この教科書の第一章では、あなたがこの世界に生まれてきたことは、とても稀有なことで、あなたに関わるすべてのご先祖様が、なぜか「全員、生き延びることに成功した」からあなたが今ここに生きているのだ、ということをお伝えしたと思います。
その意味では、人の人生というものは「その人のスパン」で考えると幸せであったとか、充実していたとか、あるいは逆に苦労の連続だったとか不幸だったといった波はありますが、先祖とあなたと子孫という大きな連続の中で考えると、結局は
「生き延びたか、どこかで滅亡したか」
の2つしかないことにだんだん気付いてゆくことになるわけです。
もちろん、滅亡したらその時点でジ・エンドです。しかし、長男なのか次男なのか、あるいは女の子の側で継いでゆくのかはわかりませんが、家系とDNAは「子孫」という形で次世代へと受け継いでゆくのが
「人類の大きな生き方」
だと言わずにはいられないのです。
結果として、今あなたにどんな苦しみがあったり、どんな試練があったとしても、実はあなたは「ご先祖様から生き延びてきた貴重な子孫の1人であって、滅亡から逃れて繋いできた命のリレーの末裔なのだ、ということを知っておいてほしいと思います。
そしてまた、あなたの使命がもしあるとするならば、あなたが伝えられた命のリレーを次の世代に繋ぐことだと言えるかもしれません。
「自分は子供なんてどうでもいい、自分が幸せであればそれでいい」
と今は思うかもしれません。しかし、そういった考えの持ち主は、神様の目線から見れば、
「残念だが、その考え方だと最終的には君の一族は滅亡させるしかないなあ」
ということになるわけです。
一族の滅亡!生きてきた証が途絶えること!後には何も残らない!それはちょっと恐ろしいことでもありますね。
もし、あなたが大工さんであれば、法隆寺のような後世に残る建築物を遺して死んでゆくことができるかもしれません。また、あなたが何か新しい発見や発明をするのであれば、それは次の世代へと受け継がれるかもしれません。
エジソンとか、本田宗一郎とか、リンカーンとか西郷隆盛とか、「何か大きなことをして、名前を残そう」と考える人もいるでしょう。
しかし、建築物などの作られたものはいずれ消えてなくなる運命にあります。何千年持つかもしれませんが、何万年は持ちません。
偉人としての名前も、数百年は持ちこたえますが、数千年は厳しいでしょう。ヤマトタケルなんて人がいたとされていますが、ほとんどみなさんにとっては「いたかいないかわからない神話レベルの人」ということになります。名前を残しても、いつかは忘れ去られます。
つまり、何かを残すということは、究極的には難しいことなのです。
ところが、あなたには何千年前の先祖が確実に存在しています。何万年前の先祖も確実に存在しています。何億年前でもそうです。さすがに、それくらい前になると人の姿をしていたかどうかは怪しくなってきますが。
そうなのです。子孫を残すということは、ほとんどすべての人に公平に与えられた「何かを未来に残す」ためのそれほど難しくない方法だということになります。
少なくとも、偉人伝に載るような人物になるよりかは、父親や母親になるほうがはるかに簡単なことだと思います。
もちろん、こどもに恵まれない人もいるので、それが人生のすべてだとは言いません。しかし、人生のうちの大きなウエイトを占めている大切なことだ、ということも忘れてはいけません。
悲しいことですが、こどもに恵まれない人は、「子孫滅亡の運命の下にある」ということも、ある意味では事実ですから、その分しっかりと自分の人生を生きてほしいと私は思います。
さて、これまでの歴史を振り返ってください。飢饉もありました。戦争もありました。苦しみや悲しみはたくさんあったけれど、あなたの先祖たちはなんとか頑張って生き延びてきました。
あなたはその子孫ですから、極めて少ない生存のチャンスをかいくぐってきた「運と実力を兼ね備えた」者であるはずです。
あなたの先祖たちは、あなたを応援し、生かすために生き延びてきたわけです。あなたが生きていることそのものが、あなたに力強い味方が存在したことの証です。
あなたの先祖がどこかで諦めていたり、放り出したり、逃げ出したりしたなら、あなたは生まれていません。
あなたは数百年前に飢え死にして命のリレーを終えていたことでしょう。
あなたは数十年前に戦争で命を奪われていたことでしょう。
あなたは数千年前の災害で、滅亡していたことでしょう。
しかし、実際にはそうではなく、あなたは生き延びてきたからこそここに存在しているのです。
だから、あなたは「諦めたり、逃げ出したりしてはいけない」のです。もちろん、常に戦うことを薦めているのではありません。あえて言いますが、どんな手を使ってでも
「生き延びて」
ほしいのです。
そして、あなた自身とあなたの未来の「滅亡」を防ぎましょう。
あなたの名前を子孫は忘れてしまうかもしれません。でも、DNAにはちゃんと刻まれて永遠に残ってゆくのです。
先祖の名前をあなたは知らないと思います。でも、あなたの中にDNAとしてちゃんと刻まれていることも事実です。
こうした事実をあなたの心の軸足として、こころのベースとして生きてほしいなあ、と私は思います。
これだけは、どんな宗教や神様や、どんな思想や政治にも惑わされない事実だからです。
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