2014年3月14日金曜日

少子化を解消する画期的な方法

 こんにちは


 ビジネスジャーナルさんに掲載されていた江端智一さんの記事がとても面白かったので、ついつい全シリーズ読んでしまったのでご紹介します。

 一番最初に目にしたのが「出産させないシステムが完成した日本」という記事で、とてもわかり易かったので、ぜひみなさんもご一読ください。



 出産させないシステムが完成した日本 破滅衝動=結婚をなぜ超えられないのか
 http://biz-journal.jp/2013/11/post_3295.html



 さて、日本がすでに少子化社会を突き進んでいて、これが近未来に様々な問題を引き起こすであろうことは予言され尽くしているわけですが、僕なりにその解決策を考えてみました。


 それが、公務員に学ぶ「2段階採用制度」なるものなのですが、簡単に言えば、

 国家公務員Ⅰ種、Ⅱ種や地方公務員上級・中級・初級のように、一般企業の採用も段階をつけて差をつければいい


というアイデアです。


 この発想。練れば練るほど面白い仕組みで、どうも日本の抱えるいろんな諸問題も一緒に解決できそうな勢いなので、ぜひみなさんもこれがいいのか悪いのか考えてみてほしいと思います。


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<制度のあらまし>

 雇用数が一定以上の企業において、新卒(あらため、新規)採用者については、一定数(半数が望ましい)を「Ⅰ種採用」と「Ⅱ種採用」に分けて実施する。


 Ⅰ種採用もⅡ種採用も、どちらも正規雇用であり、正社員であるが、その採用条件が異なるものとする。


<制度の内容>


 Ⅰ種採用は、教育機関卒業ののち概ね25歳までの採用とし、主に企業におけるキャリア(幹部候補)育成を目指した採用とする。


 Ⅱ種採用は、教育機関卒業ののち概ね35歳までの採用とし、ノンキャリア人材の育成を主とした採用とする。


 Ⅰ種採用とⅡ種採用の初任時における給与は、ほぼ同等とするが、その後の給与体系について既定するものではない。


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 いかがでしょうか?まずは、基本的なルールとして上のようなことを設定してみました。企業が採用活動を行う際、Ⅰ種、Ⅱ種をある割合で分けて両方採用することを義務付けることがスタートです。


 ★ここで起きそうなこと★

 たいていの企業においては、Ⅰ種採用を少なくして、Ⅱ種採用を増やそうとするでしょう。幹部候補生が一般職より多くなることはないからです。

 初任時の給与は同じでも、キャリアとノンキャリアでは、公務員では俸給表が違います。一般企業でも、給与に差をつけてかまわないとすれば、よろこんで企業はダブルスタンダードの給料体系を作り出すでしょう。

 つまり、22歳新卒一斉採用をやめさせる、大きなインセンティブとしてこの制度が魅力的に映るように設計しているのです。



 さて、それぞれに求められる人材像について考えてみます。


Ⅰ種採用者


 まず、いわゆる企業人としてバリバリ働こうという意思・意図のある人材に向いている制度です。そして、ほとんどの新卒22歳男性は、この制度を利用して入社しようとするはずです。また、25歳までの既定を設けることで、第二新卒や、大学院修士卒業者にも対応しています。

 もちろん、女性がこの制度に応募することになんら妨げありません。


★ここで起きそうなこと★

 Ⅰ種採用のレベルを上げることで、いわゆる学歴と応募のミスマッチを取り除けます。大学のレベルに不相応な状態でやみくもに企業を受けまくる事例がⅠ種採用においては減ります。Ⅱ種採用においてはこれまで通りかもしれませんが、キャリアが限定されるのがⅡ種ですから、自然と自分に見合ったレベルへと揃います。

 もちろんⅠ種採用には高度な知識を問う試験が必須です。

 


Ⅱ種採用者


 この制度があることで、まず転職者が応募できます。これまでの新卒制度とは異なり、「新しくその企業に応募する」人のための制度ですから、転職者も利用できます。
 しかし、給与水準が「新規」のためいわゆる旧新卒水準に下がります。従ってキャリアアップ・引き抜きによる転職応募とは別のルートであることを理解する必要があります。


★ここで起きそうなこと★

 一般転職者に対して、これまでのように「前職での給与」について考慮する必要が薄くなります。必要な人材であればその金額を提示して採用できますが、そうでない人数合わせの場合は、「新卒同程度だけど、それでもいい」という人間を採用できます。



 この制度を利用して、35歳までの就職経験がない人間も応募可能です。その人材が果たして合格するかどうかは、また別問題であり、個々の企業が判断することです。


 この制度を利用して、新卒採用後ミスマッチを起こして退職した新人等も新しくチャレンジできます。35歳までは、事実上再チャレンジが可能です。


 この制度を利用して、22歳卒業後に、結婚・出産をした女性を採用することができます。つまり、子供を望む女性が、就職を選ばずに育児後安心して30代からキャリアをスタートすることができるわけです。バリバリ働きたい女性のためには、もちろんⅠ種採用があります。



★ここで起きそうなこと★

 企業にとって、現実的にコストアップになっていた「女性のキャリア中断」問題を、根底から解決できます。女性は35歳から安心して就業できる、というスタンスを日本中の企業で担保すれば、少子化問題の解決の糸口になるはずです。

 また、保育所の数を増設したり、保育士を確保したりといった社会負担を減らすことができます。


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 Ⅰ種採用とⅡ種採用の制度設計を上手に設定してやると、企業は全体を通して賃金を下げることに成功するでしょう。

 それと同時に、女性を「妊娠適齢期」において企業活動から外す、ということを「互いが望む形」で実行することができるかもしれません。

 

 誤解をされては困りますが、22歳女性が、22歳時にⅠ種採用されてもいいし、Ⅱ種採用されてもいいのです。つまり、22歳から35歳まで独身女性に飢えよ、と言っているのではないということです。

 35歳まで門戸が開かれていることで、「線路の上に自由に乗ったり降りたりできる」ということを意図しているのです。


 もちろん、「それなら現状の採用方法のままで、線路に乗ったり降りたりできる制度を作れ」と言う方もたくさんおられることだと思います。

 しかし、それでは恐らくその制度はできません。企業に「おいしい」インセンティブがないし、働く女性に「とかいいながら結局線路から降りたら終わりじゃん」と思われてしまうからです。


 企業におけるインセンティブとは、「自由に乗ったり降りたりすることを許可する代わりに、また給与体系を一から始めていいよ(初任給に戻していい)」ということでもあります。


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 とまあ、上記システムはひとつの案ですが、今の日本の企業においては多様な働き方のデザインができないことに問題があるように思います。

 正社員と非正規社員とか、正社員と限定正社員とか、そういう横方向の身分軸だけでなく、縦方向(つまり、年数や年齢)における軸をあえて設定しないと、現状は打開できないのかもしれません。

 日本社会ではキャリア形成制度は年齢と密接に結びついています。なので、年齢に着目しないと少子化はいつまでたっても解決しないかもしれませんね。








1 件のコメント:

  1. 30~35歳の子育てを半分終えた女性の雇用に補助金を出すというのはどうでしょうか?

    そもそも、企業側としては、何年か休職していてキャリアがあまりない女性を雇うインセンティブが少ないような気がするので、国等が補助金を出すというのはどうでしょうか?

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