2015年7月18日土曜日

【営業刑事】  「営業刑事は許さない」 ~追い詰められた被疑者の末路は!~

 先日より、任務に当たっている「営業刑事」の事案、いよいよクライマックスを迎えそうです。

 再び弁護士から連絡が来て、


「債務者が、今度こそ本当に破産するので、もう一度債権調査票を書いてくれ」


とのこと。


 この間、どういう弁護士VS営業刑事のバトルが繰り広げられていたか、おさらいしておきましょう。


 時間は数年前に戻ります。時をかけるおっさん。


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 まず、売掛債務を払わず、ブッチしている元顧客Aがいるとします。

 元顧客Aは、いろんなところに借金をしており、金融会社からも借りているし、自分で事業を起こしていたので仕入先にも支払いをしていません。


 なので、金払いに困ってにっちもさっちもいかなくなり、弁護士に相談し、破産することにしました。


 弁護士が「任務を承りました」と、手続きの準備をはじめると、まっさきに債権者たちに連絡をします。


「弁護士である私が、この件受任したので、本人に取り立てには行くな。アクセスも禁止。何かあったら全部私に言いなさい」

という内容の文書が届きます。これが受任通知です。

 ちなみに、処女マリアの体に赤ちゃんキリストが宿ったのを「受胎告知」といいます。なんの関係もありません!




 この受任通知が来てから、早い場合は1週間、遅くても1、2か月くらいで、手続きは弁護士の手で進められますから、今度は裁判所から「破産しましたよ」の正式文書が届きます。

 こうなると、基本的には、売掛け債権はパー!です。お金は取り戻せなくなるのですが、税務上きちんと損益として計上できますので、カンタンに言えば


「税金がその分安くなる」


ので、黒字の会社の場合はそれほど痛手にはなりません。




 ところが、受任通知を出してから「何年もほったらかしにする弁護士」が存在するのです。



 いろんな背景がそこにはあるのですが、「受任通知を送れば、支払いの催促や取り立てが止まるので、その間に債務が時効になるのを狙う」という作戦だそうです。



 さあ、ではここで正しい営業刑事はどうやって戦えばいいのでしょうか?


 いくつか方法がありますが、最も正解は


「裁判にかけてしまう」


というものです。


 受任通知が来ても、法的な対抗策をとってはいけないというわけではありません。

 なので、破産しようと弁護士に相談に行っているのに、裁判にかけてしまえば「判決をもらう」ことができます。


(破産しようとしていることと、「代金を払え訴訟」はまったく無関係ですので、先に裁判したほうが勝ちです)


 結果論として、最終的にAが破産してしまえば、(破産手続きを敢行してしまえば)お金は戻ってきませんが、


「時効ねらい」


を阻止することは可能です。


 というわけで、受任通知が来てから数年間音沙汰がなかった元顧客Aですが、営業刑事の猛烈な活躍により、 時効ねらいの作戦は失敗に終わりました。


 そう!営業刑事は、時効を止めまくったのです。


 元顧客Aは驚いたに違いありません。


「え?なんで?弁護士に受任通知を出してもらったのに、なんで催促は来るし、お金は払わされるんだ?こんなことなら話が違うじゃないか!」


と弁護士に相談にいったのでしょう、たぶん。弁護士は、ちょっと困った顔をしてこう言ったはずです。

「えーっと。そうですね。受任通知出してほったらかし作戦は、通用する相手と通用しない相手がいるんですよ。それに、破産するといってそのままにしているんだから、その間に裁判されたり、いろいろされる可能性もないわけでもないので・・・。っていうか、破産しちゃえばいいじゃん」


と。


 というわけで、破産せずに借金を時効にして生活を立て直そうとするような不届きモノについては



「法がそれを許しても、お天道さまが許しません。月に代わっておしおきよ!」


と、 ムーンプリズムパワーがメイクアップしちゃうのです!!



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 おそらく、今度こそ元顧客Aは破産すると思います。実は、営業刑事の事件簿ではこんなことは何度もあるので、時効狙いかなんかわからんけど、


「受任通知の後ほったらかし」


になっている案件は、営業刑事の熱意に負けて全員一人残らず破産なさっておられます。


 当社としては、金が返ってこないので、何の得にもならないのですが、


「金も払わんとのうのうと生きている輩は、ご成敗!」


するのが隠密同心の務めだと思って、頑張っているのです(^^






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