2015年10月5日月曜日

【学校をめぐる諸問題01】なぜ学校教師は部活動をやめられないのか?!

 

 ワシの現在のテーマではないのですが、「学校教育」をめぐる諸問題について、若手の学校職員の間ではあまり知られていないことなどもあるらしいので、書き留めておくことにしました。


 いちおう、学校教育にやたら詳しいヨシイエの妄言ということで、軽く読み流していただければ幸いです。


 ちなみに、これまでもチクチク書いてますので、ご興味があればどうぞ。






『いじめを解決する画期的な方法」
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2015/07/blog-post_14.html


『いじめを解決する画期的な方法 つづき』
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2015/07/blog-post_15.html


『なぜ学校は機能しなくなったのか』
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2015/07/blog-post_16.html




<ニュースを読む>教諭への暴行など逮捕相次ぐ 警察介入是非で議論
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2014/08/blog-post_19.html




『学校はブラック職場なのではなく「オワコン」なのである』
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2014/06/blog-post_5968.html


『担任がこどもの入学式に出て欠席な件』
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2014/04/blog-post_12.html


『なぜ公募校長ではうまくいかないのか』
http://kotaro-yoshiie.blogspot.jp/2014/03/blog-post_20.html




 ・・・いやあ、ワシのテーマではないとか言いながら、けっこう書いてるやん!!


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 それはさておき、まず、ネットで「部活の担任をもつことについてどうのこうの」ということが議論されているらしいので、この件について明確で明解な事実をお伝えしておこうと思います。


 まあ、学校の先生を取り巻く諸問題にはいろいろありますが、上の件については


「そもそも、残業や日祝出勤をしてまで、学校の先生が部活の顧問を持たされるのはどないやねん」


という話がある、というところをスタートといたしましょう。


 この議論、教師の人事的ないろんな立場から議論することは可能なのですが、そういうのはもうネットで出尽くしていると思うので、ヨシイエはそこらへんはさらっと流します。


例)教師は残業代として4%加算されて給料を貰っているからうんぬんとか。

例)日曜日の部活手当てって、4時間指導して500円とかそんなんだぞボケ、とか。(時給なんぼやねんワラ)

例)そもそも、校長が残業を命じることをできるのは、会議と事件と修学旅行と行事くらいのもんだとか。



 他にもきっと、いろんなことが根深く横たわっていると思いますが、残念ながら、部活の指導から教師が解放されることはしばらくありません。


 なぜか?


 そこには、大きな、それは大きな恐ろしい人間の心の闇が潜んでいるのです。なーんて。



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 まじめにお話をすると、学校教育において、実は


「学校の先生を人事上評価する方法は、実はたった一つしかない」


という驚愕の事実があるのです。そこを忘れては、この話はそもそも成り立ちません。



 では、人事上、どのように教師を評価できるのか、考えてみましょう。


 表向きには、以下のような方法で、上司である校長は部下である教師を評価できうると思います。



①授業が上手か下手か。

②公務分掌(組織の仕事)をきちんとこなしているかどうか。

③クラスや学年といった生徒をきちんと指導できているかどうか。



 ふつーの人は、たぶん先生方はこんな方法で評価されているんだろうね~、と思いがちです。現役の教師でさえ、上記のような項目で自分は評価されていると思っていると誤解しています。


 たしかに、上記3点のような仕事ができるかどうかは、学校運営上とても大事なことです。これらがきちんと出来ている教師は優秀だし、出来ていない教師は努力する必要があるでしょう。



 しかし、ここからまず驚愕のポイントその1です!!!


 耳の穴かっぽじって良く聞いてください!!




 上の3点について、「良く仕事ができる先生」も、「あまり仕事ができない先生」の2人が存在したとします。


 たしかに、学校長のメモ的には、この2人の成績は異なるかもしれません。


 しかし、恐ろしいことに、この2人の教師の年齢とキャリアが同じであれば、その給与はほとんど大差なく、あるいは全く同じであることが大半なのです!!!


ババババーン!!!


 現役の教師は、みんな知ってますね?


 そうです。この二人は、人事評価制度があったとしても、その差分はとても小さく、ほとんどおなじ給与をもらっているということは事実なのです。


 ここに、最初の問題点があります。



 じゃあ、じゃあ、じゃあ。


 学校の先生の人事評価って、いったいどうなっているのか!本当のところ、本当のツボはどこにあるのか、と気になりますよね?!





 では、ヨシイエがその秘密をお教えいたしましょう!


 実は、上記3点のほかに、こんな観点があるのです。


④どの学閥や教科の派閥に属しているかどうか。

⑤研究会における活動内容(研究発表など)

⑥部活動の成果。



 学校の先生は、教育大系なのか、国立文型か私立かによって、先輩方に目をつけられています。

 高校以上だと、職業科もあるので、その教科派閥の力は絶大です。


 あるいは教育庁主宰の研究会で発表するような先生は、目を掛けられていて出世コースに乗りますので、それを目指して研究会に所属することも重要です。



 そして最後。部活動の大会で勝てる指導者どうかは、その先生の一生を左右する重要ポイントになるのです!!!



 いいですか?



 学校において、国語のA先生と数学のB先生のどちらが優秀か、客観的に判定する方法はありません。


 その生徒が仮に高校生だとして、彼が東大に受かったからと言って、


「国語を教えたA先生が優秀だったから彼は東大に受かった」


とか


「数学のB先生がすばらしいので、彼は東大に受かった」


とか、


そういうのはナンセンスです。つまり、ぶっちゃけそこに相関があるのかどうかもわからないし、そもそも

「その生徒が優秀だった」ことはわかりますが、そこに関わった教師が優秀かどうかは誰にも判定できないのです。




 これが最大のミソです。



 教師を評価するのはとても難しいのですが、しかし、部活動だけは別なのです。



 「部活動で県大会へ連れて行った」

 「全国大会へ出場を決めた」


となると、その顧問が優秀であることは一目でわかります。



 客観的であり、かつ誰の目にも明らかな指導者のアドバンテージがそこに存在するわけです。



 なので、人事異動の面でも



「Aという学校で数学の先生に空きが出たので数学の先生に来て欲しい」

というときは、数学教師であれば誰でもいいのですが、


「Aという学校でバレーの顧問が今度転勤する」


となると、代わりは「バレーの指導がちゃんとできる教師」が異動対象になるのです。




 ここまで言ったのでついでに、最強の事実を書いておきましょう。優秀な先生とそうでない先生の基本的な給与がおなじだとすれば、どうやって教師は「評価の結果報いられる」ことができるのでしょうか?


 わかりにくいのでズバッといいます。頑張っても頑張らなくても給料が同じなのであれば、ご褒美はどこにあるのか?ということです。


 はい!教師にとって最大のご褒美は「いい学校に転勤できる」ということ以外にありません。だって給料はおなじなんだから。



 能力の高い先生は、「良いと言われている学校に転勤できる」可能性が高いです。そして、上司に逆らわず覚えめでたい先生もそうです。でも、それらはすべて外部から客観的に評価できません。

 そこで、部活動の結果を持って異動するということが起きてくるわけです。



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 結論を申しましょう。教師を人事評価するものさしはひとつしかありません。


 すべてのものさしは隠されていて恣意的です。A先生が真に指導力があるのか、B先生のほうが指導者としてすごいのか、職員会議にかけても誰も神様のように判定することはできないのです。


 しかし、部活の結果というものさしだけには、すべての教師は逆らえないのです。


 いくら心の中で「あいつは体罰野郎で変態だ」と思っていても、全国に連れてゆく部活の教師には、誰も文句を言えないのが現実なのです。



 逆に言えば、なぜ部活動に命をかけている先生方が、すべてを投げ打ってでもそこに没入できるかは、わかっていただけると思います。


 そこで頑張ると、ちゃんと評価されるんです!!!

 勝てば教師としての資質が認められるんです!!!


(でも、なんぼ授業が上手でも、あまり誰も褒めてくれないんです)



ああ、おそろしい。おそろしい。




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