテナがいっぱいです。

「あの・・・。どうも山田太郎さんは、いまどこにいるかもわからないらしいので、住所とか書けないっぽいのですが・・・」

「はあ、わからないんですか?」

「はい・・・」

(沈黙)

「うーん、ちょっと面倒ですねえ。それならまず、「山田さんがどこにいるかわからない」という証明をしてもらわないとだめなんですよ~」

どこにいるかわからないという証明???!!!

わからないことを証明ってどうするの??!!

例)宇宙人が存在するかどうかわからないことを証明せよ。

例)ヤマダニジュウヤホシテントウムシという虫がいるかどうかわからないことを示せ。

・・・よくわかりません。まったくもって、どうしろというのか意味不明なんですけど・・・。

驚愕の困惑をしている僕の顔を見て、事務官さんはちょっとだけ、助け舟を出してくれました。

「つまりね。ヤマダさんが元いた住所を調べて、そこから引越し先も調べて、最終的に、その引越し先にもいない、ということを調査して、それを報告書にしてもらわないとダメなんです。こにもいないっぽい、ということを調査報告していただければ次の手段が取れるんですよ」

・・・はい?つまり、刑事検察探偵さんのように「ヤマダを追え」ってこと?

「そうです(にこり)」

「えええ、ど・ど・どうやって調べるんですか?聞き込みとか、探偵事務所に依頼するとかですか?!」

「いえいえ、裁判所ではあくまでも書類に残っていることで判断しますから、まずは住民票がどこからどこへ移っているかを市役所を回って調べることです。で、最終的に、住民票が残っている場所に彼がいなければ、『そこにこれこれ、こういう状況でいませんでした』と報告してもらうんです」

・・・マジすか?!とにかく住民票で、おいかけろ!と。

「それ、郵送とかFAXとかしてもらえるんですかね」

「いやあ、赤の他人が住民票を取得する場合は、原則その市役所にいかないと・・・」

はい。探偵ゴッコ確定!あたまクラクラです。

そんなこんなで、にわか素人探偵になってしまったヨシイエは、山田太郎の足跡をうまく追えるのか?! 

まて次回!!

2019年3月7日木曜日

【たのしい裁判入門】 第1話「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」②


(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)

はいどうも。 楽しい裁判入門、語り手の吉家孝太郎です。



前回は、先代社長が預けっぱなしになっていた「供託金」を取り戻すため、吉家が手続きを任されることになったところまででした。

というわけで、法律知識が全くない新人営業マンは、とりあえず、なんだかよくわからない当時の資料らしき紙切れを手にもって、大阪法務局へと手続きの方法を質問しに行ったわけです。

持っていたのは、なんと「供託書」というちっちゃな紙切れ一枚。それもコピー!

どうやらこれは「29万円の供託をしてますよ」っていう証明書みたいなものらしい・・・。それもコピー!

原本は、いまもどこにあるか不明(笑)

あろうことか、現社長は、「これしかそれらしいもんは見つからんのやけど、どうにかなるかな?」って感じで。ヨシイエも、「まあ、どないかしてきます!」って感じで(笑)


法務局へ着くと、供託課というところの窓口で、尋ねます。
「あの~、なんかこの件でお電話をもらった◎◎という会社のものなんですけど・・・」
「はいはい、ちょっと待ってくださいよ」

このとき、対応してくれた事務官のおばちゃん(実際、事務官なのかバイトなのか、えらいのかどうかもわからんけど)が親切だったので助かりました(^^

右も左もわからないボクに、これはこれこれこういうことですよ、と教えてくれたわけです。

まあ、これもだんだんわかってくるのですが、裁判所や法務局の事務官さんにもいろんなタイプがあって、めっちゃ親切な営業マンみたいな人から、「素人がなにを言うとんねん」みたいなぶっきらぼうタイプから、とにかく真面目で「一字一句辞書引きながら確かめる」みたいな超カタブツさんまで、いろんな人がいるのです。でも、まあこの日は、いい人に出会えました(^^

さて、おばちゃんが言うには、こういうこと。

「あなたの会社は、山田太郎さんと大阪簡易裁判所で裁判をして、その手続きにかかる費用をうちの大阪法務局に預けています。で、その裁判は、そのままほったらかされているので、まずは『裁判やっぱやめます』とかなんか、そういう風に取り下げをしてほしいのです。そうすると、「取り下げたので、供託する必要がなくなったよ証明書」を裁判所が出してくれるので、それを持ってきてくれたら、お金を返しますよ」

とのこと。これをまあ、実際は裁判所ならではの専門用語や、専門書類名で説明してくれたのですが、ざっくり言えばそういう話なんです。

「なんだそうなんですか!わっかりました!じゃあ、裁判を取り下げて、その証明書もらってくればいいんですね!」とニコニコ顔で、法務局を後にしたヨシイエは、次に大阪の裁判所に行って、また話を聞きました。

そこで、大問題が発生したのです!!!

後半へ、つづく (^■^)

2019年3月6日水曜日

【たのしい裁判入門】 第1話 「山田太郎を追え~見えないあいつをカーチェイス~」①





(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)




はいどうも。 楽しい裁判入門、語り手の吉家孝太郎です。




もう、これは数年まえのことになるのですが。

僕がいまの会社に転職してしばらくが過ぎたころのことでした。基本的にうちの会社は建築に関係のある資材なんかを扱っているので、途中入社したての僕は、商品の知識を覚えたり、お客さんまわりをしたり、電話をとったり配達したり、まあ、人数が少ないので何でもやるわけなんですが。
ある日、1本の電話がかかってきて、事務員さんがガチャリと受話器をとったわけで。

「はい、・・・はい。しばらくお待ちください。・・・しゃちょー!法務局から電話です!」



おなじ部屋のデスクで聞いていた僕は、まだまだ「ホウムキョク」なんてことばはピンとこなかったのですが、なんか法律関係なところぐらいの軽い認識はありました。とはいえ「ええ。まああっしのような下っ端には関係のないことでございます」と思いながら、自分の仕事をしていたので、まさかその仕事がボクのそれからのメインになろうとは、この時点では思いもよりません。

さて、電話を受けて、社長はふがふが話を聞いていたのですが、なんだか「よくわからん」といった顔をしています。それもそのはず、そもそもこの話は、現社長の亡くなったお父さん(先代社長)の未処理の問題があたまをもたげてきた、というところがスタートなわけです。



受話器を置いた社長が、簡単に話をまとめてくれたのは、つまりこういう感じ。

「なんかいま、大阪のホウムキョクから電話があって、なんでもうちがキョウタクしているお金が10年かなんか経って時効になるらしく、返してほしければ、来い、みたいな話らしいわ」

・・・ちっともわかりません(笑)

まあ、この最初の電話は、法務局から「お金を返しますので手続きしてください」かなんか、そういう事情を伝えてきた連絡電話だったわけですね。社長からすれば、この話は先代が扱っていた件なので、先代が亡くなったりしたこともあって10年間話が中ぶらりんのままほったらかされてたことも、まあ問題なのですが、それは代替わりなどのゴタゴタもあるでしょうから仕方ありません。

で、社長は社長なりに古い資料を引っ掻き回したりして、一体なにがどうなっているのかを明らかにしたわけです。

「つまり、こういうことだ。前の社長の代に、『山田工業の山田太郎』というおっさんに資材かなんかを売ったんだけれども、それが代金未払いで、裁判になったらしい。で、裁判の結果いろいろゴタゴタあって、先代がついに山田太郎からなにかを差し押さえしようとしたんだけれども、裁判所で差し押さえするには、必要経費みたいなもんかようわからんけど、なんかお金を預けておかないといけないらしい。それが『供託金』というもので、それが預けっぱなしになっているらしいわ」



質問があります。
「あの、山田太郎さんはどうなさったんですか?」

「うーん、とっくの昔に夜逃げして、差し押さえもへったくれもない。実行できなかったままらしい」

質問2です。
「じゃあ、なんで10年もほったらかしに?」

「うーん、おやじ頑固だったからなあ!『だまって取り下げてしまうのはケッタくそ悪い!』とでも思って、そのままになったんじゃなかろうか」

質問3。
「あの・・・やまだたろうって、またベタな名前なんですが、マジなんですか?」

「これがなあ、山田太郎は中国か韓国籍の方だったらしく、通称名で本名じゃないらしいんだわ。おそらく、国に帰ってしまったんじゃないか。たしかにベタな名前すぎるな」

・・・で、この話がなぜかボクのところに降りかかるわけですよ。

「でな、吉家くん。この後処理、やってくれんかね。大阪の法務局行ったり、ちょっとごちゃごちゃするかもしれんけど、私が覚えている限りのことは、サポートするから!」

マジすか?!

・・・これが、すべてのはじまりだったわけで!(^^;



まあ、この時点では、これが「山田太郎追跡大作戦」になろうとは、まだ知る由もなかったのですが。

果たして、供託金は取り戻せるのか!

消えた山田太郎を探しまくらなくてはならないハメになったのはどうしてか!

東大阪から、神戸から姫路まで、速度超過しないように爆走カーアクションするハメになったのはなぜか!

まて次回!

2019年3月5日火曜日

【たのしい裁判入門】 ~売り掛け回収なお仕事のお話~




 みなさんこんにちは 流浪の不動サニスト吉家孝太郎です。

いつもいつも不動産の話ばかりも飽きてくると思うので、たまには違うお話を、ということで新しいカテゴリを作りました。

 


 ボクの通常の仕事は、いちおう建築業界に関連する業界の端っこで慎ましやかに生きているのですが、そっちの経験談です(^^

 ズバリ、「たのしい裁判入門?!」

裁判が楽しいのか?!といわれれば、まあもともとトラブルがあるから裁判所がらみになるわけで、「そんなのいやだめんどくさい」という方が大半だと思いますが(^^;


 
 ボクの場合は、いろんな世の中の仕組みを知ったり、自分で不動産や建築のこと調べたりするのが好きなので、「弁護士や司法書士に頼まないで、自分で裁判する!」ということをもう数十件やらせてもらいました。これがとてもいい経験になったので、楽しい裁判のお話をみなさんにちょこっとできればなあ、ぐらいの気持ちです。

リストラリーマンであるボクは、転職経験があることはお話しましたが、今の仕事に入ってしばらく担当させていただいのが営業ならびに「裁判」だったのです(☆_☆;

 

 とはいえ、ボクは法学の知識があるわけでもなく、大学も文学部だし(笑)、「ええ!まじっすかサイバンっすか、サイパンでもサリバンでもなく大岡越前の裁判所っすか?!」という状態だったのですが、まあ社長が「ぜひ、やってくれ」というので勉強開始。

基本的には売り掛け回収のための民事訴訟や支払い督促などをいろいろ担当させていただきました。(いまもやってますが)


 


 おかげで、裁判所の競売物件のファイルなんかもいっぱい見れましたし、そのあたりから不動産に関するゆがんだ知識が増えていきました(笑)
いきなり競売物件を買おうとしなくて良かった(^^;でも、ボクが最初に家を買おうとしたのは任意売却物件だったりしたので、不動産ウォッチのスタートからしてちょっとフツーじゃなかったかな(苦笑)←裁判ばっかりやってたせいかもしれない。



閑話休題。



というわけで、一番最初に関わったのが、前任者の後処理みたいなのですが
「供託金を取り戻そう!」という事件です。

話せば長くなるこの事件は、次から書きましょう!「楽しい裁判入門 第一話は『山田太郎』を追え!~見えないあいつをカーチェイス!~」です。おたのしみ

2019年3月4日月曜日

元教師が教える「学校では教えてくれない」こと



 ヨシイエさんが学校という社会と、いわゆる外の実社会を両方見て言えるのは



 学校という場所で教えてくれないことが多すぎるんじゃ!



ということです。



 というわけで、もっと学校で教えたほうがいいことをリストアップ。




~~~~~~~~~~




 社会人にならないと学校では教えてくれないこと、というのがたくさんあります。そのせいで、もしかしたら社会の多くの人は不当な目にあったり、困ったりしていることがあるはずなのですが、なぜか文部科学省は、次に述べるようなことを教育指導要領に盛り込みません。個人的にはものすごい不満なのですが、こればかりは国を相手に戦わねばならないので、ざっと列挙して声を上げてみたいと思います。



① 学校では、税金と社会保険の仕組みを教えてくれない。源泉徴収も、確定申告も、学校ではその具体的システムすら教えてくれないのは不思議である。本来ならば、中卒で働いても正しい申告ができるように、税金のシステムを真っ先に教えるべきではないか。学校ではタバコは20歳になってからだと指導するが、20歳から国民年金を払いなさいとは教えない。厚生年金は半分会社が出してくれているのだから、それくらいは感謝しなさい、とかも。



② 学校では、免許のシステムを教えてはくれない。運転免許の概要くらいは、教習所に通う前に、ガイダンスくらいはあるかもしれないが、世の中にさまざまな免許制度があることを知らない人も多い。
 たとえば、あなたの家を建てたとき、クレーン車で建材を運んできた人が「小型移動式クレーン」の免許を持っているかどうか、あなたは絶対に知らないはずだ。荷物を屋根に上げるとき「ウインチ」を使っていても「巻上げ機」の免許を持っているかも知らない。ましてや、壁材をグラインダで切っている作業員が「切削と石交換の講習」を受講済みかどうかも知らないに違いない。

 悪徳リフォームにだまされてもいいと国家は考えているのだろうか。国家の制度すら、消費者に周知されていない事実は、何を物語るのだろうか。耐震偽装は国民の無知が生んだとすれば、国家は責任を感じるべきである。



③ 学校では、司法システムを教えてくれない。悪事をすればどうなるか、悪事に巻き込まれたらどうなるか、損害を受けたらどうしたらいいか。法治国家でありながら、その基幹となる法の仕組みすら学校では教えてくれないのだ。「墾田永年私財法」の内容より、はるかに民法・刑法のほうが重要だと思うのだ。だから、どちらも教えるべきである。
 お金を貸した相手が返してくれないとき、あなたは「支払督促」の申立を裁判所に出せるか?そんな制度を、学校では一切教えてくれなかったはずだ。



④ 学校では労働者の権利をきちんと教えてくれない。労働基準法も、労災の規定も、個人で建築業をしている場合の保障制度も、教えてくれない。教職員組合の方、それほど労働者の権利が大切だとわかっているなら、なぜあなたの教え子に、どれほど自分達が休息時間の確保や労働条件の向上につとめているか、そして、卒業して次は君たちもしっかり考えたまえと語らないのか。

 学校の先生は進路指導はするが、その会社が労働基準法に違反していても、こどもたちが毎日つらいサービス残業に汗を流しても、なにもしない。なにもできない。
 せめて労働基準監督署に通告するぐらい、してもいいのに。



~~~~~~~~~~




 ・・・語りだせば切りがない、誰も教えてくれない社会の現実ですねえ。


 学校の知識は大切ですが、こうした「真の生きる力・生きる知識」も同等に大切のはずなのですが・・・。