2018年6月15日金曜日

【資本主義をハックする 5】 格差はなぜ起きるのか ~マルクス理論とは異なるもうひとつの格差~




 複雑に入り組んだ現代資本主義に鋭いメスを入れ、さまざまな謎や疑問を徹底的に究明するオッスおら悟空!なこのブログももう5回目を迎え、いよいよ資本主義の問題点に切り込んで行きながら、



 資本主義をハックして、なんとかものにする



備忘録でございます。



 資本主義の一番の問題点とされているのは、かのマルクスのおっさんも指摘していた



「貧富の差が拡大する=格差が生まれる」



問題でした。マルクス的には、資本家には資本が蓄積され、搾取された労働者には資本が貯まらないので、格差はどんどん広がるんだ!ということを説き、そして、格差の広がりが許容できなくなった際には革命が起きるっぽいことを書いたわけです。



 んがしかし、稀代の変態実国学者である、ヨシイエ孝太郎さんからすれば、


「たしかにマルクスの言う、資本家と労働者の格差も存在するかもしれないが、それとは異なるメカニズムの格差も生じているのではないか?」


と仮説を立てたいところです。



 マルクスは「資本家は労働者から搾取して、労働力の再生産に必要なくらいの給料は払うけれど、それ以上のお金は払う必要がないので、資本家にはお金が貯まる一方だぜ!」という視点で話を進めました。


 たしかにそういう面もあるでしょう。



 しかし、それではジャック=マーや、孫正義さんと一般人の間の格差は説明できるけれど、


「正社員と派遣社員の間の格差」や、「都市戸籍を持つ中国人と、そうでない中国人の間の格差」



については、説明できないような気がするのです。


 むしろ、庶貧民であるボクたち、ワタシたちは、「ビルゲイツと私達の間にある格差」については、たぶんどうでもよくて、「ティムクックを敵視しているわけではない」のですから。



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 マルクス的思考では、「資本家は自分の利益を最大にするために、労働者から搾取する」ということを発見したのですが、それは確かに面白い視点です。


 しかし、現実に起きているのは「資本家がより儲けるために、賃金を抑える」ことではありません。



 そうではなくて、より利益を縮小させるために、労働者の賃金を抑える」という一見すると矛盾した事態が起きているのです。




 このことを理解するには、


かの巨大資本主義権化企業のアマゾンちゃんが、「ほとんど電子小売事業で利益を上げていない」


とか


あの、日本全国を支配する小売王であるイオンが「ほとんど利益を上げていない」


とか、枚挙にいとまがないほどの


「利益を上げていない資本家の姿」


をしっかり観察する必要があるでしょう。


 マルクス的視点では、アマゾンやイオンはもはや一党独裁に近いのですから、労働者を搾取しながら莫大な利益を上げる必然性があります。



 しかし、巨人たちはそうではなく、ツイッターですら高収益企業ではない、ということは何を意味するのでしょうか??



 そこに見え隠れするのは、


「より安く、より利益を絞り込むために、労働賃金を下げる」


という手法があるのだ、ということです。




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 企業間競争には2つのパターンがあります。ヨシイエさんはいちおう企業の管理職ですから、そうした事態をしっかり見極めながら、毎日汗水たらしてひいこら働いています。



ひとつは


A 「より付加価値をつけて、より高い金銭をゲットするための戦い」


で、もうひとつは


B 「より価格を下げて、より低い金銭をゲットするための戦い」


です。



 新しい新製品の炭酸飲料を490ミリリットル150円で売るぜ!という戦いもあれば


 PBブランドで38円のコーラを売るぜ!という戦いもあるということです。




 さて、この2つの競争が生じるとき、




 Aの選択をすることは、すなわち「資本家は最大のお金をゲットしようとしている」ということになるでしょう。


 しかし、Bの選択をするときは、「コストや労働費用をギリギリまで抑えて、絞りかすだけでもいい」と考えていることになります。




 このとき、よくよく考えてみると、Aのパターンで戦う際には「労働者から搾取する」必要がないのです。

 なぜなら、高付加価値高単価商品を売りたい場合は、「どんどんじゃんじゃん作ってくれたほうが儲かるので、ちょっとぐらい労働者に還元したって痛くない」からです。



  しかし、Bパターンだと、価格はギリギリまで下げられますから「絞れる部分は、もはや人件費しかない」ところまで行き着きます。





 つまり、


【資本主義をハックする3 あなたの給料を2倍にする方法】
https://kotaro-yoshiie.blogspot.com/2018/06/blog-post_13.html



でも説明したように、価格はたった10%上げただけで給料は倍にできるのですから、価格はたった10%下げただけで、半分の給料しか払えなくなる、というカラクリが生まれるわけですね。





 ということは、みなさん。よくよく考えると、今ボクたちワタシたちが巻き込まれているのは、実は



「資本家が儲けようとしてみなさんが苦しんでいる格差」



なのではなく、


「万人が足の引っ張り合いや値下げ合戦をしているから互いに苦しんでいる格差」


が起きているのではないか?



と気付くことができるのです。




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 この格差が起きるメカニズムを知ると、私たちはこの資本主義の荒波を乗り越えるヒントを得ることができるでしょう。



 これは一体何かというと、単純に言えば「パクリ」による単価の下げあいなんですわ。



  たとえば、iphoneというイノベーション製品が登場したとして、当然初発の高付加価値商品ですから、最高価格で投入できるし、かつ、高利益が望めます。


(それを中国で作らせて利益を最大にしようとする魂胆は、マルクス的資本主義格差ですが、逆に言えばアメリカ国内で作っても利益はちゃんと出るわけです。高付加価値商品なので)



 ところが、ある商品が登場するとかならずパクリが出てきます。どこの何かとは言いませんが、資本主義社会では必ず互換品が後から登場します。



 しかし、このパクリ商品には、オリジナルを超える高付加価値はありませんから


「必ず、オリジナルよりも下の金額で投入されなくてはならない」


という宿命があります。


 ということは、単純に考えてiphoneを作る人よりも、ガラクシーを作る人には、少ない給料しか払えないということが起きます。


 あるいは、オッチョかトッポかわかりませんが、さらに互換な商品が作られる際には、それよりも少ない給料しか払えないことが起きるわけです。



(実際には販売数量などの複雑な事情が絡みますが、ここでは単純化しています)




 なので、資本家と企業は「パクリ商品を数で売り、その間に自社でもなんとか高付加価値商品を開発したい」と願いながら、それを頑張るわけですが、実際にはなかなかそう上手くはいきません。




 結果として、同様な商品が氾濫すればするほど「消費者から見るとどんどんモノが安くなるが、同時にどんどん自分の給与も安くなる」ということが起きるわけですね。




 これが、マルクス資本論ではあまり想定されていなかったデフレ状態です。





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 ここから学べることはいくつもあります。



 ひとつは①「パクリ商品、同等商品の投入だけでは、利益は下がる一方であり、労働者の給与は抑えられる一方である」ということです。


 そして、もうひとつ②「常にイノベーションする資本家のみが、高利益を維持することができる」ということでもあります。


 それ以外の資本家は、ダメダメで下のほうで似たりよったりだということですね。



 この②番目の理論をしっかり理解することで、新自由主義における資本主義のありようを説明できるでしょう。


 つまり、アマゾンがなぜ巨人たるかは、「常にイノベーションを繰り返し、オリジナルだから」ということです。

 アップルにもそういう側面があります。


 アップルも、「常にイノベーションの先端を行っているから、iphoneXを10万円越えの高値で売り出せる」のです。



 孫さんが「伊達に髪の毛より先を走っているわけではない」ことも、ここからわかります。 


「先行者利益をむさぼり続ける回転こそが、21世紀の資本主義の姿であって、それ以外はあえて言おう、カスであると」


ということでしょう。


 なので、カス企業では、値段の下げあいと労働者からのさらなる搾取という悲劇が起きてしまうのですね。




 資本主義ハッキングの観点からは、ヨシイエさんはっきり言いますが



「低価格は、美徳でもなんでもない。カスだ」



と定義できます。



 低価格というのは、「そうせざるを得ない、他に価値をつけられないゆえの言い訳と謝罪」のようなもので、低価格路線を歩むことは、いずれ死を意味すると考えます。



 ヤ○ー○デンキっ♪


みたいに。




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 そうなると、アメリカ型資本主義の成立と成長の姿を歴史的にみていくと


「アメリカでイノベーションが起き、日本がノックダウン生産でパクり、それが中国へ移り、これからはさらにどうなるかわからん」


というあたりも読み解けるのではないでしょうか。


 とすれば、資本主義をハックするには、規模の大小はともかく



「何かイノベーディブな商材を創造せよ!」


ということなんだとわかります。それが僕たち私たちが生き延びる術です。




 そうでなくては、私たちはいずれ「アジア人よりさらに低い賃金で働かなくてはならない」のは必然だからです。


(もう、そうなりはじめているけどね)




 
















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