2014年10月17日金曜日

【高校生のための”人生”の教科書11】人は何のために生きているのか

 あなたが高校を卒業して、進学したり就職したりしたのち、もしかしたら誰かと出会って「結婚」することになるかもしれません。


 以前からこの話で書いているように、みなさんのうち「全ての人が」結婚するわけでもなく、また子供を授かるわけでもありません。


 生涯未婚率でお話すると、2010年の統計で、男性は20.1%、女性は10.61%の人が、50歳時に未婚であり、かつ、それらの人は恐らく大半が死ぬまで結婚しないと推測できます。


 つまり、あなたが男の子であれば、10人に2人は結婚しない・できないことになります。40人クラスだと8人が結婚しません。


 あなたが女の子であれば、10人に1人は結婚しない・できないことになります。40人クラスであれば4人が結婚しないということです。




 ということは、少なくともこれらの人は「家族・夫・妻のために人生を過ごす」ということがないわけです。この人たちの人生の意味は少なくとも「家族」ではありません。


 自分のため、会社のため、仕事のため、趣味のため・・・。


 いろんなもののために「人生を使う」ことはできますが、この人たちは残念ですが、子孫を残さず次の世代に何かを伝えることができません。


 ということはその人たちの世代で「人類誕生から続いてきた家系の歴史」はおしまいですから、しっかり残された人生を楽しんでもらえばいいと思います。




 もし、人類が一週間後に滅びるとしたら、どう過ごしますか?



 残された期間が、しっかり充実したものとなるように、生き生きと暮らしたいはずです。



 生涯未婚という選択・結果になってしまった人は、人類の規模で「残された期間を楽しんで」ほしいと思います。




 今度は、なんとか結婚することができた人の場合について考えてみましょう。以前に、少子化の話をしたときに、夫婦のこどもの数についてもお話しました。


 出生率といいますが、女性が生涯に産むこどもの数は1.3とか1.4くらいです。すでに2人を切っていますから、人口は減る一方なのです。


 ちなみにおさらいですが、男と女の2人で、こどもが1人作ることができます。お父さんとお母さんはいつか死にますが、こどもは残ります。なので、その夫婦にこどもが2人いれば、人口は同じまま維持されます。(事故や災害で減ることはあります)


 もし、こどもが3人いれば人口は増えてゆきます。1人になると減る一方です。




 しかし、ここで覚えておきたい大事なことがあります。それは「全ての人がこどもを授かるとは限らない」ということです。


 不妊の確率は、今や「7組のカップルのうち1組のカップルは不妊」といわれるようです。あなたが女子だとすれば、40人学級で20人が男子、20人が女子だとして、そのうち3人の女の子は赤ちゃんができないということになります。


 なぜ、そんなに高確率で不妊になるのか。その理由は実はけっこうハッキリしています。


 一番の原因は晩婚化、結婚する年齢が遅くなったことにあります。私たちの世代が若かりしころは



 クリスマスケーキ



という言葉がありました。女の子は、クリスマスケーキだったのです。


 クリスマスケーキは、12月24日に大量に売れます。クリスマスイブですから、買って帰る人が山ほどいるからです。ところが12月25日になると、夕食後にケーキを食べる人は、ほとんどいなくなります。つまり売れ残りです。


 女の子は24歳までなら、貰ってくれる男性が山ほどいるのですが、25歳になると売れ残り、だという例えなのです。ちょっと上手いことを言いすぎですね。



 ところが、そんな話はもうどこかへ行ってしまいました。25歳どころか、現在では始めての結婚が30歳を超えることが当たり前のようになってきたのです。そうすると、30歳から35歳ぐらいにかけて妊娠出産することになります。長男・長女はそれでいいですが、そこから数年あけてこどもを授かろうとするとどうなるでしょう?


 あっというまに40歳になったりします。女性の体は、既に老化しているわけです。


 

 最初の結婚が遅いために、妊娠の確率が下がり、一生のうちに授かる子供の数も減ってしまいました。江戸時代なら、男子は15歳で成人ですから、もう結婚できる年齢です。10代でこどもを産むことも多かったので、たくさんこどもを授かりました。


 現在の法律でも、女性は16歳で結婚できます。ということは、16歳で母になっても大丈夫、ということなのです。いちおうは。


 科学的な見方をすれば、女性が妊娠出産に適している年齢の幅というのは、早い意見で


「16歳から24歳くらい」


遅い意見で


「20代から遅くとも35歳まで」


とされています。


 早すぎても体が成熟していないし、遅すぎると体が老化してしまいます。




 さて、ここからが重要な話です。では、なぜそもそも結婚が遅くなり、妊娠・出産が遅くなってしまったのか。


 それは女性の社会進出と関係します。クリスマスケーキの話を思い出してください。24歳で結婚するということは、大学を22歳で卒業して2年後には結婚するということです。そこから妊娠出産に入るとすれば、23歳頃には、会社を退職しないまでも産休に入らないといけないということになります。


 もし、こどもを2人・3人ほしいと思えば、そこからほぼ連続して仕事ができません。産休・育休・産休・育休を繰り返していると、これはどうも仕事にならないなあ、ということになります。


 なので、大半の人は、24歳の時点で仕事を続けることを諦め「寿退社」したわけです。


(実際には、女性の学歴が低かったため、高卒18~24歳まで6年間、短大卒20歳~24歳まで4年間といった働き方をする人が多かったようです)



 ところが、女性の大卒者が増え、社会進出が進むと「こどもをもうちょっとだけ我慢して、その間仕事に励みたい」と考える女性が増えるようになりました。


 そのため、結婚も遅くなり、妊娠出産も遅くなったのです。



 ここからはかなり、「ぶっちゃけた」話をします。



 そうして仕事中心の女性の生活が当たり前になった今、女性にとって「2つの生き方」が浮かび上がってきました。


 一つは、こどもをあきらめて自分たちの人生を豊かにする道


 もう一つは、仕事をあきらめて家族の人生を豊かにする道


です。

 こどもを諦めたり、あるいはたった1人だけこどもを作り、その代わりに高い給料を夫婦で稼いで豊かな暮らしを楽しもう、という生き方もあります。


 逆に、仕事に追われるのではなく、やっぱり子育てと家族の人生を大事にしたいという生き方もあります。


 この2つが、それぞれ真逆のようですが、どちらも重要なこととして選ばれるようになってきたのです。残念なことに、ちょうど真ん中あたりとか、バランスのいい、都合のいい生き方をチョイスするのは難しいようです。
 みなさんが大人になる頃も、まだ「自分はどちらの人生にしたいか」という軸足を決めておかなくてはいけないかもしれませんよ。



 ちなみに、欧米のお金持ちの間では「やっぱり私は専業主婦になりたい」という希望が増え、共働きをやめる人たちが出てきているそうです。会社人間として生き、子孫も残さないなんて人間らしくないわ!と感じる女性は、(お金を持っている夫を見つけて)主婦に戻りたいようですね。




 私の個人的な意見を言わせてもらえるならば、この文章の上のほうで書いたとおり、


「こどもを生まない、生めないという人生は、人類的にそこで滅亡」


だということをどう受け止めるかがカギだと思います。


 夫婦でお金をしっかり稼ぎ、2人で残された人生を楽しく過ごす、というのもアリです。なんせその人たちの子孫おらず、そこで滅亡するのですから。その日まで幸せに過ごしてほしいものです。


 そうではなくて、こどもや子孫を繋いでゆくこと、あなたの遺伝子を残すことを大切だと思うのならば、少なくとも人類的に、あなたには未来があります。かならず未来がやってきて、滅亡はしません。それも、もちろんアリです。



 私自身は、こどもを残すことを選択しました。少なくとも、私の遺伝子には未来があるように、人類が未来に続くように考えながら生きることにしています。







 

 


 



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