2019年3月19日火曜日

【たのしい裁判入門】 スピンオフ 「さしおさっ!」



こんばんは、なんとなく「けいおんっ!」とか「とめはねっ!」とか、そういう美少女アニメのノリで書いてみましたが、少しはかわいく見えるでしょうか?あなたのおたくの恋人(←おたくの意味が違う!)不動産オタクの吉家孝太郎です。

というわけで、しばらく遠ざかっていましたが、さしおさ・・・差し押さえですよ。奥さん。

今月は弊社の「不良顧客キャンペーン月間」なので、売掛が残っている&もうおまえなんきゃ客じゃねえ、な方々に対して法的措置をガンガン推進してゆく強化月間なのです。


しばらく更新もせずになにをやっていたかというと、仕事ですよ。仕事(^^

今回は通帳を差し押さえちゃいます!

登記簿謄本をとってきたり、申立て文書を作成したり、当事者目録や請求債権目録を作ったり、地裁の事務方に電話をかけて

「はあはあ・・・はあはあ・・・、おねえさん、第三債務者が2名の場合の郵券の額はいくら?」

ということを尋ねたり(←はあはあ、は不要 笑)


まあ、ちょっとコミカルに書いていますが、実際は至って黙々と準備をします。

この裁判系の書類と言うのは、とかく細かく・ややこしいので時間と手間がかかるのは致し方ないところ。

たとえば

「あんたっ、これこれこんだけのお金、払ってほしいんだからねっ!だからこんだけ、差し押さえちゃうんだからね!」

という内容を書くのが「請求債権目録」という文書なのですが、

ここには

「元々の未払いのお金の金額」
「そこから一部支払ってもらった額」
「未払い期間の遅延損害金の額」
「これまでの裁判とかにかかった費用の額」

を書きます。


それに加えて

「今回の差し押さえ手続きの手数料」
「それの通知に使う切手代」
「法務局へ行って来てとってきた登記簿謄本の代金もおまえ払えよな」
「この書類を作ったのにだって手間がかかるんだぜ、だから手間賃くれよな」
「あ、そうだ前の裁判の結果がちゃんと相手に届いているか確認して!な証明書代」

などを書き加えていきます。

で、請求する総額を決定して、今度はそれを各銀行さんに対して振り分けて請求をかけるわけです。

全部の金額が100万円だとしたら、A銀行からは50万、B銀行からは残りの50万、みたいな感じです。

あ、それから「今回の事件の人間関係一覧」とも言うべき「当事者目録」というのもつくらなくてはなりません。

「払ってもらってないうちの会社」
「払ってくれないあの人の名前」
「あの人が持ってる銀行名と頭取の名前」
「あ、本店じゃなくて、どこそこ支店ね、そこの住所と名前」

みたいな住所と名前のリストです。

今回は銀行2箇所にガサ入れするので、その分リストが増えますね。


あ、そして大事な、銀行さんへの「陳述催告の申立て」というのもあります。

まったくもって、法律関係のことばは難解なのですが、簡単に言えば

「陳述」=言って 「催告」=させて 「申立て」=お願いしますよってに

ということ。

「あのな、裁判所はんが尻叩いて、銀行はんに「あいつ、口座に○○円持ってまっせ」って言わさせたってくれ。お願いしますわ」

です。

これをしないと裁判所が「○○銀行、そのほうにあるだれそれの預金を、しかと差し押さえる」と命令をかけても

「は~?うちにその人の口座があるかどうか、なんであんたに言わなあきまへんねん」

みたいになるわけです。

だから裁判所は「そんなこと言わんと、ほれ、こうやってうちにも「銀行はんによろしゅう言うたっておくれやっしゃ」って頼まれとりますのや」

という文書を見せるわけです。


さあ、ここから銀行はんがどう出るか!!!

「しゃーおまへんな。ほなまず金額は言うたげますわ。50万、50万円口座におます」

と一応の回答をしてくれますが、次に

「銀行はん、そしたらそのお金、この債権者はんに払ろたってくれますか?」

と尋ねたら回答が分かれるのです!!!


ア)うまくいく場合

「よろしおま。ほな、その兄さんに来てもろてください」

イ)うまくいかない場合

「なにを言うて播磨屋橋!この預金は、ビタ一文払うわけにはいきませんのやっ!なんで?ってあんた。うちが貸したある借金がありますのや。うちに貸付がある以上、なんぼ預金があったところで、払うことはできまへん」


いやあ、裁判ってほんとうにドラマですね。では、また次回をおたのしみに!




<オリジナルは2012年の記事です。「たのしい裁判入門」はここから永遠の中断に入って今に至ります。>

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