2019年3月16日土曜日
【たのしい裁判入門】 第2話「支払い催促はボクの仕事、支払い督促は裁判所の仕事」②
(このシリーズは、事実を元ネタにしたフィクションです。ちょっくら、いろいろいじくってありますのでご了承ください)
売掛金の支払いを滞納している不良顧客の処理をはじめた吉家&社長のドタバタコメディがはじまったところですが、まずは王道の「直接顧客に支払いをお願いしにゆく」ということも大切なわけで。
顧客の状況を知ったり、住所を確認したり、いろんな調査をするためにも、ボクは領収書を持って「顧客まわり」を始めたのでした。
もちろん腹の中では「ふふふ、支払い督促やら、小額訴訟やら、そして本裁判までしてやるもんね」という不埒なことを考えていますので、ただ訪問するわけではありません。
「こんにちは~〇〇社の吉家と申します~」
と顧客(ただし、いまでは支払いをしていないので、ずっとツケだけが残っている元顧客)の家を訪ねます。
「・・・なに?だれ?」
と家人やら本人が出てきたら、まだまし。新しく担当になった事情を話して、少しでも支払ってくれるように交渉するだけです。
まあ、100%
「ごめんなあ。わかってはいるんだけど厳しくて」
と表面上は大人のお話が続きます。しか~し、その場でお金を回収できることはまず、ないわけで(笑)
で。「どうですか、最近の仕事の状況は」とかさりげない話をしながら、様子を伺うわけです。
定期的な仕事はあるのか、単発でどんな仕事をやっているか、などなど。
その影で、
「持ち家か借家か」「金目のものはあるのか」「車はどんなの乗っているか」「嫁はんを連帯保証人にできそうか(パートで仕事しているか)」「子供は独立してるのか」
まあ、ちら見で調査する項目は山ほどあります。
「おとんやおかん(じいちゃんばあちゃん)と同居しているか」とかも大事な項目。
だって、家屋敷が「じじいの名義のまま」かどうかは重要ですから!!!(キリッ)
ぶっちゃけ。訪問の目的は「お金の回収」ではなく「裁判の準備」なわけですよ。
だから心優しい、弱弱しい、いかにも新人なんすよ、ボク的な雰囲気で相手からいろんな話を引き出すことが大事なわけです(笑)
面白いのは、相手が兼業でちょびっと農家だったりするときに「農協に何を卸していて、どれくらい農協から借りていそうか」なんてことも値踏みします(^^
秋になって収穫があると、現金が入るし、まともに農協とやりやっても「農協のほうが貸付金が多くて勝てない」という場合もあるからです。
しかし、完全に居留守を使われる場合もあります。だって、そりゃあなた。〇〇社のロゴが入った車で乗り付けたら、バレるがな(爆)
でも居留守でも留守でも大丈夫!!
ボクはかならずお手紙を書いてゆきます。そして、おもむろにおうちの状況をチラ見させていただき、お隣さんやら、近所の方々に「質問コーナー!」をはじめるわけです。
「あの、、、〇〇さんいらっしゃらないようですが、いつもお留守なんですかね」
と近所が仲良しだろうが、険悪なムードだろうが、尋ねます。
わが社では、こうして出会えた近所の方を
「第一村人(BY笑ってコラえて)」
と呼んでますが、この第一村人たちがまあ
おしゃべりなこと!!!
「いや、ワシらはよ~知らんのやけどな。いや、あんまりわからんのやで」
と言いながら、近所のうわさは全部話してくれます!!!(笑)
実際、ボクはさっきのひとことしか話さず、あとは「はい」と「そうなんですか!」しか口にしないのに、全部話してくれるのです。
ご主人のこと、奥さんのパート先、こどもの話。
都会のマンション暮らしの顧客だとそうもいきませんが、まあ建築関係の仕事をしている人間は地場の人であったり、作業場を持っていたり、資材置き場を借りている関係上、だいたいそこら辺の人とつながりがあります。
そして、顧客が本当に居留守ならしめたもの、第一村人たちと話している僕の姿をみながら、悶々とした気持ちになっていただけるからです。
一番面白かったのは、この第一村人作戦の翌日から、実際に1万円ずつうちの会社に支払いをはじめてくれた顧客がいる、という事実!!!!!
見てたんだね~。ブラインドの隙間から。
すごいパワーです。1万ずつじゃ話にならんのだけど、でも踏み倒されるよりマシですね。
まあ、こんな感じでボクは「支払いの取立て」みたいなことは全くしません。ふつうにお話をしにゆくだけです。
そう、実際の取立て威圧行為は裁判所に任せて「国家の権力」という圧力をかけてもらうためです!
僕らはちっちゃな吹けば飛ぶような存在ですから、そんなそんな、なにも力がありませんよ(笑)
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