高校生のみなさんの中には、
「自分には友だちが少ない」「あたしには友だちがいない」
とか
「僕は友だち付き合いが苦手だ」「あたしはうまく友だちに合わせられない」
といった悩みを抱えている人も多いことと思います。
それなのに、今までの私のお話では「コミュニケーションの力がないと、この社会では大変だ」なんて話をさんざんされてているので、
「それじゃあ自分はどうしたらいいんだ!救いがない!」
とさらに困っていることかもしれません。
基本的に、この社会である程度うまくやっていくためには、それでもやっぱりコミュニケーションの力は必須なのですが、それが多少弱くても、なんとかやっていけるジャンル、というのが存在しないわけではありません。
ですので、今回は「その少ないチャンス」について話しておきたいと思います。
極端な話、友だちがいなかったり、もういっそ「そもそも、学校に行ってない」ようなみなさんでも、ある特定のジャンルに限っていえば、社会人として立派に暮らしてゆける道があります。
それは「芸術」に関わる分野です。
あなたが、音楽でも絵画イラストでも、文芸でも、あるいは何かのパフォーマンスであっても、そうした「芸術」領域で優れた資質を持っていたり、それを開花させることができるならば、その場合に限っては
「人間づきあいが下手」
であっても、全然大丈夫です。
普通の人は、何かの仕事を進めるに当たって、依頼者や周囲の人といろいろな打ち合わせ・話し合い・意思の疎通をしながら業務を遂行してゆきます。
しかし、芸術作品は、「その作品自身に価値がある」ので、それについてコミュニケーションしないと作品が成立しないなんてことがありえません。
極端に言えば、そこに素晴らしい絵があれば、それを美しいと思う人があり、それを買ってゆくわけで、描いた人がその場所にいなくても、経済活動が成立することになるのです。
事実、芸術の分野からは、いわゆる現代のカテゴリーで言うところの
「欝っぽい人」
「偏屈な人」
「自傷する人」
「ひきこもり」
「人間嫌い」
と呼ばれても仕方ない性格の人たちがたくさん大きな仕事をしてきました。
そして、その人たちの作品の価値が認められることで、彼らは社会で生きてゆくだけの収入を得ることができてきました。
そうした人たちが「恵まれた資質を持つ、ごく一部の人たち」だと思い込むのは早合点です。たしかに、一部のトップの人たちは、大金を手にして、高い評価を得ています。しかし、そうではない普通レベルの芸術家もまた、腐るほどこの社会では活動しています。
一例ですが、特にベストセラーを生んだこともない、どこにでもいそうな「作家」と呼ばれる人たちの文庫本原稿印税は、年にざっくり70万円くらいになるそうです。
年70万円では、食べてゆけません。せめて70×3冊=210万くらいで、バイトで細々食いつなぐ人ぐらいのレベルになります。
ですので、そうした人たちは、奥さんが普通の仕事をしていたり、雑誌の小さな記事をもっともっと掛け持ちしたりして年収を300万円、400万円と人並になるように努力しているわけですが、みなさんに気付いてほしいのは、
「引きこもりでも、作品製作で年70万円稼げる」
という事実です。
他者とコミュニケーションして、給与を稼ぐことがしんどいのであれば、「だんまり引きこもりながらでも、何かを生み出す」ことは不可能ではないということも、覚えておいて損はありません。
ですから、今現在、自分のコミュニケーション能力に自信がないみなさんは、
「では、自分は何で収入を得ることができるか」
について必死で考えてみてほしいと思います。どこに突破口があるのか、どこにあなたの才能が隠れているのか。それはまだ見つかっていないはずです。
私も、高校時代は自分の才能に気付いていませんでした。あなただってそうなのです。
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