昨日に大きなニュースになっていた「老人ホーム突き落とし殺人事件」の犯人の自供ですが、さっそく中村淳彦さんが
「崩壊する介護現場の実態」
を挙げておられます。
現代ビジネスさんより 「ルポ 地獄の介護現場」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47873
まあ、ひどいもんです。
私は個人的に「介護と保育」の現場はこれから虐待と憤死まみれになってゆくと思っています。
その理由はとても簡単で、介護職と保育職は、
「給料が安く、人材が不足している」
からです。それ以上でもそれ以下でもありません。
さて、この問題をきちんと理解するためには、すでに問題が山積しているといわれる
「学校現場」と比較
してみればわかります。
今回、老人ホームでは、「入居者が3人立て続けにベランダから突き落とされる」という事例が発生しました。
しかし、学校で児童生徒がベランダから3人も突き落とされることはありません。
なぜ学校では起きないのか、あるいはなぜ老人ホームでは起きるのか。
そこに比較の意味があるのです。
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まず、基本的に大の大人に対して、老人も児童生徒も園児たちも、全員大枠では弱者に当たります。
その弱者のうち、老人と園児が虐待されて、児童生徒はあまり教師に虐待されない理由は何故でしょうか?
これも理由は簡単です。
「老人と園児はまともに喋れないから、虐待の事実を証言しにくい」
からです。児童生徒は、ある程度論理的に話すことができます。なので虐待するとバレてしまう。
では、もうひとつ事例を挙げて。
まともに喋れない、ということを議論するなら、たいへん失礼で申し上げにくいものの、たとえば「養護学校・特別な教育を受けておられる」児童生徒ならどうなんだ、という意見もあるでしょう。
もしかすると、私たちの知らないところで、特別支援学校では虐待が日常茶飯事なのではないか?という疑問が起きても仕方ないかもしれません。
彼らの中には、外部から見てきちんと証言しにくいのではないか、と思う方もおられるはずだからです。
しかし、現実には、特別支援学校では、児童生徒1人に対して3人くらいの教師がつきますから、まず、虐待が起こることはありません。
おなじことを取り入れるならば、
「老人ホームで、老人1人あたり3人の職員とはいわずとも、1人あたり1人の職員数でもあれば、ほぼ虐待は起きない」
と言う事ができるのです。
これは過労負担の問題です。(なので、給与面の待遇とは別の話です)
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さて、利用者と職員の人員割合について(つまりは過労負担の割合について)考えましたが、通常の学校では、
「40人くらいに対して1人で面倒を見る」
わけですから、本来の比率では相当なものがあります。しかし、学校の先生は、児童生徒をベランダから突き落としはしないし、虐待事件が起こることはまれです。
なぜか。そこにはもう一つの理由があります。
ご存知のように、学校教職員は、教員免許という資格を取らされています。しかし、免許状を持っているだけではダメで、採用試験というそれ以上に難関の試験をくぐって採用に至ります。
その結果、教職員の給与は、現在では民間平均よりも高い水準で推移しており、簡単にいえば
「厳選された人材が職についており、高給である」
ということに尽きるのです。
そのため、感情的に行動する職員よりもある程度は自制が効きます。
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ということは、介護や保育の現場で虐待を防止するには、
「厳選された人材を雇う」
ことと、
「利用者あたりの職員数を増やす」
ことが解決策だとわかります。
しかし、こんなことは当たり前で、そんなことは言われんでもわかっとるわ!というのがオチですから、それならそれもそのはず、
「つまり、介護施設と保育施設の虐待と憤死はこれから増え続ける」
ということも当たり前なのです。
どうにもなりません。
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とすれば、すなわち。
こうした状況から逃れるためにどうしたらいいかは簡単です。一昔前のニューヨークの地下鉄に誰も乗りたがらなかったように、
自衛するには、保育所に入れない、介護施設に入れない
手はずを整えていかねばならない、ということです。ああ、おそろしい。
というわけで、私の子供達は専業主婦の妻に面倒をみてもらい、年老いた両親は最後まで現役で働いていただいて、現場で倒れるように殉職してもらわねばなりません。ああ、おそろしい。
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