2015年12月8日火曜日
ギラン・バレー症候群 フィッシャー症候群 闘病日記(詳細版)
前回は「ギラン・バレー症候群」「フィッシャー症候群」の概略と、わたくし吉家の場合におきた障害やトラブルについて書きましたが、今回は時系列で見た「闘病日記」を書いておこうと思います。
ギラン・バレー症候群の特徴に、
「悪い方向へ進行する日数が最大二週間」
ということがあります。つまり、いつまでもどんどんひどくなるのではなく、発症から2週間たてば、それ以上は進行せずそこで「底」になる、ということなので、日数を勘案して状態がどのように推移しているかを考えれば、重篤な状態になるのかそうでないのかある程度自分でも判断することができると思うわけです。
逆に言えば、この病気は最初はどの診療科に行っても「なんだかよくわからん」状態で診断がつきませんので、
「早く、ギラン・バレーだと医者に気付いてもらって、適切な病院へと移してもらう」
ことが大事だと思います。
そのあたりを踏まえて、時系列で病気の進行をまとめてみましょう。
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<違和感を感じるまで>
約1週間程度、ふつうの風邪をひいており、少し鼻水が出たり、のどが痛かったりした。
(結果として、この風邪が、ギラン・バレー症候群の免疫機能がおかしくなる要因となった)
この1週間のほぼ最終日は、かなり喉が痛く、自分でも腫れているような感覚があり、「扁桃腺炎になったのではないか?」と思うほどだった。
<違和感を感じ始めてから>
(実質的に、ここからがギラン・バレー発症と思われる)
【1日目】 夜、排尿時に男性器の先に軽いしびれのようなものを感じる。最初に気付いた違和感。
【2日目】 朝から左手の薬指と小指に軽いしびれ感を覚える。昨日の男性器に加えて、放屁の際に、肛門に違和感を感じる。おそらく肛門のまわりの皮膚の神経もしびれている、と感じる。
【3日目】 左手から右手にもしびれを感じる。出勤して仕事をしていたが、唇の周りの筋肉が少しおかしいらしく、ろれつが回っていないように感じる。念のため、周囲の人に「きちんと喋れているか?どこかおかしくないか?」と聞くと、「少し変だ」という回答。
【4日目(日曜日)】 日曜日だったが、診療している病院で受診。脳梗塞などの疑いがないかどうか、頭部CTを受ける。しかし、頭部については問題がなかったため、脳に障害はないと推定。翌日の通常の診療科、とくに整形などで、脊髄などを調べてもらうように指示をうける。
【5日目】 整形外科受診、頚部レントゲンの結果問題なし。最速のMRI予約を取ってもらい、翌日の午後の予定となる。
【7日目】 MRI受診の結果、こちらも問題なし。担当医は「脳も脊髄も問題がなく、自分の領域で考えられることはすべて検討したがおそらく違う。最速で「神経内科」を受診したほうがいい。おそらく神経細胞そのものに何か問題が起きているので、私はギラン・バレーを疑う」と判断。
その場で受け入れ可能な病院(県内数箇所)に照会をかけてくれる。
受け入れ病院決定。妻の車で搬送される。救急扱い。
このころには、手足のしびれと全身のこわばりを感じるようになっていた。左目の奥が重く、頭痛のような痛みを覚える。
たとえて言えば『インフルエンザに罹患して、全身しんどくて体もうごかないのに、熱が全くない』感じ。
夕刻、救急で入院。神経内科によりギラン・バレー症候群の疑いあり。入院予定2週間。
すでに、この時点で、腱反射は四肢とも消失。医師が叩いても無反応。
【8日目・入院2日目】 脊髄より髄液を抜いて検査。この検査の数値で、ギランバレーの判断ができる。筋電図検査・肺活量検査・レントゲン検査。検査のための移動はすべて車イスにて。
午後より免疫グロブリン大量投与療法開始。第一日。
呼吸困難になる恐れがあるということで、指先に常時酸素計を取り付けられる。
【9日目・入院3日目】 症状は最も重篤に。ほとんど動けず寝ている状態。トイレにだけは立って行けるが、かなりしんどいことには変わりなし。
全身しびれ、体のこわばり、左目周囲は下垂(下がる)、目の奥は痛い、ろれつ回らず。
視野の検査を何度もされるが、特に左上部と中央上部に左目が行かない。視野が狭くなるのではなく、眼球の運動範囲に障害あり。(この現象が、フィッシャー症候群に特有の症例だという)
免疫グロブリン第二日。
【10日目・入院4日目】 免疫グロブリン第三日。救急扱い終わり。呼吸困難などの重篤な状態にならない様子なので、一般病棟へ移動する。この時点で酸素計外される。
【11日目・入院5日目】 免疫グロブリン第四日。目の痛みなどは多少取れ、体感的には朝から体調はよい。手のしびれはあるが、足のしびれが明らかに現象した感覚。自分の肌が戻ってきたような感じ。
【12日目・入院6日目】 免疫グロブリン第五日。最終日。投与量は、投与2日目~5日目は120mL/hにて瓶になった点滴を毎日10本。初日はショック防止のため少し少なかったか?記憶せず。
朝から体感的な体調はよい。
字は思い通りに書けず、目の焦点はあやしいものの、頭ははっきりしている。全身にこわばりあり。しびれは心もちマシになっているがまだ両手にある。
【13日目・入院7日目】 昨日とほぼ同様。手のしびれ。体のこわばり。目の焦点が少し合ってくる。夜になると手のしびれが、正座をしていて足のしびれが切れた時のように、少し「感触・感覚のちがうしびれ方に変化した」ように感じる。投与療法は、昨日まで。薬はなし。
【14日目・入院8日目】 全体的にしびれ方が薄まったように感じる。つめの先をずっと押されているような圧力を受けた感覚に変化する。リハビリ開始。からだ各部の機能を調べる検査の動作をいくつか行う。
外観的、運動機能的には問題なしとの判断。体力・筋力も落ちてはいない、とのこと。左目はかなりマシになったが、まだ上部と左上部については眼球がついていかないとの診断。
【15日目・入院9日目】 朝起床時に、体のこわばりがかなり減っていることに気付く。手のしびれは継続してある。 その他、足などには違和感なし。体調よし。リハビリ2日目、すべて問題なし。
【16日目・入院10日目】 朝の診察で、翌日の退院が決定。診察で確認されたことは、眼球運動の様子と腱反射。眼球はほぼ正常に左上も、上もかなりの範囲が可動している、とのこと。
腱反射、四肢とも戻る。反応あり。
【17日目・入院11日目・退院日】 手のしびれは少し残っているが、その他は良好。
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以上が、発症から退院までの大まかな記録です。
現在、12月8日で、退院から約10日くらい経過したところですが、現時点での体調は、
○視覚にはほとんど問題を感じない。
○車の運転は、長時間だとかなり疲れるが、1時間までなら少し疲労を感じるに留まる。
○全身にはしびれは感じない。(ごくごく薄い違和感があるような、ないような、というレベル)
○手のしびれは極小だが、手の皮が分厚くなったような、しもやけになって手が膨れているような感覚だけは残っている。
○モノを持ったり、動かしたりするような動作をすると、かなり早い段階で「息切れするような、疲労を感じるような状態に」なる。実際に、呼吸困難になるほど息切れするわけではないが、とても疲れた感覚になる。
○仕事中は、午前中は問題ないが、午後になると疲労をかなり感じる。
という状態です。損傷をうけた神経細胞が、完全にもとに戻っているわけではなさそうです。
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以上のような私の体験ですが、専門医と何度も話したことによると、「もっとも軽症」の部類に入るそうです。
まず、進行が重篤でない段階で底を迎えたこと。それから、筋力や神経の損傷が最小限で済んでいること。などが良かった点だとされました。
ふつう、入院によって落ちた筋力を取り戻すには、実入院時間の三倍以上かかるそうですので、入院している段階で、各種体力測定に合格していたことは、回復も最速でいけることを意味します。
ギラン・バレー症候群の重篤な病例では、人工呼吸器が必要になったり、入院期間が3ヶ月から半年に及ぶものもあるということでしたので、軽症で済んでよかった、ということになります。
実際、おなじ病棟に新しくギランバレーの患者さんが入ってこられましたが、彼の場合は顔面の神経麻痺などもあり、もう少し長くかかりそうだとおっしゃっておられました。
何かの参考になれば幸いです。お大事になさってください。
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こんばんは
返信削除71歳の母がギランバレー症候群、フィッシャー症候群と診断されました。
脳幹梗塞の診断からの再診断でした。
呼吸器を着ける直前の重症な状態です。
日に日に悪化し入院3日目でようやく診断されました。
ここでブログを拝見させてもらい勇気がでました。ありがとうございます。