ここのところ、3万円のコンピュータの話題でアクセスが多く、「めっきりパソコンも安くなったなあ」ということで感慨深いものがあるわけですが、実はまともに激安PCのベンチマークを計測すると、数年前のマシンよりもはるかに
遅い
ものが新品・新製品として販売されていることがわかってきました。
これは別に、数年前のパソコンの廉価版が新しく出ているというわけではなく、簡単に言えば、CPUのスペックなんてとうに人間の処理能力をはるかに超えているので、もう何年もコンピュータやパソコンは進化していないということが明らかになっているわけです。
コンピュータの進化が止まった、ということは既にネットでもけっこうネタになっていて、恐ろしいことにスマホやタブレットが実用に耐えうるまで進化してしまったので、
「もう、若い人は逆にパソコンが使えない」
なんて言われているそうで(^^;
たしかに、彼らはフリック入力で長文だって打ちますし、業務に付くまではワープロも表計算も使わなくても困らないわけで。
結局、コンピュータの究極の役割は「ブラウザ」でしかないのかもしれません。
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さて、そういうわけで、DOSの頃からコンピュータをいじってきた生き証人であるヨシイエ的に、コンピュータで
何ができるようになったのか
と
何が進んでいないのか
をこの際明らかにしてしまおうと思いつきました。以下のコンピュータにまつわる各時代を振り返ってもらえれば、
パソコン・コンピュータって結局何なのか
という哲学的な問いへの答えがなんとなくわかると思います。
コンピュータの進化 ~何ができるようになったのか、何があんまり変わらないのか~
【CPU】80286の時代 【OS】DOS
ワープロ一太郎・表計算ロータス123
グラフィック16色・FM音源/BEEP音 2Dゲーム
FDD RS232C パラレル端子
【CPU】386の時代 【OS】DOS+windows3.0
ワープロ一太郎・表計算ロータス123
グラフィック256色・FM音源/PCM音源 2Dゲーム
FDD HDD RS232C パラレル端子
【CPU】486の時代 【OS】DOS+windows3.1
ワープロ一太郎・表計算ロータス123
ブラウザネットスケープ(ダイヤルアップ接続)
メーラーいろいろ
グラフィック1677万色 FM音源/PCM音源/MIDI音源
FDD HDD MO CDROM RS232C パラレル端子 SCSI
【CPU】Pentiumの時代 【OS】Windows95
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザIE メーラーOutlookExpress
グラフィック1677万色 3Dゲーム PCM音源/MIDI音源
FDD HDD CDROM RS232C パラレル端子 SCSI
【CPU】Pentium2の時代 【OS】windows98/NT
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザIE メーラーOutlookExpress
グラフィック1677万色 3Dゲーム PCM音源/ソフトウエアMIDI
FDD HDD CDROM USB-MBレベル RS232C パラレル端子 SCSI
【CPU】Pentium3の時代 【OS】windowsMe/2000
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザIE/FF メーラーOutlook
グラフィック1677万色 3Dゲーム 音源について意識する必要なし
IEEE DV端子とSD動画編集
FDD HDD CDROM DVDROM USB-MBレベル RS232C パラレル端子 SCSI
【CPU】Pentium4の時代 【OS】windowsXP~
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザIE/FF Webメールが台頭
グラフィック1677万色 3Dゲーム 音源について意識する必要なし
IEEE DV端子とSD動画編集
HDD CDROM DVDROM USB-GBレベル(USB2)
【CPU】Coreシリーズの時代 【OS】windowsVista~windows7
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザChrome Webメールへ移行
グラフィック1677万色 ゲームはスマホ・タブレットへ
HD動画編集
HDD CDROM DVDROM USB-GBレベル(USB2)
【CPU】iシリーズの時代 【OS】windows8~10
ワープロWord・表計算EXCEL・プレゼンPowerPoint
ブラウザChrome Webメール主流
グラフィック1677万色 ゲームはスマホ・タブレットへ
HD~4K動画編集 動画はスマホ・タブレットへ
HDD SSD CDROM DVDROM BD-ROM USB-GBレベル(USB3)
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以上のように、CPUの進化とOSの進化、さらにアプリケーションとして何ができるようになったかをまとめてみました。
さらに、グラフィックやサウンド、外部接続端子の推移もまとめています。
これによって、ここ20数年くらいの一般的なパソコンの進化の動向がわかると思います。
(ただし、各要素の切り分けはざっくりです。高性能モデルか否かによって、搭載された機能は変動しますが、おおまかな進化と捉えてください)
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こうして概観すると、面白い分析が出せると思います。
<結論>
ビジネス文書を作る(ワープロ・表計算)だけなら286時代でも十分だった。
音楽や静止画を扱うには、Pentium2から3程度でよかった。
インターネットとブラウザの基本は、Windows95~98時代にほぼ確立した。
Pentium3から4で出来るようになったのは、SD動画の編集作業。
Coreシリーズ以降出来るようになったのはHD動画の編集作業。
iシリーズ以降出来るようになったのは4K動画の編集作業。
高性能PCが可能にしているのは、すでに高密度動画(3D描画含む)の編集だけにすぎない。
要するに、サラリーマンが仕事で使う分には、286で十分であり、この20年間はオーバースペック祭りです。
ぐぐっと進化したのはマルチメディア機能で、これはたしかに素晴らしい。
最近の進化は、もはや情報量の多い「動画のきめ細やかさ」だけ。
・・・となると、パソコンの進化で喜ばしいのはクリエータだけで、ほかの人にとっては実はどうでもいい機能ばっかり、ということになりますね。
ネットを見るとかツイッターするとか、そういうデータ閲覧はスマホ・タブレットで十分ですから、パソコンは確かに不要です。
逆にいえば、直近の進化が「動画の画素数の増加」に過ぎないので、あれば、おそろしいけれどもはやコンピュータは新しい何ものかを生み出すことはない、のかもしれません。
iphoneなんかも、実際に持っていて感じますが、CPUの性能バランスとサクサク度合い、できることできないことなどを勘案すると、
iphone5が一応の完成形
だと言えると思います。
(ソフトウエア的には、4Sでほぼスタイルは完成ですが、CPUがおっついていないのでどうしても遅い場面が多々見受けられます)
iphone5Sも6も、これから出るであろう6Sも、基本的には5が速くなっただけ、と言っても過言ではありません。
Retina(網膜)ディスプレイが登場したときに、まっさきに思ったのは、
「人間の網膜で感知できないレベルの緻密さだと言うのであれば、もうそれ以上画素数が細かくなっても意味ないじゃん」
ということでした。小型液晶は、すでにオーバースペックの領域に突入したわけです。
もっとも、人間が文字を打つ速度に対していえば、286時代ですでに「人間の速度をオーバースペックしており、コンピュータがお待ちになってた」わけで(笑)
専門的な言葉で言えば、もうあの頃からすでにウエイトがかかってたのですね。
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こんなことを考え続けていると、昭和20年からこの平成30年頃までというのは、日本人にとって
「かつてないほど、幸福で進歩的だった時代」
だと言えるのかもしれません。
まず、戦争がなく、経済成長があり、科学技術も進歩し続けた時代、というわけです。
高度成長万歳、バブル景気万歳、自動車の進化万歳、コンピュータの進化万歳!
そしていよいよ、経済的にも天井、人口も天井、景気も天井、金利は底値、コンピュータもこれ以上進化しないし、燃費も最高だし、どう考えても自家用飛行機が普及するとは思えないし、ボクらはこれ以上豊かになるとは思えない!
だとすれば、21世紀、平成27年前後は、特に日本人にとっては歴史上最高に素晴らしい期間を生きてることになるわけです。
果たして、ぼくやわたしやあなたに、そんな自覚と感謝の念があるのかどうか!
「バブルの頃はよかったぜー」と嘯いているおっさんたちもすでに初老にさしかかっているわけで、「二回目の東京オリンピックで、日本はいよいよ終わったよな」とならないように、頑張りたいものですね(苦笑)
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