2016年7月5日火曜日

なぜ民主主義は崩壊したのか。

 英国のEU離脱問題しかり、その背後にあるEU諸国の不満しかり、あるいはアメリカ大統領選挙の混迷や、日本の政治的迷走しかり、



 どうも、第二次世界大戦後の民主主義や資本主義のありようはうまくいっていないのではないか?


という素朴な疑問を持っている方は多いと思います。


 そのため、


「資本主義の次の時代はどうなるのか?」とか

「中世に逆戻りしているのではないか?」とか

「欧米型資本主義のアンチテーゼとしてイスラム国などの原理主義が台頭しているのではないか?」とか
  

さまざまな言説が、論壇をにぎわすことになっています。



 しかし、ヨシイエは、この欧米型の資本主義の終焉の原因はとてもシンプルなのではないか?と考えています。


 イギリスやアメリカ、そして日本も含めて、私たち先進国と呼ばれる国々が、どこで間違ってしまったのか、その原因を今日は


 軽~く!


探ってみたいと考えます。



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 まず、私たち先進国の国民は、2つの大きな思想的柱を持って生活していますが、本来はそれらは別々の視点であり、そもそもジャンルが異なります。


 この柱2つというのはもちろん



「民主主義」





「資本主義」


ですが、 これらはつい、ごっちゃになってしまいがちの概念です。



 さて、民主主義というのは、「私たち一人一人が主権をもっていて、えらい」という概念です。


 それに対して資本主義というのは「お金持ちがお金を投資して、経済を回す」という概念ですから、この2つはまったく別次元のお話だということになります。



  別次元ですから、他の組み合わせだって可能です。


 封建主義や、帝国主義と資本主義を結びつければ、「主権を持っているのは金持ちの資本家で、彼らがお金を支配して、下々の者をこきつかう」ということになります。



 その場合は、私たち一人一人には主権なんてあったもんじゃありません。



 はい。ここで。図をひとつドーン。


古い時代には、封建主義が世界でも日本でも主流でしたから、「支配者や領主」が、それ以外の領民を支配していました。


 ところが、フランス革命以降、「支配者じゃないけど貧民でもない」という「中間層や市民層」が、



 おれたちにだって政治参加する意思決定権を持ってるんじゃないかバカヤロー!



と言い出したのが、民主主義のはじまりです。



 というわけで、上の図は、フランス革命後の「ちょっと民主的な世界」を描いてみました。






旧来の世界では「領主・支配者層」が権力とお金を牛耳っていました。

 
それはそれでOKです。すべて領主や支配者の思い通りで、たいていの民衆は搾取されています。


ところが、フランス革命後の「ちょっと民主的な世界」前夜では、


「領主・支配者層」が権力とお金を持っていて、
「中間・市民層(いわゆるブルジョワ)」がお金を持っていて権力を持っていない

状態だったので、

「わしにも権力をわけろ」

と言ったわけです。簡単に言えば。




なので、「ちょっと民主的な世界」では、領主層と中間層が、権力とお金を持つことになったわけです。



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 これで、多数決をとればどうなりますか?


 基本的には、支配層と中間層がめざしている方向は同じです。


「わしらは権力を持ち、金を持っている」



ということで、それが実現できる階層が合体した、ので、経済的にも、政治的にも、矛盾は起きませんでした。



 第二次世界大戦後まで、基本的には先進国はこういう状態だった、というわけです。


 貧困や弱者は存在したけれど、たいていの人間は中間層までで満足していて、支配者たちと一緒になってこの方向をめざしていれば幸せである、と考えていたのです。




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 ところが、民主主義というやつは、お題目の上では「すべての人は平等であり、すべての市民が主権を持っている」ということだったので、政治的には


「一人の1票はおなじ価値を有する」


というのが建前でした。



 で、今はこんな図になっています。



  世界の富を一部の資本家や支配者たちが牛耳ることで、中間層や市民層は



「主権は持っているけれど、金がない」


という状況になったのが近年の先進国です。


 日本でも、「一億総中流が崩壊」したと言われていますね。



 こうなると、一人一票の重みがおなじなら、政治スタンスは、どうしても弱者寄りになります。



 つまり、目先のことをなんとかしろ!という欲求ばかりが増える、というわけです。



 金がないということは、長期的な経済展望よりも今日のパンを心配せねばならない、ということです。



 だから衆愚政治と呼ばれるような、ビジョンのない政治が生まれます。



 じゃあ、どうしたら世界は平和になるのか。


 簡単です。



 お金持ちは、弱者にまでお金をやる必要はありません。


 中間層が多数派になるくらいまでだけ、下位層にお金を再配分すればいいのです。



 「21世紀の資本」でピケティは、資本の再配分を主張していますが、それは正しいと思います。


 弱者を救済するのではなく、「中間層を支配者たちの味方につける」ことが、最もスピィーディーな解決法だったのです。



 
 たとえば、今回のバングラデシュでのテロの犯人が「富裕層」だということに衝撃が走っていますが、それも上の図に関係しています。


 富裕層で、支配層だと思っていた若者が「資本家や支配者は、金を牛耳っている。それは正義ではない」と感じているということです。


 これが、大問題なのです。






 さて、これで欧米型資本主義が「民主主義」によって崩壊する様がわかりましたね。


 支配層やエリートたちは「民主主義がやばい」と感じていますが、その言説における「民主主義」とは、実は


 フランス革命前後の意味での民主主義


であって、中間層は上側にいる話なのです。


 

 さあ、世界の中間層がだんだん下へと下がってきた今、資本家たちよ、どうしますか?!


 タックスヘイブーン!









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