2014年5月10日土曜日

日本列島リストラ論 自治体の数が減るとどうなる?

 昨日のニュースで大きく取り上げられていた


 自治体の半数が消滅する!


 という記事は、国内にかなりの波紋を巻き起こしたようです。


 <消滅可能性>自治体半数 2040年20~39歳女性半減
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140508-00000117-mai-soci


  記事によると、全国1800の市町村のうち、半数近くの自治体において、子供を生める年齢の女性が半分になる、ということが示されました。


 これはつまり、「子供が増えなければ、その自治体はいずれ消滅する」ということを意味します。


 このニュースと同時に、これまで「老人が増えて『限界集落』なんて呼ばれていた地域が、限界どころか一気に『消滅集落』になる時期が迫っている」といった地方の話もたくさん聞こえてきました。

 
 毎日新聞では、たたみかけるように


 消滅可能性:東京都豊島区「昼人口多いのに」「寝耳に水」
 http://mainichi.jp/select/news/20140509k0000m040111000c.html


と、都会においても同様の危険があることを示唆しています。


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 しかし、こうしたことは考えてみれば当たり前のことで、「子供が減っている」のですから、物理的に今の規模の日本社会を維持することは困難です。


 僕は北海道に8年間住んでいたことがありますが、北海道では「既に消滅した町」というのをいくつも見てきました。

 もちろん、北海道の場合は「小子化でそうなった」というよりは「炭鉱の閉鎖などの産業の衰退」による町の消滅が多いので、多少理由は異なります。


 しかし、「町が消える」ということを実感を持って体験できたことは、僕なりの日本社会のあり方を考える上で、かなりベースの部分になっていると思います。


 また、北海道に限らず、うちの父親が鉄道員でしたので、特に「線路」というものから日本の社会構造を見ることが多々あります。

 ぶっちゃけて言えば「廃線」を見れば日本の実情がわかる、といっても過言ではありません。


 経済や文化が発展し、「日本が豊かになる」ということは、素直に考えれば


鉄道網が広がり、バス路線が広がり、町や村が広がってゆく


というイメージを持つことができます。


 ところが実際は逆で、明治大正昭和を経て、一度広がった線路網は昭和40年代からずっと全国各地で


廃線の嵐


なわけです。


 経済成長で、社会インフラが広がってゆくと思いきや、実際には「どんどん不便になってゆく」鉄道網

 たしかに、自家用車やトラックが増えて、その意味で「便利になっている」のかもしれませんが、


「すでに構築された社会インフラを失う社会」


が本当に豊かなのか?と問えば、僕には気持ち悪い感じが残りました。


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 前ブログを通じて、日本の「おうち」について考える中で、やはり都市への集中は良くない、と僕は考えるようになっています。


 都市だけが鉄道網が増え、地方がどんどん消滅する状況は何かがおかしいと思います。


 それは単純な地方擁護論なのではなく、


 実は都市こそが肥大化した不良債権化するのではないか


という危惧を持っているからです。


 地震などの災害が起これば、都市は壊滅します。その被害量は、都市であるがゆえに肥大化した価値により甚大になるでしょう。


 僕のメインテーマである「おうち」で平たく言い直せば、本来その土地に10の家があるべきところに、マンション化によって100の家があるわけですから、災害で起こる被害は10倍に膨れ上がる、ということです。


 FXが好きな人のために言い換えましょう。

 都市は「レバレッジが効いている」のです。都市である恩恵も倍増しますが、しっぺ返しも倍増するのが都市というものの性質です。


 人口面でも、資産面でも、都市は本来のキャパシティ以上に「ポリバブル化した価値」を内包しています。それらは本来は、より地方に均等に存在するほうが自然なものだと思うわけです。


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 ヨーロッパの都市を見ていると、日本のように高層ビルがばんばん立つような開発はなされていません。それよりも逆に古い時代の建物をそのまま残してあるようなスタイル、つまり「物理的に価値肥大を起こさない」ような設計が維持されて町が成立しているように思えます。


 ということはどういうことか。都市や都心に価値が集中していないのだから、よりたくさんの地方に価値が分散しているということです。


 地方に価値が分散しているということは、経済はその地方・地域で、ある程度廻るということです。


 
 というわけで、もしこれから本当に日本をよくしたいのであれば「日本列島を大リストラ」して「再構築」することが必要だと思っています。


 
 具体的には


 どこか一箇所に価値を集中させて肥大化させずに、分散して配置すること、ですね。



 都市とは、テラバイトのハードディスクのようなものです。それを一装置でずっと動かしているのが日本の経済です。


 危機管理のスペシャリストでなくても、そのへんの素人でも「そのハードディスクが壊れたらどうするの?」と誰もがわかることです。


 やり方はいくつかあります。RAIDといって、「まったくおなじハードディスクをコピー・同期させてバックアップさせる」方法。

 しかし、これは都市には応用できません。もうひとつの東京を作れないし、作ったところで、そこで生きている人たちはコピーではなくオリジナルだからです。


 とすれば、「すべてオリジナルデータで運用しなければならない」のですから、一つの装置でまかなう分量を減らして、とにかく分散して配置する以外にありません。

 データ単位が小さければ小さいほど、被害に対しての修復も早くできます。

(地震の時に仮設住宅を作りますが、そういうことです)



 地震の話で言えば、大都市東京で地震が起きた場合、仮設住宅を作る土地はもうないんですよ。

 100階建ての仮設住宅を作らないと人々を収容できない、というナンセンスが今の東京です。


 これはもうギャグとしか言いようがありません。


 



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