2019年11月5日火曜日

■【資本主義をハックする22】 若者は3年で会社を辞めなさい!



 近年(というか昔からですが)、


 「若者が三年ですぐ会社を辞めてしまう!」


 ということが問題になっています。



 しかし、個人的にはヨシイエは若者がすぐ会社を辞めてしまうことは、意外と悪くないのではないか、と常々考えています。


 いやむしろ、3年でも2年でも、速攻で仕事を辞めてくれるということは、実は労働者すべてにとってWIN-WINなのではないか?と推奨したいくらいです。





 そう!その背景には、実は「若者が3年で辞めると困るのは、経営者だけだ」という恐ろしい真実が隠されているからです。



 おもしろことに、ふだん後輩が3年で辞めてしまって、文句を言っている先輩社員にとって、困ることは一切なく、むしろ本当は彼らにとっても利益になる可能性がある、と言えば、驚くことでしょう。



 今日はそんな話をしてみましょう。





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 「若者が3年で会社を辞める」という言説は、大抵の場合


 「だから最近の若者は忍耐力がないんだ」とか

 「だから使える部下が育たないんだ」とか


そういう語句に繋がってゆくものだと思います。 これは、逆の見方をすれば、すごく単純な話で、



”これまでの先輩社員たる人たちが、ただ忍耐を強いられ、やりたくないことをさせられてきた”


ということの裏返しにすぎません。なので、仕事をさっさとほっぽり出して転職してしまう若者を見て、


「おまえらずっこいわ!(ずるいわ)」


と感じる気持ちをそう言い表しているだけ、ということになるでしょう。


「・・・わしなんかこんなに我慢してきたのに」


と。



 この見方は、別に先輩社員の人格をディスっているわけではなく、これまでの組織労働のあり方が、これまたただ単純に


「ピラミッド型になっていて、若手から順に労働力を搾取して集約し、上位にいくほど労働力が楽になってゆく構造」


をしていたことを示しています。ですから、先輩社員が若手であったときは、本来の給与よりも搾取されている度合いが強かったわけなので、 たしかに我慢を強いられていたのですね。




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 それにもう一つ、日本は封建主義的社会、組織を作っていますので、(この点については別に機会をもうけて説明しますが)基本的には



「下の者は、上の者の言う事を聞け!」


という組織体系になっていますので、


「言う事をほぼ無条件に聞かなくてはならない若者・部下・若手社員がたくさんいればいるほど、上司や経営者は高い利益を得ることができる」


という構造になっています。



 なので、若手は「いつか上司になれば搾取ができる」ということに気づいており、偉くなれば自分もそっちの立場へいけるのだということをインセンティブにして、長く働く構造が出来ていたのです。





 これらを簡単にまとめると



「長く働くということは、長い我慢を強いられるが、その後一定年月がくれば、その苦労が報われ、利益が享受できるしくみである」



というビジネスモデルであることがわかります。






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 ところが、これは、その企業なり組織が少なくとも「長い間」存続し、「右肩上がり」の業績を上げることができる場合にのみ成立する話で、


「短期的にビジネスが動く」

とか

「右肩下がりもしくは、平衡状態」


の場合には成立しないビジネスモデルです。


 たとえば、タピオカ屋に入社して、若手社員から部長に上り詰めるまで、タピオカブームが続くとは思えないので、上記のような組織は作れません。

 さっと集ってタピオカ煮て、さっと別れてゆくに限ります。


 あるいは、毎年新入社員の数が減少してゆくのに、「いつか部長になれる」わけがないですよね。



 従って、ほとんどの企業において「これまでは、そうだった」かもしれませんが、「これからは若手が長く勤めるビジネスモデルは成立しない」ことがわかると思います。





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 では、どのみち「若者が長く働いても、意味がない」ビジネスモデルで企業が動いているのであれば、当然のことながら



■ 若者は3年で会社を辞めてもいい、というか辞めたほうが「搾取」されない



ことがわかると思います。


 それよりむしろ、若者が3年で会社を辞めることがすべての会社で行われれば、



■ 給料と比較して、見合わない労働をさせることが減少する



ことが予想されます。なぜなら「割りに合わない」仕事であればすぐ若者が辞めるからです。



 そうなると、若者に対しては、「割りにあうおいしい仕事量」と「給与」はバランスが取れてゆくことになります。

 まさにワーク給与バランスです。




 もちろん、このままでは、長く働いた先輩社員たちから見れば


「あいつらずっこいわ!」


になってしまうと思うかもしれません。しかし、実際には


「若者が早期に辞めることに対して、長期で働いてくれる人材については慰留のインセンティブが働く」


ことも当然です。そうしないと今度は


「おっさんもすぐに会社を辞めてしまう」


ことが全国的に生じるからです。



 こうして、長期労働者に対しての一定の優遇と、「それなら自分も長く働いてみよう」という若者の意識のバランスが取れたところで、給与と労働内容は落ち着いてゆくのが自然の理です。



 そのためには、一刻も早く、若者が3年で仕事を辞めてくれないと困るわけですね。





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 ちなみに、私は従業員でもありながら取締役という微妙な立場ですので、経営者の考えもわかるし労働者の考えもわかります。


 ひとつ絶妙な例を挙げてみましょう。



 うちの会社では、「トラックで建築材料を運ぶ」という仕事があります。今現在は30代から40代の社員が、なんとか小型クレーン(ユニック)車を使いながら荷物を運んでいます。



 ところが、今の社員がもし辞めたら、次の若手は困ったことに


「中型免許を持っていない」


ので、まず応募してこようと思いません。


 そして、仮に中型免許の取得を補助しようとしても、そもそもそいつが受かるまで、カネを出し続けるのか?などのややこしい話が持ち上がるのが目に見えています。



 そうなると、答えは簡単。


 30代から40代の現行社員を、大事に扱う


というのが最も効率的で効果が高いわけです。(給与や処遇面で)





 こういう例からもわかるとおり、 若者が3年で会社を辞めてくれれば、短期的には現行社員が利益を得るのです。


 そして長期的には若手社員ももちろん利益をえます。


 WIN-WINですね。


(経営者は困るけどね)




 































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