前回の前半部分では、miniDVやVHSビデオなどの古いメディアの記録を、別の何かに移行して保存することの「概略」をさらっとお伝えしました。
そして、これらのminiDVやVHSは「SD画質」なので、ハイビジョンではないため、できれば「S端子」を使って移行し、あるいは「黄色・赤色・白色の映像端子」を使って移行すればいいのだ、という基本をお話しました。
その移行先は、少し前までは「MPEG-2でDVDに焼く」方法があり、今後は「キャプチャ機器を使ってMP4ファイルにする」方法がよい、というところまでは説明しました。
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1 <miniDV機器が故障していた場合のヒント>
今回私は、ずっと使っていたDVビデオカメラがどうも故障しているっぽいので、代替機を探すところから始めましたが、注意点をまとめておきます。
■ miniDV機種のメーカー修理は、もうできない。(受付すらしてくれない)
■ 本家メーカー以外の業者さんでも同じ(結局、部品がないから)
■ ということはヤフオクやメルカリで中古を買ってくることになる。
■ 動作チェックを済ませて、それが明記してある中古品はだいたい1万円〜くらい
■ 未チェックでジャンク扱いだと数百円からあるが玉石混交
■ 「再生はできました」みたいな簡易チェックされたもので3000円前後
まずはこのへんまで。予算が1万円あれば、中古の完動品がまあ買えます。(いまの段階では。これから玉数が減ってきます。ジャンクに複数台手を出してもいいですが、電源だけつく感じで3台も買えば当たりが入ってます(笑)
ハズレを掴みたくなければ、チェックされた記載があるもので、1万円前後のものがいいと思います。ビデオに詳しい業者さんは、だいたいそこらへんの価格をちゃんと見て出品しています。
さて、以前に自分がminiDVのビデオカメラでたくさん撮影していた場合、
■ 自分の持っている機種のメーカーと年代をできるだけ合わせたほうがよい
■ 充電器やチャージキット、バッテリーや周辺機器が使い回せるから
■ ヤフオクやメルカリは「本体のみ」出品がやたら多く、ケーブルや充電器が結局必要になる。
■ まったく同じ機種でなくても、年代が近ければ周辺機器はおなじのことが多い。
といった点も覚えておくとよいと思います。本体が動くことも重要なのですが、むしろバッテリーはいらないけれど、充電器やACアダプタのほうが、ビデオを救い出す作業のためには必須になるでしょう。
そして、テープからデータを救い出す際に、重要な点を挙げてゆきます。
■ まず本体がちゃんと動くこと。電源が入る。テープの出し入れができる。再生ができる。
(ジャンク明記のものは、これらが非記載です。まったくの未チェックが多いです)
■ 電源がついている液晶画像が掲載されている場合「エラーコードが写っている」「つゆつき表示が写っている」のは怪しいです。電源は入るけれど、そのままでは動かない可能性あり。
■ 本体・充電器やACアダプタ・映像(AV)接続ケーブルが最低限必要。S端子付きが望ましい。
■ 映像接続ケーブルは、各社微妙に仕様が違ったりするので、注意すること。ヘッドホン端子みたいな形状で電極が4つあるものから、特殊端子の形状もある。
本体が動き、充電器があっても「映像と音声を取り出さなくてはいけない」ので、そこがポイントです。
DV端子(IEEE1394)時代は、DV端子が全機種ついているので、そのままデジタルデータが取り出せましたが、今回ビデオキャプチャを行うには「S端子がもっとも画質がよく、次に黄色・赤色・白色端子は必須」です。
これらの端子は、本体から直接出ていない場合が多く、「AVケーブル」といった名称の変換ケーブル経由で信号を外に出す機種が大半なので、かならずこの「映像接続ケーブルの有無」を確認してください。
DV端子で編集していた人は「この端子から取り出せば劣化ゼロなのになあ」と思ってしまうのですが、何度も言います。「忘れてください」(笑)
DV端子からのキャプチャがまともにできる機器は、もう市販されておらず、存在そのものもごくわずかです。
(めちゃくちゃ速いデスクトップ型PCにIEEE1394のPCIボードを差して、DV端子同士の接続で取り込んで、それをMP4にソフトウエア変換すれば、もちろんできますが、めんどくさいです)
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2 <ビデオキャプチャ機器 総まとめ>
では、いよいよMP4キャプチャのための機材を一挙紹介!もう、PCなし、パソコンなしで出来るハードウエアキャプチャの製品だけを揃えました。
それぞれの機種の注意点も一気に説明します!
実は、旧アナログビデオ(miniDV含む)からキャプチャできる市販の機種は「おおむね3メーカー」からしか選べず、機種もおのずと決まってきます。
■ アイ・オー・データ GV-HDREC(GV-HDREC/C)
画面なし S端子なし HDMIキャプチャあり アナログキャプチャあり16:9
■ アイ・オー・データ GV-HDREC/B2
画面なし S端子なし HDMIキャプチャあり アナログキャプチャあり16:9
配信機能(ビジネス向け)
■ アイ・オー・データ GV-VCBOX アナ録
画面あり S端子あり HDMIキャプチャなし アナログキャプチャのみ4:3
MP3作成機能
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アイ・オー・データからは3機種。上の2機種はHDMIキャプチャが中心で、アナログはおまけなので16:9で録画されてしまいます。
本来のアナログビデオキャプチャは最後の機種。こちらはアナログ専用機みたいなものです。「アナ雪」をもじった「アナ録」が目印。
いちばん上の機種が実売1万5千円くらいでHDMI兼用機としては安いのですが、16:9で保存されるのが難点なのと、S端子がついていません。
画面が内蔵されているのは最後の機種「アナ録」だけです。他の機種は別にHDMIモニタが必要になります。
■ サンワサプライ 400-MEDI029
画面あり S端子あり HDMIキャプチャなし アナログキャプチャあり4:3
■ サンワサプライ 400-MEDI034
画面あり S端子なし HDMIキャプチャあり アナログキャプチャあり4:3
■ サンワサプライ 400-MEDI040
画面あり S端子なし HDMIキャプチャあり アナログキャプチャあり16:9?
4K対応
■ サンワサプライ 400-MEDI045
画面あり S端子あり HDMIキャプチャなし アナログキャプチャあり4:3
MP3作成機能
■ サンワサプライ 400-MEDI046
画面なし S端子なし HDMIキャプチャなし アナログキャプチャあり4:3
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サンワサプライ製品は簡易版の046以外は画面ありです。
アナログビデオ向けとしては、S端子がついている「029・045」の2機種がおすすめ。
045のほうは029より1万円くらい実売が高いのですが、MP3作成機能(つまり、音だけのキャプチャーもできる)が加算されているだけなので、売れ筋は029だと思います。
034と040はHDMIでのHDキャプチャが中心なので、アナログビデオはおまけ機能みたいな感じですね。
046は型番が一番大きいのですが、最低限のアナログキャプチャだけに絞った廉価版です。(9980円)画面なしのため、他にHDMIモニタが必要です。
■ ラトックシステム RS-AVREC1
画面あり S端子あり HDMIキャプチャなし アナログキャプチャあり4:3
MP3作成機能
■ ラトックシステム RS-AVREC2
画面あり5インチ S端子あり HDMIキャプチャなし アナログキャプチャあり4:3
MP3・WAV作成機能
■ ラトックシステム RS-AVREC3
画面あり5インチ S端子なし HDMIキャプチャあり アナログキャプチャあり4:3
4K対応
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ラトックのシリーズは2025年3月発売で、いちばん最新です。それもあって、ランナップや機能をうまく他社のも折り込みながらまとめこんでいる感じがします。
価格帯は他社より1万円〜ずつ高い感じがするのですが、画面が大きい機種を投入したり、音声だけのキャプチャにも力を入れていたり、「機能てんこ盛り」型なのでお値段もその分上がってしまっているようです。
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実はこれらの製品は、中国製のOEM元があるらしく、似たような機種が別の名前で出ていることもありますが、流通量がごく少ないので「アイ・オー・データ・サンワサプライ・ラトックシステム」の3社で選んで間違いありません。
いちおう国内でブラッシュアップというか、微細なチューニングが施されていると期待します。
この中でどれを選ぶかですが、「HDMIでHD画質のキャプチャもしたい」と思っているのか「MP3なりの音声キャプチャもしたい」と思っているのかで、選択肢が変わってきます。
逆に、「アナログキャプチャ・SD画質一択!」とminiDVの移行保存だけを目的にするのであれば、
”サンワサプライ 400-MEDI029”
が、S端子付きではもっとも安く(実売/直販19800円)高画質です。
というわけで2回に渡ってお届けしましたが、昔のminiDVビデオのデジタル化やデータ化は、これでバッチリだと思います。
ぜひ、お早めに挑戦してくださいね!