「手打ち、解決」
をせざるを得ないことは目に見えています。
さて、TVのニュースなどでは住人の方が今回の問題で
「資産価値が下がる」
と繰り返し口にされておられますが、建て替えするにしても補償するにしても、なにせ住民の合意がまとまるのだろうか、というあたりが問題になっています。
ヨシイエ的には何度も前ブログ・このブログで書いていますが、そもそも
「マンションは資産ではない」
し、また
「マンションはあなたのものではない」
と連呼し続けています。
事実、今回のようなマンション問題が表面化すると、
「マンションが負債であり、重荷となる」
し、また
「住民の一定の合意が得られなければ何もできない」
ことが痛感されてしまうわけです。
面白いことに、今回旭化成建材は、
「自社が関わった建築物の実際の名前を公表しない」
ということを決めました。
報道的には「なんでやねん!なんで隠蔽するねん!」とつい思ってしまいますが、実際その建物に住んでいたり関わりがある人からすれば、「公表された瞬間に資産価値がゼロになる(売れない)」という切実な問題があるので、この判断はとりいそぎ良しとされているようです。
逆に、「じゃあ怪しいかもしれないのに、それを隠して販売し利益を得たり、重要事項説明をせずに売るのはどうなんだ!」とツッコミが入るかもしれませんが、「知らなかったのだから仕方がない」で逃げ切ることも可能になるわけで、このあたりはたいへんに
気持ちが悪い、気色悪い、ああ、大人っていやだ
な対応が現実に起きてしまうのです。
神様にとっての正義と、マンション所有者にとっての正義はどうやら反するようですね(苦笑)
==========
さて、ここでビックリ!な事実をみなさんにご紹介しておきましょう。
マンションを買ったら、あなたのものだ。マンションはわたしの所有物だ。
とみなさんは思っていると思いますが、それは幻想かもしれません。
というのも、昭和37年までは、マンションはあなたのものではなかったからです。
今から53年前のことなので、現在53歳以上の人は
「マンションが自分のものではなかった時代」
を生きていたことになります。
所有権、というのは、人類の歴史の中でもかなり古い概念ですが、「これはボクのもの」「これはわたしのもの」というのは社会生活において基本の考え方です。
歴史的には、この概念をめぐっていろんな争いや議論が起きて、たとえば「奴隷という所有物がなくなった」とか、「逆にすべて国家のものとするように変えた」とか、多様なパターンが生まれました。
しかし、その中でもマンションの所有権は、たった53年しか歴史がなく、まだまだ「法整備が未整備な分野」であることがわかります。
ちなみに、マンションの区分所有という考え方ができる以前は、「全員一致の共有財産」でした。
あなたのもの、ではなく、みんなのもの、だったのです。
それが、全員一致でものごとを決める体制から5分の4などの合意形成が可能になりましたが、よくよく考えてみれば
5分の4であっても、意思統一なんてほとんどできっこない
ことは誰でも気付きます。
マンションに住んでいる人は、その無理難題をなんとか解決すべく、どこも苦闘しているわけです。
==========
もしマンションが真の意味で区分所有であれば、5分の4とか関係なく
「各戸は個別に、自分が望むとおりの対応を実施できる」
はずです。法的には。だって区分に応じてちゃんと所有しているのだから。
「オレの部屋だけ建て替えてくれ」とか「オレの部屋はそのままでいいからお金をください」とか、それらの全てが満たされてこそ、
区分所有という概念が実行できる
ということになります。
ところが、現実には建築筐体はひとつであり、別々の施策を取ることは物理的に不可能です。従って、
区分所有ということを真の意味で実現することは、物理的に不可能
だと証明されることになります。
ということは、現在の区分所有は
「全員共有のうち、限定行為について議決・決定権を有する」
だけである、ということがわかってくると思います。
しかし、それではマンションは売れません。
「このマンションをお買い上げになられると、みんなのものだけれど、あなたの部屋の部分だけについてくる権利を行使できますよ」
と言ってしまうと、
「なんだ、ゴルフの会員権みたいなもんだな」
と気付かれてしまいます。(実はそうなんです。会員権も売れるし、資産価値はあるからね)
ゴルフ場がけしてあなたのものでないのと同じで、マンションはけしてあなたのものではないのです。
ごめんなさいね。ほんとうのことを言うと怒り出す人もおられるでしょうけれど。
☆参考にしたい記事☆
『区分所有権を「所有権」とはよべなくなった日』 日経アーキテクチャ
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20100714/542316/
0 件のコメント:
コメントを投稿