私の知り合いに、まだ30代なのに
20年で20台の車を乗り継いだ男
というおもしろい人物がいたので、ちょっと話を聞かせてもらった次第。
ワタクシ吉家も、車は嫌いじゃないので、小さいころからディーラーに勝手に遊びに行っては、カタログをもらって帰ってきてニヤニヤするという生き方をしていましたが、それでも実生活となると
免許を取って以来、まだ4台ぐらいしか車を乗り継いでいない
ので、たいしたことはありません。
さて、その20台男の方。現在まだ40歳に届いておらず、18で免許を取って以来、毎年のように車を乗り換えては、クルマ好きを謳歌しておられたそうです。
ちなみに、乗ってきた車遍歴の数々といえば
○BMW
○ベンツSLK
○逆輸入アコード
○シーマ
といったゴージャスな系統から、
○ワゴンR
○セルボ
○ミラ
といった明らかに庶民な系統まで、幅広く乗っておられるのがおもしろいところ。
しかしまあ、一体全体、どういう風に車を乗り継げばそういうことになるのか、という経緯と、20台も車に乗り換えたから言える
ズバリ、人にとって車とは何か!
という哲学的な問いへの答えまで、思わずインタビューしまくったので、その内容を一挙公開したいと思います。
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吉: そもそも、どうしてそんなに車をたくさん乗り継ぐことになったのですか?
男: いやー。もちろん、車好きだ、ってのもあるんだけど。僕らのように、たとえば進学とかで都会に出ずに田舎に残ってしまったとか、あるいは戻ってきた若者にとっては、一番お金を使う対象がクルマだった、という時代があったわけですよ。
吉: たしかに、一昔前まではちょっと田舎だと地元の男子がけっこうイイ車に乗ってたり、VIPカーかなんかが流行して、やんちゃな男子が車高の低い車に乗ってたりした時代がありましたね。
男: そうそう、それそれ。そういう時代の空気もあって、ご多分に漏れず僕も多少はその道へ進んじゃったんだけれども、そもそもは都会に出た時にまとまったお金を収入にできたこともあって、最初にちょっといいクルマを買ってしまったのが、遍歴のはじまりだったんですね。
吉: 最初に買ったのはどんなクルマだったんですか?
男: うん、たぶん最初はBMWかベンツだったと思うんだけど、最初に高級車に手を出すと、いろいろとおもしろいことが起きるわけ。
吉: おもしろいことですか?
男: そう。たとえばね、高級車に10代のおにいちゃんが手を出すと、元々が身分不相応だから、自分の持ってるお金を全部カッコイイ車につぎ込んじゃったりするわけですよ。すると、大変なことが起きるの。
吉: 大変なこと。
男: そう!大人だったら「維持費」という大枠で考えられるんだけど、発想が幼いからね、毎年5月にやってくる自動車税とかが、「めっちゃ高い」わけ(笑)
吉: まあ、高級車に乗ってればそうでしょうね。
男: だから、税金がかかってくるギリギリのところで売ってしまうの!
吉: え?売ってしまうんですか?一年乗らないの?
男: そうそう。一年乗ってしまうと税金を払わなきゃならないから、売ってまた次のイイ車を買おうとするわけ。
吉: それでも、さずがに売ってしまうと原資が目減りするんじゃないですか?
男: もちろん買値より下がりますよ。でも、間違えたらいけないのは、僕は別に投資家ではないので、車で利ざやを稼ぐとかじゃぜんぜんないんです。結局、「かっこいい車に、いろいろ乗ってみたい」が本来の目的だから、ちょっと税金が浮いた分と、それまでに稼いでちょっと増えてた分を乗っけてまた中古の高級車を買うわけですよ(笑)
吉: なるほど、それで次々高級車とかVIPカーを転がしてゆくことができるんですね。
男: そうそう!だから最初に数百万の外車を買うでしょ?すると、短い期間で乗り換えてゆくと、少しずつ原資が目減りするんだけど、もとの金額が大きいもんだから、意外と長い期間持ちこたえるわけ。もちろん、もう少し上乗せしたい場合は、仕事頑張って稼げば、その差額が貯るでしょ?
吉: でもまた、全額ぶちこむんですね(苦笑)
男: それの繰り返し(笑)
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しかし、高級車を乗り回すだけでは、思いもよらない苦労が待っているらしい。それが、新たに車を増やす原因になるというのだが・・・。
男: ところがですよ。毎日ベンツやBMWに乗ってて、困ることが起きるんです。
吉: 困ること。うーん、なんでしょう。
男: ヤンキーといえばわかりやすいと思うけど、そういうジャンルだと車はどうなってる?
吉: まあ、車高は低いし、ガラスは黒いし、車体はでかいとかそういうことですかね?
男: そこですよ! 踏みきりで底は擦るし、スーパーにもコンビニにも行きづらくて、日常生活がだんだんおっくうになるんです。
吉: まあ、今のママたちが「ミニバンでかいわー」って言いながら、スーパー行きづらいのと同じですね。
男: なので、その解決策として、ワゴンRを買っちゃう(笑)激安ボロボロの。
吉: なるほど!それで車が増えてゆくわけ。
男: というわけで20代のころは、金があるんだかないんだかよくわからないまま2台持ちを続けてましたね。もちろん、途中でコロコロ売ったり、ワゴンRがこわれてミニカになったり、後輩に売ったり、ということが繰り替えされてあっというまに十台くらいにはなったという。
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吉: ちなみに一番高かった車はどんなのでした?
男: ベンツSLKはすごかったねー。本来1000万の車でしょ?中古でも300万ぐらいしたはず。あ、でもこれは本来の値段で高いやつね。僕が実際に一番お金を使ったのは、やっぱり最初の原資になった車かな(笑)
吉: SLKだと、やっぱりコンビニにはいけませんよね?
男: もちろん!だからその時もたぶん別のワゴンRを買ってた(爆)ワゴンRはすばらしいクルマですよ。あんなに使い勝手がいい車はない。
吉: じゃあ、ワゴンRだけ乗ればいいじゃないですか(笑)
男: そこよ!究極的にはぶっちゃけそうだと思う。でもまあ、そのワゴンRと対照的なんだけど、SLKに乗ったおかげで学んだこともあったのです。
吉: どんなことですか?
男: あるとき、ちょっとコンピュータがおかしくなったらしくて、車が不調になったの。で、修理に持っていったら、基盤の交換に、最大いくらかかるって言われたと思う?
吉: 10万とか20万とか?
男: それが!120万って言われたのですよ!!
吉: 払えるか!って感じですね。われわれ庶民には(苦笑)
男: まさにそれ!でもそこではたと気がついた。僕は300万で買ってるけど、やっぱりこれは本来1000万出せる人のクルマだから、修理費も120万になる、ってこと。
吉: 本当の金持ち用の車はやっぱり違う、と。
男: そういうことですよ。まあ、そんな頃から結婚したりもしたので、徐々にファミリーカーに移ったり、そうなると乗る年数も長くなったりしてきたので、今はずいぶん落ち着いています。
吉: 税金前に売り飛ばしたりは、
男: まったくしなくなりました(笑)なので、20台乗り継いだのは前半のほうが、激しくひどかった(笑)後半は意外とまともですよ。
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というわけで、高級車から庶民のクルマまで、それぞれ良し悪しをいろいろと聞いたのですが、それはそこ、一長一短があるわけで。
しかし、究極的には、こんな話が飛び出しました。
吉: まあ、いろいろ聞きましたが、「あなたにとってクルマとは」という問いをぶつけてみたいと思います。
男: うーん、一言でいえば「女性」ね。
吉: 女性?!・・・新しいのに乗り換えることが女性に通じるとか、そういう系ですか?
男: いやいやいや!ぜんぜん意味が違って、そもそもそんなヤンチャな車に乗るってことは、彼女がいるからカッコつけたいわけですよ。
吉: ああなるほど!女の子を横に載せるために!
男: そう!しかし、恐ろしいことが起きるのです。・・・たとえば、その女の子と別れるとするでしょ?
吉: はあ。
男: すると、派手なクルマとか、珍しい車に乗ってるもんだから、「あいつ、昨日どこそこにいたぞ」とか「違う女の子が横に乗ってた」とか、そういう話がすぐにバレるわけですよ!
吉: なーるほど!なので、その車に乗ってると、GPSがつけられた状態になるってことですか!
男: プライバシーも何も、そのエリアでその車に乗ってるのは僕だけなんだから(爆)
吉: それで、別れとともに高級車とワゴンRを乗り継ぐはめに!
男: そう、ワゴンRは必須ですよ(笑)
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というわけで、あらためてクルマとは何か。今度はまじめに考えました。
吉: まあ、女の子に魅せるためのクルマも大事だけれども、本質的にクルマってなんなんでしょうね。
男: たしかに、虚栄心を満たすための道具としてのクルマは、あるんだと思います。
吉: それは、ヴィトンのバッグでもロレックスでもそうですね。
男: でも、究極的に車が何のために必要かと言えば、やっぱりタイヤがあって移動する手段ですから。
吉: 高級車を乗り継いだ結果でも、答えはそんなもんなんですか?
男: そんなもんです(笑)
吉: ということは、まあタイヤさえついてりゃ、なんでもいいってことですか?
男: ですね(爆) 高級車や外車のよくできているところや、作りがこうしっかりしているなんて例はいくらでも挙げられるんですが、逆にいえば、それはSLKの基盤の話じゃないけど、「お金がかかっていて、その分しっかりしている」とか「費用さえだせば、いいものは手に入る」ってことでもあるわけです。
吉: 逆に、日本車のいいところは、もっと低いレベルからの品質のよさ、ってことですね。
男: そうですね。だから10万円の軽でも、それが10万キロ超えてても、全然平気で壊れもしないわけです。
吉: ということは、つまり、結局アレってことなんですね。
男: そう!ボロボロのワゴンRでいい(笑)
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結論、車はうごけばいいのです!
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