「ラピュタは滅びぬ。何度でも蘇るさ!」
と言ったのは「天空の城ラピュタ」のムスカ大佐でしたが、雑誌「Lapita(ラピタ)」はとうの昔に廃刊してしまったのに、まさか
「ミニ檸檬は何度でも蘇るさ!」
という事態になっていたのは驚いてしまいました。
2022年6月号の雑誌「サライ」になんと名作万年筆の「ミニ檸檬」が再びついているではあーりませんか!
ミニ檸檬というのは、もともと丸善が販売していた「檸檬」という万年筆をちょっとだけ小さくしたレプリカです。
当然、梶井基次郎が丸善に置いて行った「檸檬」をモチーフにしています。
2005年にLapitaのおまけになっていた「ミニ檸檬」は大ヒットして、早い段階で書店から消え、複数買いする人たちも多かったように思います。
その後、「万年筆を雑誌の付録にする」というのがちょっとした流行になり、今でも断続的にその傾向は続いているようです。
ヨシイエさんは、旧版・2005年のLapitaバージョンも持っていたので、さっそく違いを見てゆきます。
左が旧版「ラピタ」版 右が新版「サライ」版です。
どちらもキャップはネジこみ式ですが、左のほうは「金属が露出していることからもわかるとおり、ボディ・キャップともに金属製です。
右はオールプラスチック製で、かなり軽くなっています。旧版からの大きな変更点はここだと思います。
サライ版(2022)は軽量。カートリッジのない状態で8グラムしかありません。
Lapita版(2005)は金属製。27グラムもあります。オリジナルの檸檬が20グラムちょいくらいだったらしいので、本家より重量感があったもよう。
旧版は、金属に塗装だったので、表面がしっとりしていたのですが、新版はただの黄色いプラスチックなので、チープさは否めません。
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サライ版(2022)はラクダのマークです。
ネジ部分のチープな感じもよく見えますね。
Lapita版(2005)はカエルのマークです。
雑誌付録としてついてきた万年筆では、もっとも最初の企画だったので、ペン先のメッキが弱いという弱点がありました。
その後、ラピタの付録万年筆は、少しずつ改良されてゆきました。
それでも、当時から「付録としてはバッチリ合格点の書き味」ということで、人気だった記憶があります。
万年筆マニアの多くは、この「ミニ檸檬」をよく改造のベースとして使っていたとか。
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オリジナルの「丸善」”檸檬”は
◆A 丸善創業130周年記念 1000本限定
◆B 丸善創業140周年記念 1400本限定
◆C 丸善創業150周年記念 1000本限定
で計3回出ています。
130周年版と140周年版は、止めるクリップ部分がストレートになっており、Lapita版はそれを踏襲しています。
150周年版は、クリップ先が丸止めになっていて、サライ版はその形状を模しています。
このあたりは、本家が登場した時期に合わせてちゃんと変更してきているのがおもしろいですね!
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余談ですが、Lapita版は、この「ミニ檸檬」のあと、ボディ色を赤と黒にしたスタンダールの小説「赤と黒」をモチーフにした万年筆が登場しました。
基本形状は同じですが、刻印の文字などは異なります。また微細な修正がいくつか入ったそうで、メッキ精度などは向上したとのこと。
また、それ以降Lapita付録系の万年筆は、形状違いも含めていくつか登場したようです。
「赤と黒」がLapita版「ミニ檸檬」万年筆の兄弟だとすれば、アサヒビールとのタイアップで製作された
「アサヒプライムタイム×Lapita版万年筆」
というのもあり、 こちらは「紺青」と「黄色」の2色展開でした。
当然刻印内容は違うのですが、黄色のほうはまさに「ミニ檸檬」とほぼ同型状で「いとこ」に相当します。
というわけで「ミニ檸檬」の派生品はいろいろあるのですが、今回のサライ版は、初回から17年も経ってからの再登場なので、さしずめ
「旧ミニ檸檬の息子」
とでも呼べるのかもしれませんね〜。