2014年5月2日金曜日

■【新社会人に贈る10の金言 その6】正義を決めるのはあなたではない

 小学校・中学校・高校・大学時代までの期間と、社会人になってからのこれからとを比較した時に、はっきりと一線を画して「違う」というものがいくつかあると思いますが、僕は最も重要なポイントとして次のことを挙げたいと思います。

 それは、


 「正義とは何か、を突きつけられるのが社会人」


だということです。


 正義、だなんて大げさな、と思うかもしれませんが、これは字面がカタイからそう思うだけで、僕たち社会人は、毎日・毎時間のようにこの問題にぶち当たっています。


 よりわかり易く言い直しておきましょう。

「この場合、どちらが正しいのか」

「優先すべきはどちらか」

「どちらが『良い』のか」

と書き換えれば、状況がわかり易くなるかもしれません。


 学生時代までの「正義(より正しいこと、正しいと思われること、善なること)」というのは、概ねどんな学校生活を送っていても「ほとんど全国共通で、誰もが納得しそうな共通認識がある」ことが大半です。

 そういう意味で、あなたはこれまで「正義に裏切られる」ことは経験していないはずです。


 たとえば、

「勉強はしないよりしたほうがいい」

「足は速いほうがいいし、何か測定した結果は高いほうがいい」

「友達とは仲良くしたほうがいい」

「早寝早起きをしたほうがいい」

数え挙げればきりがないくらい、学校生活における「正しいこと」というのはわかりきっているし、決まりきっているし、そして全国の学生が共通して認識していることです。


 ところが、社会人になると、そうした「正しいこと」というのは、一旦どんぶり返されます。


 どういうことか。


「研修ばかり時間をかけないで、実務を早くやれ」

「お前ばかり目立つとチームがぎくしゃくするから、考えろ」

「俺の派閥に入れ、あっちの派閥とは距離を置け」


といった言葉を上司や同僚からかけられることは、おそらくしょっちゅうあります。


 物理的にも、シフト制の勤務についた場合は、「通常勤務 → 昼夜逆転 → 変則勤務」を月にローテーションで組まされたりすると、「早寝早起きどころではない」ということになります。

 (工場だけでなく、お医者さんや、警察官、鉄道会社など、こうした仕事はたくさんあります)



 会社内だけでなく、顧客や取引先から「無理な圧力」をかけられることもたくさんあります。

「これ以上に値下げをしろ」

「うちのセールに社員を出して手伝え」

「需要が減ったから注文を半減させる」

など、正義や道理から考えて疑問符がつく要求をされることなど、日常茶飯事です。


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 社会において、たとえば


「当初の契約どおりに履行することが正義」なのか

「状況が変わった顧客の希望を叶えるのが正義」なのか


2つの矛盾した状況に追い込まれても、どちらがより正しいのかは誰にも答えが出ません。



 もっとシビアになれば


「利益が出ない案件でも、飲まなければ仕事がこない」とか、「支払いの段になってさらに値切られた」とか、「バックマージンを要求された」とか、そんなのは星の数ほど出くわすことができます。


 こうした事例に出くわすことを、ボクは勝手に


「正義のゆらぎ」


と呼んでいます。


 社会人になるということは、これらの「正義のゆらぎ」にたくさん出くわす、ということでもあるわけです。


 この「正義のゆらぎ」は社会問題の根幹に関係します。

 社会生活の上で「正義のゆらぎ」に対して耐性が少ない人は、「うつ病」になったり「離職」したりすることになるでしょう。

 
 そして、タイトルに戻りますが、頭の片隅に置いていて欲しいのは、


「正義を決めるのはあなたではない」


ということです。


 じゃあ、誰が正義を決めるのか。この答えは難しいです。そもそも「揺らいでいる正義」ですから、確定はしません。


 あなたが「良かれ」と思ってやったことを、上司は違うというかもしれません。

 でもさらに上の人は、また反対の評価をすることだってあります。


 全ては結果論であり、明確なプロセスが無いのです。だから学校生活とは違うのです。



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 仕事におけるベテランというのは、こうした「正義のゆらぎ」の事例を経験則として数多く持つ中で、確率統計的に


「おそらくこうしたほうが、この状況ではベターな結果になるのではないか」


と推測できる力を示します。しかし、あくまでも確率が高いだけで、確定的なものではありません。


 そういう意味では、上司に相談するということは大切でもあり、そしてそれが全てでもありません。

 ただ、あなたが新社会人だとするならば、

「これが正義だ」

と自分で決めてそれに全力を傾けるのは、待ったほうがいい。


 常に「その反対の正義も、あるかもしれない」という視点を持って、仕事に臨んだほうが、確実に成長できると思います。





 

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